国名シリーズ、今日のテーマはイギリスアメリカです。

 

 まずはイギリス

 2021年の東京オリンピック開会式で、イギリス選手団が「英国」のプラカードに導かれたことは記憶に新しいです。

 ご存じのとおりイギリスの正式名称は

グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国

です。あまりに長いため「連合王国」の「UNITED KINGDOM」を略した「UK」がよく使われます。

 そもそも日本での「イギリス」というのはイングランド人を意味するポルトガル語の「イングレシュ」が由来で、「英吉利」と漢字表記されました。中国でも「英国」と「英吉利」は同様です。江戸時代は「エゲレス」と呼んでいました。

 

 フランス語ではイギリスを「アングルテール」といいます。「アングル人の土地」という意味で、「イングランド」と語源を同じくします。

 アングル人は中世初期にユトランド半島からブリテン島に移住し、今のイングランドに相当する地域をラテン語で「アングリア」と呼びました。

 

 30年前私が受けた漢字検定1級に「諳厄里亜」の読みが出題されました。

当然手も足も出ません。答えは何と「イギリス」でした。このことが納得できず、当時漢字に関する質問を受け付けていた大修館書店のサイトに私が投稿して回答をいただきました。

漢検の問題で、「諳厄里亜」をイギリス、「応帝亜」をインドと読ませるものがあったのですが、どうしてこんな読み方になるのですか?|漢字文化資料館 (kanjibunka.com)

「アングリア」と答えたらバツだったでしょうか?

 

「金鯱」イギリス(United Kingdom) | 河内マサヤンのブログ (ameblo.jp)

 ↑は私の愛読する河内マサヤンさんのブログ「世界はめ込み地図」。面白いです。

 

 続いてアメリカ

 正式名称は「アメリカ合衆国」、略して「USA」、あるいは「合衆国」、「US」。単に「合衆国」といえばふつうアメリカを指します。あまり知られていませんが、メキシコの正式名称は「メキシコ合衆国」です。

 日本での漢字表記は「亜米利加」。略して「米国」。主食はパンなのに米の国。新聞の見出しで「米、」とあればアメリカのニュースです。お米の記事だと「コメ、」と書かれます。

 イギリス国旗が「米」に見えるからむしろ米国はイギリス?などとつねづね思っていましたが、そんな私の疑問を吹っ飛ばす旗を見つけました。

題して「イギリス領北アメリカ植民地旗」。1775~1777年に使用されました。これぞまさしく米国の起源!こののち、イギリスから独立を果たした13州時代の初代の国旗はこれ。「合国」と書きたくなります。

 

 中国では「美利堅合衆国」、略して「美国」。中国はいい字を選びますね。

 日本でも江戸時代は「米利堅メリケン)」と呼んでいました。最近は聞きませんが「メリケン粉」というのがあります。同じ小麦粉でも日本産を「うどん粉」、アメリカ産を「メリケン粉」と言い分けたそうです。

 「アメリカ」の由来はアメリカ大陸の存在をヨーロッパに知らしめたスペインの航海者アメリゴ=ベスプッチと言われています。

 同時代のクリストファー=コロンブスはアメリカ大陸に踏み入れていながら、そこをインドだと認識したため、原住民をインディアンと言ったり、島々を西インド諸島などと呼ぶようになりました。

 その西インド諸島で1983年にイギリスから独立したのは、セントクリストファー・ネービス連邦です。コロンブスさん、ファーストネームが国名に取り入れられてよかったですね。「セントキッツ・ネービス」とも言います。

 

 これはこの国が植民地時代の1903年に発行した切手に描かれたコロンブスです。コロンブスがアメリカを発見したのが1492年、望遠鏡の発明は100年以上のちの1608年。切手マニアの間ではちょっと知られた話です。ちなみに南米コロンビアの国名の由来はコロンブスだと言われています。