江戸時代の生類憐みの令、あるいは仏教の影響からか、鳥獣の肉を食べることが禁じられたときに、たくましい庶民は動物名を植物名に変えた隠語を使って、食生活を楽しんだと言われています。
さくら・・・馬肉
もみじ・・・鹿肉
かしわ・・・鶏肉
ぼたん・・・猪肉
いわれはそれぞれ諸説ありますが、「もみじと鹿」はこれですね。
10月の花札です。ちなみにこの鹿がそっぽを向いていますので「しかと(鹿十)」ということばが生まれたそうです。
逆に植物由来の食物に動物名を付けたものもあります。ただし、関東と関西ではちょっと違うようです。
関東 関西
油揚げ入りうどん きつねうどん きつねうどん
油揚げ入りそば きつねそば たぬきそば
天かす入りうどん たぬきうどん ハイカラうどん
天かす入りそば たぬきそば ハイカラそば
共通するのはきつねうどんだけですね。昔関西に旅行して、駅のホームのうどん屋に入ったときは「ハイカラうどん?」と首をかしげました。関西の薄味のつゆもまたおいしいですね。
きつね(油揚げ)とたぬき(天かす)の両方を入れたうどん/そばが、むじなうどん/そばです。貉(むじな)はあなぐまの別名だそうな。
油揚げを「きつね」というのは、稲荷神社の神の使いである狐の好物が油揚げなことによります。油揚げで包んだ寿司が稲荷寿司です。
10年前、W大の男子学生が京都伏見稲荷大社の千本鳥居で撮った全裸の写真をツイッターに投稿して話題になりました。
「伏見稲荷大社にケンカ売ってきた」と全裸写真を投稿 - ライブドアニュース
寄せられた声が「それはあんたのおいなりさん!」
神社には神の使いの動物がいますね。
稲荷神社・・・狐
熊野神社・・・烏
日吉神社、日枝神社、山王神社・・・猿
(豊臣秀吉の幼名が日吉丸というのは、猿に似た秀吉を日吉神社に結び付けた後世の創作のようです)
八幡神社・・・鳩
(八の字が鳩になっている御朱印をいただけたらラッキーです)
天満宮、北野神社、菅原神社・・・牛
鹿島神社、春日神社・・・鹿
ちなみにですが、東京墨田区の三囲(みめぐり)神社は字が三井に通じることから三井グループの氏神とされ、閉店した池袋三越に鎮座していたライオン像を狛犬のように三囲神社の境内に設置しています。
狛犬とは、阿形と吽形の2対があります。日本に伝わった飛鳥時代は両方とも獅子でした。平安時代ごろから、角がなく口を開けた阿形の獅子と、角があり口を閉じた吽(うん)形の狛犬となり、現在では両方を狛犬と言っています。
神社の狛犬のように犬の像を祀っているお寺があります。長野県駒ケ根市の光前寺です。村人を救った霊犬早太郎の墓があります。
光前寺に犬、水前寺はチーター。