前回の一覧を再度示しておきます。
- 巫(みこ):神託を口舌でもって告げるもの。
- 毀折:茎などがもろく折れること
- 附決・枝についていた実が離れること:兌は秋に当たるから
- 剛鹵・地質が硬くアルカリ性:沢のあとは、とかくそうなる
- 妾:兌は少女であり、少女は姉の嫁ぐとき娣妾(わきよめ)になるから
巫と剛鹵は、兌との結び付きが一応納得できました。残りを見ていきましょう。
「附決」は辞書にはないようですが、枝に〈附〉いていた果物が、枝から〈きれる〉ことを言うようです。秋からの連想として、わかりやすいですね。
「毀折」は、秋には草木が枯れることに由来するなら、納得できます。ただ、現代日本語では何と言うべきでしょう? また、「茎」? 古くなったものや壊れやすい物一般ではなさそうです。少なくとも、くたびれた車は坎でした。
「妾」は、兌☱が末の娘であることに由来するようです。ただ、古代中国の文化慣習が当方にはわかりません。「少女は姉の嫁ぐとき娣妾(わきよめ)になる」のでしょうか? 娣妾は辞書にはないようですが、「わきよめ」とのふりがなから、古くは日本語にもあったのかもしれません。娣には「おとうとよめ。弟の嫁。弟の妻。」との意味があるようですが、本田の解説に従うなら、姉が嫁ぐと、その嫁ぎ先に末の妹も赴き、正妻ならぬ妾になる? これが兌の表す〈喜び〉??
「妾」の意味を確認しましょう。コトバンク(中身は『デジタル大辞泉』)の語釈から察するに、こういうことのようです。
- 大本の意味は、人に「目をかけ」られた人や物
- ここから、正妻のいる男性に「目をかけ」られる女性を指すようになる
- 大本の意味合いに照らすと、目をかけられること自体は、確かに喜ばしい
- 会社員などは、上司に目をかけられると、なるほど喜ばしい
- アニメ『薬屋のひとりごと』を見ると、遊女は身請けされると嬉しいのかも?
ただ、占う際の解釈としては、どうでしょう? 恋人ができるとか、肯定的に捉えてよいのでしょうか? あるいは配偶者の浮気を示唆する?
もちろん、占う際は八卦ではなく六十四卦を使うのでしょうが……
整理すると、
- 口→口舌、巫
- 秋→毀折、附決
- 沢→剛鹵
- 喜び→妾
となりそうです。
以上で、『説卦伝』読了です。