坎は☵、子/北/冬を担い、五行では水/黒ですが、その象徴は? カギ括弧「」なしで引用しつつ、一覧にします。
- 溝・小さいみぞ、瀆・大きいみぞ:水に連なる。
- 隠伏:水は地中にひそむから。
- 矯輮・まげたわめる:水はどんな形にも曲がるから。
- 弓と輪はその曲がった形の例(清の王夫之)。
- 加憂・つもる憂い:坎は険難であるから。
- 心病・胸の病い:険難を憂えるとこの病気になる。
- 耳痛:坎は険難だから、苦労の卦である。聴くことに苦労を積むと耳が痛む。
- 血卦・血を意味する卦:人体の血は地中の水に相当する。赤は血の色。
- 各種馬
- 美脊(びせき)・背中の美しい馬:坎☵は陽爻が真ん中に通っているから。
- 馬の疲れたさま:坎は苦労の卦であるからこれにたとえる。
- 亟(きょく)心:心のせわしい馬
- 下首:頭を垂れる馬
- 薄蹄:蹄の擦りへった馬
- 曳:足を曳きずる馬
- 坎:災厄の多い車。くたびれた車は故障しやすい(『周易折中』)。
- 通ずる:水はどんな隙間にも流れるから。
- 月:水の精
- 盗人:水はひそかに忍びこむから。
- 堅くして心多し:心は芯、坎☵は剛爻が中にあり、木の芯に似ている(『正義』)。
各種馬は、スルーします(^_^;) 坎の象徴に「坎」を交えるって、どうなの? とは思いますが(^_^;) 各象徴は「水」と「陥」のイメージから導かれるようです。
水
水が通る「溝」は、現代日本語なら大小問わず溝で良いでしょう。
地中に潜む水(地下水)から「隠伏」、井戸は掘り当てるものですしね。
「月」は東洋思想でも「水の精」なのでしょうか? 太陰暦には月の満ち欠けと潮の満ち引きが関わるので、東西問わず、水と月は結びつくのかもしれません。個人的にはライダー版タロットの女教皇を思い出します。
水は生命に不可欠ながら、〈悪い〉意味合いもあります。防水したのに濡れていることがよくありますが、ここから「通ずる」し、「ひそかに忍びこむ」ことから、「盗人」まで配当されます。自分が盗むのか、被害に遭うのか、どちらもあるでしょう。
ただ、それこそタロットのカップが水を表すスートであるように、容器の形に応じて自在に変形することから、「矯輮」とされます。そんな水の影響で変形したもの、そうやって作られたものとして、「弓」と「輪」も位置づけられるようです。
更に驚きなのは、「血卦」。「人体の血は地中の水に相当する」と言われれば、そんな気もします。女性の「月」経に限らず、怪我の流血なども含意するのでしょうか? しかも「赤」まで。赤といえば、五行の火や乾の「大赤」を確認していますが、今回は坎。随分赤が多いです。
陥
☵は、一陽が二陰に因われているため、「陥」なのはよいとして、ここからの連想が多彩です。ストレートなのは「堅くして心多し」。力点は芯にあるようで、「木の芯」が代表例です。
何か困難な状況に〈陥る〉と憂鬱になるからか、「加憂」だそうです。結果として胸が苦しくなる=「心病」上、嫌な話に〈耳が痛い〉、「耳痛」になります。ただ、自分が周囲の人をそうする意味合いもあるのかも?
ただ、注意しても陥る・罹患するのが病気でしょう。病気一般が坎に配当されるわけではない?