「クウォンツの帝王」と言われたジェームズ・シモンズ氏が死去(享年86歳)したということです。
クウォンツと言えば、あのリーマンショックの約1年前、2007年8月に突然発生した金融ショックに思いが至ります。
クウォンツ・ショック
数理アルゴリズム取引の連鎖が引き起こしたということで名づけられましたが、一般的にはあまり知られておらず、ほぼ同時に起きたパリバ・ショックとして認識されているようです。
シモンズは、その研究成果が現在素粒子物理学の最先端理論である「超ひも理論」に取り入れられ、その発展に貢献したことで有名になった数学者でした。
そのシモンズが40歳を過ぎて、当時の金融界とは一線を画した高度な数理モデルと徹底した秘密主義でアルゴリズム取引ファンドを立ち上げ、大成功を収めたのでした。
このクウォンツという言葉は、最近ではAIと置き替えた方が分かりやすいですね。
さて、
前々回は、日経平均の細かい動きに似た動きの銘柄はS式運用の方が良さそうだ、ということでした。今回はその続きです。
まず、
そもそもS式運用とは何か? ここで今一度確認しておきましょう。これは私が勝手につけた名前で、
【銘柄1321の売買信号で個別銘柄の売買する方式】
を指します。
随分乱暴ですね・・・。個別銘柄の分析情報は必要としない?
以下、S式運用を含めて3方式を比較しています。いずれも売却益の約20%の税金を支払った(分離課税)前提での手元残金での比較です。
○S式運用 : 銘柄1321の分析結果で売買
○個別株分析 : 個別銘柄の分析結果で売買
○B&H
図2は、銘柄1570を10年間連続運用した場合のシミュレーション結果です。縦軸は運用による資産倍率(手元残金額/初期投資金額)です。
<図2 銘柄1570の運用方式の比較>
S式運用のパフォーマンスが徐々に他方式に差をつけていく様子が見て取れます。
もし10年前に運用を始めたと仮定すると現在の資産倍率は
○S式運用 約20倍
○個別株分析 約10倍
○B&H 約5倍 (日経平均は約2.5倍)
と圧倒的にS式が勝っています。
セブン・サムライの中でSCREENホールディングス株は、銘柄1570のパフォーマンスに近い動きとなっています(図3)。
<図3 10年運用 SCREENホールディングス>
では、
運用期間が比較的短期間の場合はどうなるでしょうか?図4は同じくSCREENホールディングス株を3年間運用したと仮定したシミュレーションです。
<図4 3年運用 SCREENホールディングス>
デコボコはありますが、S式運用の優位性はありませんね。
次に、
運用期間を、コロナショックを経験した6年間でシミュレーションしてみました(図5 )。
<図5 6年運用 SCREENホールディングス>
個別株分析(文字色:緑)の場合は、コロナショックの影響をまともに受けて利益を減らしただけでなく、その後のリバウンドでの株価上昇をフォローできていません。
それに対してS式運用(文字色:赤)の場合はコロナショックを回避し、その後のリバウンドで着実に利益を上げています。
この期間を少し子細に見てみましょう。
<図6 6年運用 SCREENホールディングス>
図6の右半分の3年間は、図3(3年運用)と同じ期間です。この間は運用差が認められない期間ですから、結局、コロナショックで大きな差が出たということになります。
セブン・サムライ中の三菱商事の例を図7に示します。
<図7 6年運用 三菱商事>
この場合はコロナショックの影響は軽微であり、時間の経過とともに徐々に差が広がっています。
個別株分析は金融ショックの影響を受けやすそうですが、どうやら銘柄ごとに状況が異なるようです。
もっと多くの銘柄について調べる必要がありますね。
次回に続く。