第44回江戸川乱歩賞受賞作品。
「亡国のイージス」や「終戦のローレライ」、「戦国自衛隊1549」の福井晴敏氏のデビュー作。
作品が作品だけに、まじめなレビューは様々な方が素晴らしい物を書いていらっしゃるので、「毒舌」ではおかしな視点からいってみようと思います。

福井氏といえば、ガンダム。
ターンAを書いたり、今もUCを書いておられるガンダム好きさんとして有名だが、久し振りに「Twelve Y.O」を読み返して最初に思ったコトは

「福井さん、もしかしてエヴァもお好きですか?」

いや、メインキャラクターがね。
福井氏には失礼な感想になってしまうかもしれないが、微妙にイメージ被るんだよ。
ヒロインであるウルマこと理沙ちゃんは、顔に絆創膏、腕とか色んなところに怪我してて包帯だらけの”戦う”女の子。
しかも戦い方は知っていても、一般的な知識にかなり欠落している様子というか、ハイティーンの少女らしさがほとんど見受けられない、感情が欠如しているように思える、淡々として無表情な子。
そんな彼女と行動をともにしている東馬は、元は防衛庁情報局、通称「DAIS」という秘密組織の主要人物であった中年のおっさん。
理沙ちゃんは東馬のために働くコトだけが生き甲斐で、東馬はそんな理沙ちゃんを大切にしている様子もあるが、自分の目的のために駒として扱っている。

どこか、綾波レイと碇ゲンドウの関係に、微妙に似ている。

もう一人、「DAIS」の由梨という女性士官の存在。
彼女は東馬の愛人だった女性で、任務というより私怨でテロリスト「トゥエルブ」こと東馬をとっ捕まえようと追いかける。
組織の主要人物と部下で、同時に愛人関係。
しかも、男は自分よりも若いお嬢ちゃんを気にしている模様。
最後には東馬を庇う理沙ちゃんに
「どれだけあたしから盗んだら気がすむの!?」
と銃口を向けて叫ぶ。

・・・ゲンドウとリツコさん??

指揮官として動きながらも、自ら前線に立って戦う由梨は、ミサトさんとリツコさんを足して2で割らないようなキャラクターに見えないコトもない。

東馬にしても、アメリカと日本という二つの国を相手に起こしたテロ行為に「自分を捨てた父親に逢う」という、非常に個人的な目的が含まれているあたり、「死んだ嫁にもう一度逢う」が最終目的のゲンドウと似通った部分がある。(東馬もゲンドウもそれだけが目的じゃないけど^^;)

なんて、めちゃめちゃどうでもいいコトをこじつけてみたが、どうだろう。
「戦う女の子」と彼女を取り巻く人々としては、使いやすい設定とも言えるかもしれないが、江戸川乱歩賞を受賞した作品と、終わってから10年以上経過しても人気の高いアニメであるエヴァンゲリオンの登場キャラクターに共通点がある、と感じられるのも面白いんじゃないかと思う。

あ、もちろんストーリーは文句なく面白いッス。
でも専門用語が結構出てくるから、ミリタリー物とか読んだコトない人にはピンとこない描写もあるかも?


ラノベ作家、沖方 丁(うぶかた とう)氏のライトノベルの書き方マニュアル本。
別にライトノベルの書き方が知りたかったワケではないのだが、何となく惹かれて読んだ本。
マルドゥック・スクランブル以降、ラノベ作家さんの中では一番好きな方なんで気になったのかな~。

内容は沖方氏の代表作であるマルドゥック・スクランブルとカオス・レギオンを例に挙げ、ネタ出しから「こんなカンジでまとめるんですよ~」みたいなのが1時間目、2時間目、と授業形式で進んでいく。
ライトノベルの書き方だけあって、中高生を対象にしてるんだろうね。
くだけた文体とわかりやすい言い回しで、気軽に読める。
電車で読むのに最適な本かも(笑)

さっきも書いたけど、たぶん対象はラノベ作家を目指す中高生。
なんだけどさ。
企画とかやってるビジネスマンにもお勧めかもしれない。
なんかね、すっごくシンプルに小説を書くまでの過程が説明されてて、とにかく「何かをまとめる」にはこうやって考えていけばいいんだ!と思わされたよ。


上の画像は「神狩り」ではなく「神狩り2」ですが、今日の感想文は「神狩り」。
1975年・第6回星雲賞短編部門受賞作品。
山田正紀氏のデビュー作。
って、デビュー作で星雲賞受賞か。すごいなぁ・・・。
しかもコレ書いたのって、まだ24,5歳の頃なんだよね、山田氏。
や、マジですごいわ。

どんなお話かってゆーと、主人公である若き情報工学者・島津が古代文字の解析に挑み、事態は二転三転して何故か神様に挑むコトになる話。
・・・・・・すんません。簡潔に書き過ぎました。
もうちょっと書きます。

情報工学者の島津くんがね、作家先生に依頼されて、とある遺跡に「古代文字らしき物」を見に行ったところ、遺跡が壊滅状態に陥り作家先生は哀れにもお亡くなりになってしまうところから物語りは始まります。
崩れた遺跡に閉じ込められた島津くん、ここで霊的な存在と接触します。
そしてソイツが言うワケです。
「古代文字、解析しようとか思ってかんよ~」(←山田氏が愛知出身なので名古屋弁にしてみましたw)
みたいなコトを。
島津くんの現在地は閉鎖空間なので、薄くなっていく酸素と意識の中、「は?ちょっ、アンタ誰。ワケわかんね」と思いながら意識を失った島津くんは無事救出されますが、同行した作家先生はお亡くなりになってるし、大事な遺跡壊滅しちゃってるしってワケで、職場から追い出されちゃいます。
さぁ、島津くん困ったΣ(´(・)`;)
解析してかん!と言われた古代文字っぽいモノ、非常に気になる。
が、職場から追い出されちゃったんで解析に必要なコンピュータがない!(1970年代が舞台だからね♪)
ここで島津くんに接触してくる謎の男。
この男の呼び出しにほいほい顔を出しちゃった島津くんは、迂闊にも一服盛られてこの男の下で「古代文字らしき物」の解析に勤しむコトに。
ここから、事態が急転。
何故か「神様と戦う」という運命を辿るコトになっていく・・・。

大雑把に書くと、こんなカンジ。
・・・大雑把すぎるけど。
SF作品といっても、一般的にイメージされるロボットとか宇宙人なんてのは出てこない。
霊能力者は(ちょっとだけ)出てくるけど、主人公である島津圭助は有能な学者ではあるけれど、何か特別な力を持っているワケじゃなく、あくまでも普通の人間。
舞台だって、近未来でもない。
作品が書かれた時代そのまんま。
ごく普通の日常を送る人々を見ながら、主人公たちは「神様」に挑んでいく。
そういうお話。

山田氏の他の作品にもあるコトだけど、戦いの結末は書かれていない。
「古代文字らしき物」も解析されないままだし、それどころか敵であるところの「神様」だってよくわからないまま話は終わってしまう。
こう書くと短編だし読み終わったとき消化不良を起こすんじゃないかって気になるけど、しっかり「本を読んだな」って気にさせてくれる作品。
通勤途中にちょこちょこ、よりも、休日にじっくり読む方が個人的にはオススメ。

が、「神狩り2」は続編であって続編でない感じの作品らしい(ワタシもまだ読んでないw)ので、続けて読むのは微妙かも^^;