完成[ ONLY GOD CAN JADGE ME ] 解説/オーダー革ジャン | 五月雨薫のDear.Rock'n'roll. 【生き辛さをブチ壊すアートのススメ】

五月雨薫のDear.Rock'n'roll. 【生き辛さをブチ壊すアートのススメ】

絵描き五月雨薫のブログ。
色鉛筆画とフルオーダーの革ジャンペイントをメインに、アナログスタイルに拘って活動中。
岡山で暴れ回っている美術モデルBambiとは同一人物。
表現活動を通してよりよい明日を提供することを生業としています。

皆様ごきげんよう、絵描きのKaoru Samidareです。

 

 

もう出来るぞと思ってからが長かった。

毎度お待たせしてしまってすみません。

やっと紹介できます、フルオーダー革ジャンペイント新作です。

どうぞお付き合いください。

 

 

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誰にもあたしは裁けない。

 
 

「ONLY GOD CAN JADGE ME」(2023)

 

 

 

ベースの革ジャンはアメジャンのド定番、ショットのワンスター。

今まで意外とありそうでなかったので、今回ペイントできて嬉しいです。

 

 

 

タイトルの直訳は、「自分を裁けるのは神だけだ」。

「誰にも自分を裁けない」

「好きなことをやらせてもらうぜ」

という意味の、タトゥーで定番の文言のひとつです。

いつもオーダー主様のお話を色々お聞きして構成を考えていくのですが、今回は「オーダー主様をイメージして」という部分に加え、実は「あたしからの思い」という意味合いが結構強くあります。

 

 

 

どこまで書いていいのか難しいのですが、書かせて下さい。

今回、一番最初にご連絡を頂いた際、

「これといって何も具体的なアイデアはありません」

という感じでした。

あたしにペイントのご相談を下さる方は、「完全におまかせ」というスタンスできて下さる方も多いです。

だから「今回もそんな感じになるのかな?」と思ったのですが、お話を進める中で色々と思うことが出てきたのです。

 

 

「お好きなものや大事にしていることなど、ご自身について何でも教えて下さい」

というと、

「今はこれといって趣味らしいものはありません」

とのこと。

しかし、話を聞けばお好きなものもこだわりも沢山あるし、しっかりとご自分というものを持っていらっしゃる方だということが分かってきました。

それなのに、

「色々と書きましたが役に立つ情報がなくてすいません」

みたいなことまでおっしゃるので、もうあたしの頭の中では「?」でいっぱいに…。

 

 

「う~ん???」

「なんで大枚払ってあたしに絵のオーダーまでしてくれるような人が、こんなに自分には何もないと思っているんだろう???」

と心の底から思ったのですよね。

 

 

そういう経緯があり、今回のペイントには

「あたしの革ジャンを背負ってもらう以上、今後の人生、二度とこんなことは言わせねえぞ」

という、あたしの強い意志が込められています。

 

 

image

 

 

一番最初に、

「エッチな吸血鬼とかピンナップガールなどを考えていたけど、五月雨の"Go to happy"を見て、天使もいいなと思った」

「天使と悪魔で悩んでいる」

というところからスタート。

一先ずたたき台として、悪魔の女の子がこめかみに銃をあてているものを提案しました。

 

 

参考にオーダー主様がお好きな漫画やアニメなどの画像を沢山送って下さったので、それを見ながら、主役の女の子はオーダー主様のお好きそうな

「ちょっと勝ち気で意地悪そうな顔の女の子」

に設定。

ちなみに、この時点ですでにタイトルの「ONLY GOD CAN JADGE ME」のコンセプトは出来上がっています。

 

 

以下、打ち合わせで出たご希望をズラッと。

「60歳男性が普段着られる雰囲気で。」

「薔薇がお好きだということで薔薇。」

「今回は還暦祝いなので、60にかけて薔薇を6個、ツルで繋ぐ。」

「ハーレーダビッドソンのシンボルマークのイーグルをイメージした大きな翼。」

「女の子の髪形は2013年に制作したペイント革ジャン"PUSSY RIOT"の女の子にような感じで。」

「前髪にのみメッシュを2色。1色はローズ色で2色目はおまかせ。」

「牙(犬歯)をチラッと見せるように。」

「女の子は"実はルシファー"というイメージで。」

「ラフ案のブラから変更して、クロップド丈のTシャツに。」

(叩き台のラフ案では三角ブラにホットパンツの女の子だった)

「Tシャツには指定の文字を。」

などなど、追加案、変更点をどんどん入れました。

 

 

また、最初は

「瞳の色は黄色と紫のぼんやりとしたグラデーションで。」

というご希望でしたが、制作途中の画像をご覧になったオーダー主様から

「アメリカンギャルっぽすぎるから(人間っぽすぎるから)、もっとルシファーっぽくなりませんか?」

というご相談があり、目の色と瞳孔の形を変更。

「背景に翼を描くことで、暗に彼女がルシファーであることを匂わせる」

というイメージで制作していましたが、もっとしっかりと人間ではないことを前面に出すかたちになりました。

 

 

そして沢山あるご要望をまとめつつ、あたし個人のこだわりとして、

「オーダー主様が乗られている格好良いワインレッドのハーレーに、革ジャンがシンクロして映えるデザインにすること。」

がありました。

ペイント全体のカラーリングは、あたしの単純な好みもありますが、男性が着用されることに加え、所有されているハーレーのカラーをイメージして、渋くクールなものにまとめてあります。

 

 

 

 

女の子のポーズはこめかみに銃を当てたポーズです。

オーダー主様がお送り下さった情報で「銃がお好きなのかな?」と思い、最初は実際に銃を持ったかたちで提案したのですが、「手にして欲しい」というご希望で変更。

 

 

変更した目の色も効いてます。

メッシュの色は2色目に悩みに悩んで、ローズ色と綺麗に馴染んで全体を邪魔しないということでオレンジに。
 
 

Tシャツの文字列もオーダー主様からの指定です。

上手く収まってくれたと思います。

 

 

 

 

 

 

色数はしぼっていくのが五月雨流。

紙物の絵はもちろん、革ジャンは着る物なのでなおさらです。

補色のダークレッドとブルーグリーンに白が映えて気に入っています。

 
 
 

 

 

 

袖にはオーダー主様の愛猫さん2匹と薔薇。

「袖のペイントはあってもなくても…、何かあれば提案して下さい」

という感じでした。

バックペイントの下絵について取り組んでいる際に、

「愛猫を入れて欲しい」

という話になり、バックペイントの薔薇を前面に出したいこと、猫さんは猫さんでしっかり主役として扱いたいことなどから、袖に入れさせて頂きました。

袖のペイントのサイズ感はとても難しいのですが、今回は二の腕のタトゥーのようなイメージで、しっかり大きめにペイントしています。
 
 
 

リボンの文字は、ボブ・マーリーの名言から

「自分の生きる人生を愛せ。自分の愛する人生を生きろ。」

です。

そう、これは完全にあたしからの暑苦しいメッセージです。

 

 

 

袖にもペイントが入る場合は、いつも「それがあることでバックペイントがより引き立つ」ということを意識してデザインしています。

毛の色が難しい子たちでした。

パソコン画面の関係で、色がどのぐらい実際の毛並みの雰囲気に近いのか、本当のところが分からないのが辛い…。

近くなっていますように…。

 

 

 

リボンの文字のカラーがお気に入り。

image

image

さりがないグラデーションが、派手過ぎず変化がついて良い感じです。

 

 

 

右下にサイン。

綺麗にキマってよかったです。

今までのあたしのサインの字体って、「中学生の頃から描いていた中途半端な筆記体のようなもの」だったのですが、今回きちんとした筆記体で描いたことをきっかけに、今後はこうしていこうかな?と思ったり。

なにせいよいよ海外でやっていくわけなので…。

 

 

 

今回も苦戦した薔薇。

一体いつになったらすんなり薔薇が描けるようになるんだろう…。

なんとか納得いくところまで持っていけてよかったです。

 
 
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あたしはいつも、あたしにオーダーを投げて下さる皆様のことをとても尊敬しています。

 

 

ご自分の好きなものを明確に持ち、それにきちんと価値を感じ、実際に投資することが出来るということは、これほど物や情報が溢れた今の社会では、思っている以上に当たり前のことではありません。
ましてやあたしは現状無名の絵描きです。
オーダー主様はそんなあたしと、あたしの絵の価値を信じて、高いお金を払って下さるわけです。
これは自分の好きなものが何か、やりたいことが何かが分からず、自分というものを持てないまま世間に流されて生きているような人たちには、決して出来ないことでしょう。
好きなものを好きだと言えることは、とても尊いことなのです。
 
 
そしてこれは、あたしにオーダーを下さる下さらないに関わらず全ての人に伝えたいことですが、世界にたった一人のあなたの存在を、決してありふれたものだなどと思わないでください。
あたしのフルオーダーペイントは、それを思い出すためのツールです。
世界にたった一人のあなたのために、世界にたった一つの革ジャンを作っています。
あなたのパーソナリティー全てを包み込み、肯定するための仕事です。
あたしを信じてくれたあなたのために、全力で取り組んでいます。
 
 

 

 

 

誰にもあなたを裁くことは出来ません。

あなたの愛する、あなたの人生を生きて下さい。

 

 

今回も長い期間お付き合いいただき、誠にありがとうございました。

この出逢いに感謝します。

 

 

 

 

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