皆様ごきげんよう、絵描きのKaoru Samidareです。
お預かりしていた革ジャンをお返しして、その反動もあるのか相変わらず寝たり起きたりしてますが…、
あたしは元気！！！！
もう今後は元気な人間として生きるぞという意気込みとともに、オーダー革ジャン完成レポート投下します。
どうぞお楽しみください。
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その玉座はあたしがもらう。
「ALICE IN ART NOUVEAU "I will take that throne."」(2023)
みんな大好きアリスです。
最多リピート数を誇るオーナー様から、なんと６着目のオーダー頂きました。
オーダー内容は
「アリスをアールヌーヴォー風で」
「アリス、チェシャ猫、白うさぎ、トランプ兵を入れて」
「五月雨が昔描いていた悪くてセクシーなアリスで」
といった感じ。
いつもこんな感じで詳細は任せて下さいます。
ちなみに、
「五月雨が昔描いていた悪くてセクシーなアリス」
というのは、あたしが１０代の頃から度々描いていた「アリスは１７歳」という、銃をぶっ放すアナーキーなアリスのシリーズのことです。
ご連絡を頂いた際に、オーナー様が「こんな感じ」と送って下さったのがこちら。
アルフォンス・ミュシャの有名な作品で、たばこのポスターです。
お話し伺った感じではオーナー様がめちゃくちゃアールヌーヴォーやミュシャが好きで、そこに色々とこだわりがあって…という感じではなかったので、沢山資料を見ながらも、あくまでも念頭に置いたのは「このポスターの雰囲気」でした。
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※アールヌーヴォー
19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に開花した国際的な美術運動。「新しい芸術」を意味する。花や植物などの有機的なモチーフや自由曲線の組み合わせによる従来の様式に囚われない装飾性や、鉄やガラスといった当時の新素材の利用などが特徴。分野としては建築、工芸品、グラフィックデザインなど多岐にわたった。
※アルフォンス・ミュシャ
1860年7月24日 - 1939年7月14日。チェコ出身でフランスなどで活躍したグラフィックデザイナー、イラストレーター、画家。
アール・ヌーヴォーを代表する画家で、多くのポスター、装飾パネル、カレンダー等を制作した。ミュシャの作品は星、宝石、花（植物）などの様々な概念を女性の姿を用いて表現するスタイルと、華麗な曲線を多用したデザインが特徴である。
以上Wikipediaより引用。
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そんなわけで、先のオーダー内容を受けて、
「片手に銃を持ち、女王の玉座を奪い、白うさぎを乱暴に捕獲し、トランプ兵を足で踏みつけるアリスと、それを茶化しているチェシャ猫」
という構成にいたしました。
文字のデザインもしっかりアールヌーヴォー調、下段の「M」と「W」が可愛くて好きです。
床に女王の王冠が転がっているのは、下絵のスケッチをご覧になったオーナー様からのアイデアです。
いつもこんなふうに、あたしには思いつかないストーリー性のある素晴らしいアイデアを下さいます。
あたし実はミュシャが大好きで、めちゃくちゃ影響を受けてきた自負があったんですが、いざそれっぽく描こうと思ったらまったくそれっぽくならず大混戦。
自分のなんでも描き込みまくるトゥーマッチな作風と、圧倒的に洗練された引き算によるミュシャの作風との壮大な距離…。
自分も好きなものばかりだし、アールヌーヴォーとアリスの世界観は相性が良いだろうからと、気楽に描き始めたことを心から反省いたしました。
さらに、今回デザインしながら非常に悩んだのは、
「トランプを基調とした直線的なデザイン」
と
「アールヌーヴォーらしい曲線を多用した有機的なデザイン」
との両立の難しさでした。
絵のアイデアとして面白いと思い、シチュエーションを「ハートの女王の城の中」にしてしまったため、背景には「トランプ感」が欲しい。
…が、トランプっぽいシャープなデザインにするとアールヌーヴォーっぽくなってくれない。
幸い、オーナー様が送って下さったポスターは、ミュシャ作品の中では直線多めのシャープな雰囲気の作品だったので、このポスターの雰囲気だけを意識するならまだなんとかなるのかなあ…と、終始葛藤しながらの作業になってしまいました。
アリスの表情をどれぐらい悪そうにするかも結構悩みましたが、わりと品よく賢そうな感じに収まりました。
もうとりあえず髪の毛は絶対こんな風に描かないといけない。笑
顔の描き方はミュシャの画集を見ながら、出来るだけそれっぽい感じにしてみました。
全体の色数を絞り、彩度とコントラストをおさえ、ミュシャのシルクスクリーンポスターのような透け感のある着色にこだわりました。
渋めの色調のおかげで格好良さも出ました。
オーナー様は男性の方ですので、着やすさという点でそういうのも大事です。
（過去におっぱいもおまたも出した天使のお姉ちゃんとか描いてきといてなんですが）
はじめ、いつもみたいに顔の陰影だの血色だのをガッツリ描いてしまった結果、ビックリするぐらいミュシャじゃなくなって絶望しまして。
色の濃さとコントラストを落とすために、絵全体にオフホワイトの絵の具をぶっかけて描き直したという…。笑
無茶苦茶なようですが、途中オフホワイトで塗ったのは大正解でした。
思い付いて実行した自分えらい。
アリス以外のキャラクターもとてもよい表情になりました。
「ひょー！！」
って言ってる白うさぎ。かわゆい。
うさぎが口開けてる顔ってかわいいですよね。
ぐるんとねじれたチェシャ猫。
今まで何度かチェシャ猫は描いてきましたが、圧倒的に気に入りました。
良い顔してます。
気の毒なトランプ兵のおっちゃんたち。
こんなユーモアのある面白い顔、自身の制作で描くことはないんじゃないでしょうか。
貴重な経験をさせて頂きました、楽しかったです。
サインと日付も、いつものノリで斜めに走り書きしそうになったたところを「あぶねー！」とストップをかけて、ミュシャのサインを参考にザクッとした丸目の文字に。
気が付いてよかった～。
女王の王冠も宝石の色などは省略して、ごちゃごちゃ描かないようにしました。
床は最初から絶対黒白のチェックと決めていたので、そのように。
ちなみにベースの革ジャンのフロントはこちら。
シンプルなセミダブル。
ブロンズカラーのファスナー類、裏地の渋い赤がイケてます。
このブロンズと赤色と、ペイントの色との相性も考慮しています。
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前記事で紹介したオーダー革ジャン「Dark side honey」と同様に、今回こそもっと早く仕上げてお返しするつもりだったのですが、本当に長いことすみませんでした。
一切急かすことなくお待ち頂けたおかげで、妥協することなく取り組むことが出来ました。
毎度毎度、感謝しか御座いません。
また素敵なお写真お待ちしております。
今回も本当にありがとうございました。
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【関連記事】
オーナーのPonseさんから、去年の革ジャン展の際にご感想を頂いております。
Ponseさんの格好良いコーディネートショット多数あり。
過去作品もリンクしてますので、ここまでの歴史もご覧下さい。
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再開まで今しばらくお待ちください。↓
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サミダレの時間の感覚が世間一般と大きくずれていることや、
ワーキングメモリ、キャパシティの小ささなどから、
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いつもありがとうございます。
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