今年も健康診断の時期がやってきた。例年どおり5~6人づつくらいに分かれて。
7月初旬、暑い中、県内の健診センターに足を運ぶ。
ここは希望すれば経口、経鼻いずれの胃カメラもしてもらえる。そのいずれも希望しない35歳以上の者は胃透視、いわゆるバリウムを飲んでのX線撮影。当然ヘタレな私は、「えづく」とか「鼻血が出ると」かの噂に怯えてX線しかやったことない。
それも憂鬱なのだが、同じくらい憂鬱なのがエコー検査。いや、2年前、左腎癌を小さい時点で見つけてくださったのだから感謝しなければならないのだけど、 なぜか私は人より時間がかかる。
原因は右腎にある血管腫と、同じく肝臓内の血管腫。もう毎年診ているのだから勘弁してと言いたいが、やたら右半身に時間をかけられる。エコー室は2部屋あるのだが、もう片っぽの部屋から「じゃあこれでジェルを拭いてくださいね」という「はい、お終い」の合図を2人分くらいは聞かされる。
血圧・採血・心電図などなど終了して、検査の中盤でエコー室へ。今回はそこそこな年配の女性検査技師さんが中で待っていた。
「じゃあ仰向けに寝て前をはだけて、手は頭の上に持っていってくださいね」
と指示されて開始・・・と思ったら、後ろから若い女性検査技師さんが入ってくる。すっと入れ替わってどうやらこの人が エコーをするらしい。
室内の照明を落としてジェルを塗られてあばら骨の下辺あたりからスタート。少しなぞっては「カチッ」とスイッチを押す音。画像のキャプチャーとプリントアウト。
「息を吸ってお腹膨らまして・・・。止めて・・・。楽にして・・・。はい、また息を吸って・・・」
と延々繰り返される。ともかく右、右、右。「まだかかるのかなあ」などと思っている間に隣室からは
「お疲れ様でした~」
なんて声が聞こえてくる。「スタートはこっちの方が早かったはずだけどなあ」
そろそろ手を上げてるのも疲れてきたな、と思ってたら、背後にベテランさんの方から声がかかる。
「そこ、同じところプリントしてももったいないでしょ。どうせとるなら反対側からいかなきゃ」
「もう少し右、あなたから見て右じゃなくて、反対側」
などなど。指示された若い技師さん、私に「楽にして」って言うのをすっかり忘れてジェルを塗りまくる。もういいや。勝手に呼吸しちゃえ。
「S2もう一度とって」「こうすれば血管腫がわかるでしょ」
「そこじゃなくて」
等々コーチングが続く。
あげく選手交代。ベテランさんが横に座る。
「もう少しで終わりますから」
「あの、手が痺れてきたんですけど」
「ああ、降ろしていいですよ」
なんだ、そうなの。もっとはやく言ってよ。
またジェルを塗られてサラッ、サラッと右半身にプローブを当てていく。
その後もう一度若い技師さんに代わって左を少しだけなぞって終了。
「お疲れ様でした。特に前と変わったところはありませんよ」
とベテランさん。
「このタオルで体拭いてくださいね」
いや、手が痺れてムリ。
ゴシゴシ拭いてもらってようやく退出。
まあ、こんな修行を経て2cmの腫瘍を発見できるようになるんだろうなあ。頑張ってください。