高血圧でお世話になっているかかりつけ医のH先生。月に1回程度、服用している薬が切れる頃に診察を受けているが、3月に診ていただいた折に

「次は心エコーをとります」

と言われた。心臓のエコーですか。

「ええ。血圧の高い人は心臓に負担がかかっている場合があるので、その程度を診ます」

指定されたのは土曜日の朝7時半。診察時間は9時からで、土曜日は患者さんが多いので8時過ぎから待合室を開けて8時半くらいには診察を始めてくださるのだが、

それにしも7時半。

開いてるのかなあ、と思って指定された時間の1、2分前に玄関に立つが扉はびくともしない。

まあそうだろうなあ、などと思っていると1台外車が医院の駐車場に滑り込んでくる。降りてきたのは先生夫人。H先生は夫人もお医者さんで、普段から2つの診察室に分かれて患者さんを捌いている。特に患者の希望がない限りどちらが誰を診るという決まりはないらしく、私も熱を出したときとかH先生が多忙の折に夫人先生の診察を何度か受けたことがある。H先生同様に優しい語り口なのだが、そこそこ早口なのと、なんでもサッサと片付ける雰囲気があって、ちょっと質問しづらい先生という印象がある。

その夫人先生が車を置くなりダッシュで私のそばへ。

「すみませんお待たせして。すぐ用意します」

と言って通用口の方へ去っていく。いや、そんなに待ってませんけど。今ちょうど7時半だし。

と恐縮している間に夫人先生が中から扉を開けてくださる。まだ他の看護師さんや事務員さんは誰も来ていない。どうやら夫人先生がエコーを撮ってくださるらしい。

カチっ、カチっと凄いペースで照明、空調、検査機器のスイッチを入れていく。話し方同様にあわただしいのだが夫人先生にとっては普通のペースなのかな。

「サムさんお待たせしました。どうぞこちらの部屋へ」

何度か入ったことがある検査室へ通される。

「ここで上半身脱いで、足首を出して待っていてください」

言われたとおりにしていると暫くして夫人先生が入ってきて室内の照明を落とす。普通のエコーと何ら変わらないけど心電図のときと同じような大きなクリップが両足首に付けられる。

仰向けかなあ、と思っていると

「左の方を向いて横になってください」

と言われる。それだと心臓が下になってやりにくいのじゃないかな、と思うがどうもそういうものらしい。目の前にはモニターが。ゼリーを付けられてプローブを当てられる。

「心臓は4つの部屋に分かれていて、その中でここが一番大事な部屋です。全身に血を送る役目をしています。」

やや小学生向けの説明のように聞こえるが要するに左心室のことらしい。弁が開いたりしまったりしているのが見える。

「この大動脈の辺りに白い影が見えますね。ちょっと脂肪がついていて動脈硬化の兆候があるんです」

ああ、健康診断の眼底検査でも言われたなあ。ほか、血流の逆流の度合い、心臓が縮んだり膨らんだりしているときの衝撃度合いなどなど。

早口かつ小学生向け用語と専門用語のミックスで、いまいち理解が追い付いていけない夫人先生の説明なのだが、先生は真剣な口調で終始いろいろと私に説明してくださるので相槌をうつしかない。

結局、心エコーの結果は

左心室の心筋が少し厚い、でもこれは高血圧の治療を続けていけば元へ戻るもの。血液の逆流は正常な範囲内、心臓が収縮したときの動きも正常な範囲内(ぎりぎり)など。まあ、高血圧患者の部類だけれどそれほど深刻なものではない、ということか。

この日はその後夫人先生の診察を受けて終了。

「やっぱり135を切るようにしたいですね、もう少し薬を増やした方がいいかな」

と言われるが

「これから暖かくなるからこのままにしましょうよ。また寒くなるころ考えます」

と勝手を言うと

「そうしましょうか」

とあっさり認めてもらえる。130-140の間なら昔は正常範囲だったんだけどなあ。

「そういえば入院中はずっと120台だったんですけどね」

と言うと

「いい環境だったんですねえ」

とこのときだけゆっくりした口調でしみじみ言われてしまった。

まあ、血圧上がっちゃわないように、気を付けて過ごします。

診察終了時に至るまで、まだ他の事務員さん来ず。なんと夫人先生自らの会計で支払いをして帰りました。

次回、H先生にもう一度ゆっくり今日の結果を教えていただこう。