土曜日の夜を家で過ごして日曜日の朝を迎える。いよいよ今日は本格的に入院。
「14時過ぎまでに病院へ戻ってきて下さい」
と言われているので途中昼食を取ることなど考慮すると、11時頃には家を出なければならない。
私が留守の間のお金の在りか、
何かあったらの連絡先、
私が不在の間誰も動かすことのない愛車を5、6キロ無駄に走らせる、
最後に部屋に掃除機をかけて
等等未練たらたらで、11時過ぎに家を出る。
あれだけ病院内窃盗の話を聞かされたので定期券や身分証明書等は家に置いて、数枚の千円札のみ持って。
部活にでた次女は別として、長女と妻が付いてきてくれる。途中ターミナル駅で昼御飯。最後にがっつり中華を、と入るが結局食べたのはラーメン1杯のみ。気が重くて。公共交通とタクシーを乗り継いで13時40分頃病院へ。
昨日と同じく休日のひっそりとした外来、同じくしずかなナースステーション経由。初めて病院にきた長女は「お祖父ちゃんが入院してたのと一緒」と言う。父が入院していたのは全く違う病院だが、確かに似ている。よく覚えてるね。
売店が日曜日は3時に閉まるので、とり急ぎ手術に必要なT字帯を買いに行く。
戻るとこの日の担当看護師のWさんが、昼食後服用という下剤と弾性ストッキングを持ってくる。これか。丈はふくらはぎがすっぽり入るくらい。つま先まで覆えるが、その先は穴が開いている。これならあまりむくみとかないかな、などと想像する。下剤は紙コップに入れた液体に溶かして飲むように言われる。そんなにキツいものではなく、夕食後に効いてくるものらしい。
前処置はお腹の回りの毛を剃る、というので、パジャマに着替える。
着替えるついでに、入院中ずっと付けることになる名前とバーコード、生年月日が書かれたリストバンドもつける。
 最近は剃毛は不衛生なのでしない病院も多いと聞いていたが。家族には外に出てもらい、処置開始。ホントのお腹回りだけかなと思ってたら
「いや、もっといきます」
と遠慮なくパンツを下げられて、ほぼ全て手持ちのバリカンでカット。いや、手術する箇所はもっと上だと思うんだけと。まあ、羞恥心を持っていても仕方がないので、それは捨てて、ベテランっぽい看護師さんだったので、刈られながら「やっぱ術後は痛いですか?」
と、もう何人もの病院スタッフに聞いた質問をここでも。
「そりゃあ、腹腔鏡って言っても手術は手術。「ダヴィンチって開腹と比べたらマシだって聞いていたのに」とか言う人多いけど。
 サムさん薬漬けとかアルコール漬け?そういう人は痛み止めが効きにくいの。あと、痛みを軽減はできるけど、ゼロにしようと思わないで。ゼロを求める人が「効かない効かない」って言うの。案外「私、痛いのに弱いんです」って言う人ほど大丈夫なものよ。」
と現実的なお言葉。
お臍の洗浄もあったが、
「男の人は清潔じゃない人が多いけど、サムさんはきれいだね」
と思わぬ所でお褒めを頂く。
処置後、売店で買ってきた雑誌を黙々と読む妻子のヨコで一人ため息つきまくる私。「パパってメンタル弱いなぁ」
と長女が笑う。ええ、そうですとも。高校生のクセにインフルエンザの予防接種が恐くて逃げまくってるあなたの父親ですから。
夕方5時半まで付き添ってくれた妻子が帰り、いよいよ一人。6時に晩ごはん。それなりに食べることができる。
7時を過ぎると病院はひっそりと静まってきて、早くも夜の雰囲気。準夜勤担当の看護師Tさんが来て
「下剤の効果は?」
と聞かれるが「お腹はグルグル言うんだけと出てない」と。
「まあ明日の朝は浣腸しますから心配ないですよ」。じゃあなぜ下剤を?
夕食後、昼間に買った天然水の残りを飲んで、8時頃から補水液OS1を口にする。
500ccを2本。これを均等なペースで手術前、明日朝6時過ぎまでに飲んでほしいとのこと。飲めなくても捨てないで残しておくようにと言われる。
入院の日説明でNさんから聞いたが、これを飲み始めるともう手術前まで(後も)他のものは絶飲食。ああ、カウントダウンやなあ。ポカリ〇エットよりちょっと塩味が強いか。
一人になって、TVで日本シリーズを視つつも、なんとも気持ちは落ち着かない。部屋の空調が強いんだか弱いんだか、暑いんだか寒いんだか、どっちかわからない。巡回に来たTさんに言うと
「不安が身体に出てるんですよ」と。
「一応薄いふとんもあるので、出しときましょう」
と言ってくれたが、出てきたのはタオルケット。極端。でも天気予報では明日明後日は季節外れの陽気とかなんとか言っていたなあ・・・。
途中、日本シリーズのきわどい判定を巡って兄貴が
「今のはセーフだな」
などとメールを送ってきてくれる。このやりとりで少々気を紛らわす。
で、8時を過ぎたあたりから下剤が威力を発揮。
「そんなに強い下剤じゃない」
と日勤のWさんは言ってたけど、平素からお腹の弱い私には充分過ぎる。
途中、9時ごろTさんが巡回に来たときに「どう?」と問われ、
「4回くらい行ってます」と言ったが、それどころか、10時の完全消灯を過ぎても、まだ行く。記憶では隣の病棟とこちらの病棟のトイレを交互に使い、9回は行った。もう何もありません。何ならOS1を飲むのも嫌になってきた。
などと言いつつ、処方してもらった睡眠剤を10時過ぎに服用して眠る。