そんな、ヘタレな心境で日々を送りながら、会社で手が空くとちょくちょく妻の携帯をコールしていた。

憂鬱、不安、どうなるんだろう、みたいな気持ちを何度も妻に愚痴っていた。妻はいちいちそれを聞いてくれたし、「そんなこと言ってもしょうがないやん」とは言わなかった。(言いたかったかもしれないけど)「不安なことは今のうちに全部言うとき」と言ってくれたので、遠慮なく愚痴らせてもらった。よく聴いてくれたもんだと今でも感謝してます。

ところで、いちいち携帯で言っていたのも、まだ、子供たちに伝えていないので、家ではあまり大っぴらに言えないから。

子どもは二人、どちらも女の子で高3と中3。定期試験に受験に(まだ引退していない)部活にと忙しい日々を送っている。できれば余計な心配はさせたくない、でも私が入院するのだから生活上の変化がどうしても生じる。塾の送り迎えとか、急に学校行事でお金が要るようになったときとか、普段は私に言ってきているが、そこを妻に代わってもらわなければならい。

妻は「あれこれ聞いてくるからきっと大変。入院する直前に言ったらええよ」

と主張。

でも、さすがにそろそろ言わねば、と思ったのは、手術を2週間先に控えた10月の連休のころ。

仕事を片付けるため休日出勤するとき、「今日の晩御飯どきに子どもたちにも伝えるよ」

と妻に言って出かける。

で、夕方6時過ぎに帰宅。よし、言うぞ、びっくりするかな、どうってことないって反応かな、どちらだろう。それなりに腹をくくって玄関を開けた私の耳に飛び込んできたのは、妻の絶叫だった。

「台所の蛇口壊れた!晩御飯作れへん、どうしょ?」

えっ?何が起こったの?

どうやら、台所の水道の蛇口の根本から水漏れが起きていて、水がちゃんと出てない。祝日のそれも6時を過ぎてどうするんだ。

「水のトラブル110番みたいなチラシあったやん、あれ呼んで!」

大騒ぎ。とりあえず落ち着きを取り戻すために、来てくれるかどうか業者に連絡。3~40分で来れるとのこと。

「エ~、ここに入ってくるの?じゃあ片付けなきゃ」

と長女も大騒ぎに。

とりあえず、業者が来たら修理に何分かかるかわからない。しかもその後、妻はまた台所でバタバタするだろうし・・。

「いや、あのね、こんな時になんだけど、パパは2週間後入院するからね」

「えっ?」

「体の中によくないものがあって、それを取るための手術を受けなければならないから、24日から2週間ほど入院することになるから。手術の日はママにずっと病院にいてもらうことになるから、ちゃんと自分たちで戸締りとかするんだよ」

「それも大変だけど、とりあえず今は片付けなきゃ」

う~ん、私の言ったこと、ちゃんと伝わったのかなあ。言うタイミング、間違ったか?

とりあえず、父親が入院する、という事実はドタバタのうちに家族全員が知るところとなった・・・はず。

まあ、深刻にならなくて良かった。