9月2日、大学病院初受診。確かに25年前にも来たことがあるが、おそらくはその頃とは全く違う、まるでホテルのフロントのような綺麗な外来棟になっている。私が持っていた診察券は受付で最新のものに交換された。でも、私の生年月日や受診歴はしっかり記録されていたようで、細かなフォーマットへの記載は一切無し。

「泌尿器科受付へ行ってください」

と言われる。ちなみに妻にも付いてきてもらっている。

「めちゃくちゃ綺麗やなあ」

と感心しまくっている。

泌尿器科での受付を済ませ待合いへ。問診票には「どのような症状がありますか?」という事項があり、血尿や腰、背中の痛み等の選択肢がある。どれにも当たらないんだようなあ。

たくさんの人が縦に長い待合いスペースでいくつも並んでいる椅子に座っている。科の特性上男性、それも自分より年上と思わしき人が多いが、私同様婦人に付いてきてもらっている人も多い。H先生が

「大学病院の泌尿器科は、そこでしか治せないもの、つまりは、ガンとかそういった患者さんばっかりですよ」

と仰っていたけど、もしそうなら、ここにいる人はみんな私と同じくらい憂鬱な気持ちなのかしら。それとももう少し開き直っているのかしら。などと考えていると、指定された診察室よりもっと先ほ部屋から

「サムさん、おられますか」

と呼ばれる。どうやら、診察に先駆けてエコーを撮るらしい。台の上に俯せになって背中から腰をはだける。若い技師の人(とその時は思ったけど、後から考えると若いお医者さんだったようだ)がプローブをあてて画像をプリントアウトしようとするが上手くいかないらしい。周囲にいる他の若い人に

「あれ、これプリントするときどうするんだったっけ」

「えっ、出ない?」

などとやりとりがあって、なぜか2人して機械に映ったエコー画像をのぞき込む。1枚プリントされた後、またプローブを左の背中にあてて腎臓の場所を何度もなぞる。

「あ~」

と2人のお医者さんがハモるように嘆息とも感心ともとれない声を出しながら画像に目をやっている。

いや、腫瘍があるんでしょ、それは分かっているからあまり本人を前にしてそういうリアクションは勘弁してよ、などと1人で抱いた想像に心の中で文句を言ってみる。

ほどなくエコーを終えて、再び待合い室で待つ。待つこと合計50分くらいたった頃、ようやく診察室へ入るようお声がかかる。横でウォークマンのイヤホンを耳に突っこんでいた妻を促して一緒に入ってもらう。