6月11日(土)
 
行きつけの映画館が地震の影響で長らく閉館していたので、なかなか映画を見に行けずにいましたが、数ヶ月ぶりに行ってきました。話題の(ちょっと前に、ですが)「ブラックスワン」。周囲の評価は「グロくて面白くなかった」「文句なしに素晴らしい」と両極端ですが、果たして?
 
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NYのバレエ団のソリスト・ニナは将来を嘱望されるバレリーナ。しかし、母子家庭でステージママのエリカにべったりへばりつくように育てられたため、恋愛経験も少なく、未だに部屋にぬいぐるみを飾っているような大人になりきれない女だった。そんなニナにチャンスが訪れる。プリマのベスが退団し、主役のオーディションが行われることになったのだ。演目は「白鳥の湖」。正確無比な演技で技術の高さをアピールするニナ。演出のルロワは言う。「白鳥ならきみに決まりだ。しかし、黒鳥を踊ることが出来るかな?」純真無垢な白鳥の女王・オデットと、悪魔の手先となって王子を誘惑する妖艶な黒鳥・オディール。「白鳥の湖」の主役はこの対照的な二役を演じ分けなくてはならない。見事に主役の座を勝ち取ったニナ。しかし、やはりどうしても黒鳥を演じること出来ない。恋愛、セックス、酒、ドラッグ、同性愛…。大人の女に成長するために様々なものに手を出すニナの精神は次第に壊れていく。果たして、ニナは無事に白鳥と黒鳥を演じきることが出来るのか?
 
いや~、傑作。面白かった。母親とバレエすべてと言う状態のまま、いつの間にか大人になってしまったニナの小さな世界がプリマになることで様々なものに浸食され、揺さぶられ、破壊される。徹底的な受け身の状態で精神正解が変容を来していく様が、見事に映像化されてました。説明も問答も無用、壊れていく精神とバレエ。この2つの組み合わせで、108分見事に見せてくれます。演出家に、ライバルに、母親に、あこがれの先輩に、ニナはひたすら翻弄されるだけで、自ら主体的に何かをしようとはしない。観ているこっちまで、2時間近くにわたって翻弄され続けます。心象風景と現実の境の付け方が絶妙で、これは彼女の内部で起こっていることなんだとわかっていても、びっくり、どっきり。でも、ストーリーの軸はぶれずにきちんとたどれる。その辺のさじ加減もお見事です。唯一の例外がラスト。最後には精神だけでなく、肉体まで破壊されてしまう――訳だけれど、ワシ的にはアレも精神世界の出来事にしてほしかったな~。まあ、今のままでもある意味、ハッピーエンドなのだけれどワシ的にはもっともっとハッピーエンドに盛り上げて終わってほしかった。
 
★★★★☆(ホシ4つ)
 
ウィノナ・ライダーが…あんなになっちゃってねぇ。