6月28日(火)
最近は滅多に本屋で本を買わないワシですが、出勤の電車の中でちょうど手持ちの本を読み終わり、帰りの電車が手持ちブタさんになってしまったので、帰宅途中、久しぶりに本屋に寄って買ったのがこの本、桜庭一樹の「ばらばら死体の夜」です。この人の作品は「少女には向かない職業」「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」「少女七竈と七人の可哀そうな大人」「赤朽葉家の伝説」「推定少女」「私の男」「ファミリーポートレイト」と立て続けに読んだのですが、ちょっと久しぶりです。ライトノベルズ出身らしく、読みやすく軽快な文体でありながら、描くモチーフはずっしり重いというのがワシの印象です。さて、新作の出来は?

ラーメン屋でアルバイトをしながら神保町の古本屋の二階で暮らす女・白井沙漠。その部屋に貧乏学生時代に住んでいた翻訳家で大学教授の吉野解。二人が出会ったのは唯一の共通点である、その部屋だった。半ば強引に沙漠をおそった解だったが、沙漠はなぜか彼を受け入れた。そして自分を受け入れてくれた沙漠に解はやがて、母親の姿を投影し始める。出会うはずのなかった二人の不思議な関係は、沙漠が解に借金を申し込んだことで壊れていく。東京から本州最北の地、下北半島へ――。二人の旅の結末は飛び散る血しぶきと、鈍くひかる鉞の刃、そして、ばらばらに解体された肉体。この人を、もっとばらばらにしてあげないといけないのです…
う~ん、読みやすく軽快な文体は相変わらずなんだけど、今回の作品はずっしりと重いモチーフ、とまでは行かなかったかな。沙漠と解、解の大学の同級生と古本屋の店主、それに解の娘の視点で7つの章が描かれてく複眼的な手法は相変わらずお見事。でも…、結局なんだったの?って感じが最後に残っちゃいました。カタルシスがないんだよな~。娘の目線で語られる最後の章はグッとくるものがあるんだけど、ちょっと弱い。彼はなぜ彼女を殺さなければならなかったのか、彼女はなぜ彼に殺されなければならなかったのか。描かれてはいるんだけど,とても軽いんだよね。このモチーフだったら、4分の一ぐらいの長さの短編小説にした方が、シャープだったかも。次回作に期待。
★★※☆☆(ホシ二つ半)