黒澤明監督の名作。
見終わった後、しばらく考えさせられた。
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主人公の渡辺さんは、定年を控えた市役所の課長。
妻に先立たれ、自分の為ではなく息子の為だけを思い淡々と働く死んだような日々。
ミイラのような人生だった。
ただ与えられた仕事を、暇つぶしに働く30年間。
本当にこれでいいのか。
そんな疑問を持たずに過ごしているが、ある日自分が胃ガンで余命半年ということを知る。
息子の為に働いてきたのに、息子夫婦には煙たがられ、死んだら遺産を使って家を建てたい・・・という夫婦の会話を聞いてしまう。
自分はなんの為にこの30年間生きてきたのだろう。と途方にくれ自分に悔しくなる。
そんな時ある少女に出会う。
楽しそうに生きている彼女と一緒にいる時は辛い気持ちも忘れられた。
心をゆるし、彼女についつい息子への不満を言ってしまう。
「私は息子の為にミーラのように頑張ってきたのに。」という彼の発言に彼女は
「息子さんを責めてはダメ。息子さんがミイラになってって頼んだわけじゃないでしょ。」
と言う。
そうなんだ、人の為にやって・・・と言って言い訳してはいけない。
自分の人生なのだ。自分が自分の意思でそうしてきたのだ。
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ある日、意を決して彼女にだけ自分が胃がんで余命わずかしかない・・・と告げる。
「死ぬ前になにかしたい。このままでは死に切れない。わしは今まで何もしてない。」
しかし彼女と話していくうちに、あるヒントを得る。
「課長さんも何か作ってみれば?」
次の日から彼は人が変わったように働いた。
「遅くない。わしにも何かできる。ただやる気になれば・・・。」
次の日から彼は周りが驚くほどに働き、どんな困難にあってもあきらめなかった。
「課長、それは不可能です。」
という部下に
「やる気になれば・・・」
と決して諦めなかった。
どんなに公園建設計画を邪魔されようとも彼は言う。
「私には人を憎んでいる暇がない。私には暇がないんだ。」
最後、完成した公園でブランコをこぎながら彼は楽しそうに歌う。
「命短し 恋せよ乙女・・・。」
そして、そのまま雪が降りしきる中亡くなった。
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人生は短い。
その気になればなんでもできる。
人のせいにしてはいけない。
決めるのはすべて自分。
誰もがいつ死ぬか分からない。
私達も渡辺さんのように生きれるか。
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黒澤監督はすごい!
生きるっていうもっとも難しいテーマを心にじんわりでも強く表現している。
渡辺さんが亡くなってから、お通夜で事実を知らない人々が「なんで渡辺さんがあんなに人が変わったように動きだしたのか。」
と不思議がる。
彼らの回想で、物語が進む・・・という演出もハッとする演出だった。
生きるというテーマは誰もが考えるべきテーマだと思う。誰もが見るべき、見てほしい映画だと思う。