前回の記事で
インボイス制度について簡単に触れました。
前回の話であれば「販売をしている人たちは、登録すればいいじゃない」と思われるかもしれません。
しかし、多くの販売を行っている人たちは、登録をすることで損をするかもしれないのです。
これはどういうことかというと、
「消費税を納税することを免除する制度」が存在するからです。
販売者は3パターンに分けられるとお伝えしたところですね。
1.課税事業者とは
前回の記事のように、販売額の消費税から原価にかかった消費税を引いて
その差額を納税している販売者になります。
特に免除等もなく、きっちりと領収書等を管理して、消費税計算を行う必要があります。
この計算するときの領収書等には「インボイスの登録番号」が記載されていないといけません。
2.課税事業者(簡易課税制度)とは
課税対象の売上が5,000万円以下の販売者で
基本的には「1」のように、計算後の消費税を納税するのですが、
その「原価等にかかった消費税」を計算することを簡易化してもいい販売者になります。
詳細は省きますが、「販売額にかかる消費税の何%を原価等にかかった消費税としてよい」という制度です。
これが例えば80%となっていれば
5000円の商品を販売し、500円の消費税を受け取っていれば
80%の「400円」が原価などにかかった消費税として計算してよくなり
納税する金額が「100円」となります。
計算時に領収書等が必要ないため、インボイスの登録番号が記載されたものは
特に必要がありません。
3.免税事業者とは
年間売り上げが1,000万円未満の販売業者は「免税事業者」として
販売時に顧客からもらっている消費税を納税しなくてもよいという制度があります。
この免税が許された業者は、そもそも消費税を納税するというプロセスが免除されているため
こちらも計算時に領収書等が必要ないため、インボイスの登録番号が記載されたものは
特に必要がありません。
4.インボイスを登録すると?
上記から、インボイスが必要になるケースは
「課税事業者が原価等にかかった消費税を計算するために、商品等を作るために購入する先の販売者が
インボイスに登録しており、もらう領収書等にインボイスの登録番号が記載されている」
状況となります。
つまり
「自分の販売先が課税事業者である場合は、自分自身がインボイスに登録して番号を記載していないといけない」
となるため、多くの販売者がインボイスに登録をしなければいけなくなります。
ところが、もしも免税事業者となっている販売者が「インボイス制度」に登録をして「登録者」になってしまうと
1,000万未満であっても、消費税を納税する「義務」が発生してしまいます。
「免税事業者」ではなくなってしまうのです。
もしも、売り上げが600万円ある方なら、60万円分の消費税を納税しなくてはいけなくなるわけですね。
5.インボイス、登録しない方がいい??
いやいや、今までの収入から60万円も減るのは無理!!
ほな、登録しちゃだめかーとなりますよね。
しかし、さらにここで面倒くさいことが起きます。
インボイス制度に登録していないと、免税者の販売する商品の請求書にはインボイスの登録番号を記載することができません。
記載のない請求書は、消費税の納税額から軽減することに使えないため、
お客様の中には
「インボイスの登録がないのであれば別の業者にお願いしますね」
と断られる可能性が出てきてしまうのです。
もしもあなたが10万円商品を買ってもらっている場合は、
1万円を減税できるかどうかなので、お客様から見ても大きな問題となります。
そうなると10月以降にインボイスに登録をしていないことで
お客様を失い、そもそもの売上が落ちる可能性も出てくるのです。
先ほどの例で行くと、60万円を納税しないために、80万の売上を失ってしまっては元も子もありませんね。
とはいうものの、登録して課税事業者になった後に簡易課税制度の申し込みができる可能性はありますので
実質的に60万円も払うことはないかと思われます。
6.よし!登録してみるか!と思われた方
上記を読んでいただき、インボイス登録してた方がいいかもしれないと思われた方もいるかもしれません。
ここで一番大事な情報ですが、
「インボイス登録をして、10月の制度開始からインボイス番号が付与された請求書を出す」ためには
2023年3月中に申し込みをしなければいけないとのことです。
余り悩む時間がないかもしれませんが、みなさんの助けに少しでもなればと思います。
⇒2023年5月10日追記
すみません、調べたところ申請期限が延期されていました。
2023年9月末までの申請でも10月から対応可能なようです。
※間違い等ある場合は、指摘していただけると感謝の気持ちがあふれますのでよろしくお願いします。