
Netflixドキュメンタリー「アマンダ・ノックス」は、二転三転する留学生殺人事件の裁判で、それぞれ2度の有罪判決と無罪判決を受けた米国人女性のアマンダ・ノックスの事件を追う。彼女自身と関係者へのインタビューを通し、世界中のメディアを騒がせた悪名高き事件の裏側に迫る。
● 集団セックスを強要された
2007年11月2日、イタリアの共同フラットで、イギリス人留学生メレディス・カーチャー(当時21)の死体が発見された。

同フラットの2階は、カーチャーさんのほか、3人の女子学生が住んでいたが、共有の浴室及び台所などからも血痕や血の付いた足跡が見つかった。また、イタリア人女子学生が借りていた部屋は、窓が割られ、部屋にあった衣服等が荒らされていた。
カーチャーさんは、借りていた部屋のベッドに半裸の状態で横たわっており、のどをナイフで刺されていた。死ぬ直前に性行為を行っていたことも分かった。当時、『集団セックスを強要された上、惨殺された』とも報道された。

容疑者として捕まったのが、カーチャーのルームメイトでアメリカ人のアマンダ・ノックス(当時20)。セックス殺人魔との疑惑の目を向けられた。起訴された冷たい美貌のアマンダの進退に、世界中がクギ付けになった。
他に逮捕されたのは、アマンダの当時の交際相手であったイタリア人大学生ラファエル・ソレチト、バー経営者、更に11月下旬に4番目の容疑者として、麻薬密売などに関わっていたペルージャ在住の男、ルディ・ガデがドイツ国内で逮捕された。(このうち、バー経営者は、アリバイが成立したため、間もなく釈放された)
アマンダと交際相手のラファエルは共に、警察の取り調べで、事件が発生した夜の自分の居場所、行動に関する供述を何度も変えた。2人はその理由について、同夜はラファエルのアパートで共に過ごし、一緒に大麻を吸ったため、記憶が曖昧になったためだと話している。
● トイレに行っている間に起きた
最初にドキュメンタリーのアマンダ・ノックスを見たときにはずいぶん容姿の整っている容疑者だと思った。それに着ている服もシンプルで、事件当時に乱交パーティをしてかなりの男関係を噂されていたというイメージとは違って見えた。
でも、見た目に騙されるという場合もあるので外見ばかりの判断はあてにならない。
その反面、アマンダ・ノックスを担当したという一人の検事ジュリアーノ・ミンミンが画面に出てくるが、見た目が憎々しく見えてイメージもあまりよくない。
発言や考え方にも賛同できない人物だ。彼女を犯人だと思ったきっかけなどを語っていたが、「確かな証拠もなしに犯人と確信するのはまずいのではないか」と思えるような内容だった。
4番目の容疑者として逮捕されたルディ・ガデは、通常より手続きが早く終わる「ファストトラック(fast-track)」式の裁判を自ら望んだ。2008年10月、カーチャーさん殺人及び性的暴行の罪で30年の服役刑を言い渡された。
捜査では、殺人現場とカーチャーさんの体内からガデのDNAが見つかった。ガデは、事件が起きた夜に、カーチャーさんと共にカーチャーさんのフラットにいたことは認めたが、犯行は自分がトイレに行っている間に起きたもので、自分は無実であると訴えていた(なお、2009年12月22日、ルディ・ガデの裁判の二審の判決が下され、16年の服役刑に減刑された)。
ドキュメンタリーの最後の場面では、アマンダ・ノックスは無罪を勝ち取っている。だから検事ジュリアーノ・ミンミンは、自分のミスを全面的に認めてもよさそうなのに、そこにはほとんど触れずに徹底して彼女を未だ犯人扱いしているかのような発言。
アマンダ・ノックスの映画での最後の言葉。
「人はモンスターが好き、モンスターを見たくてたまらないの。自分たちの恐れを投影してるのよ。悪人と見比べて自分は違うと安心したいのね。つまり誰もが恐れてるのよ、恐怖は人を惑わせるわ」
その言葉が心に染みた。
参照:英国人留学生殺人事件で有罪判決 - 米国人大学生に26年の服役刑