町山智浩氏が、2025年2月4日放送のラジオ番組『こねくと』で伊藤詩織監督『ブラック・ボックス・ダイアリーズ』を語った。
● アカデミー賞を取るんじゃないか
「この映画はですね、2015年に伊藤詩織さんというジャーナリストがTBSテレビのプロデューサーにレイプされまして。それを民事訴訟で損害賠償を求めて訴えたという件があって、それの民事裁判に寄り添った形で撮られたドキュメンタリーなんですね。この映画が僕、アカデミー賞を取るんじゃないかと思ってるのはこれ、性被害……特にそのレイプを実際にされてしまった女性が自分自身でそれを記録して、映画として完成させたというのはたぶん、映画史上ないと思います。」
「ただ、この映画が日本では公開される予定がありません。これはいろんなことで大問題になってるんですけども。アメリカでは既に配信されていて、みんな見れるんですけれども、日本ではいまだ公開することができない状態になっているということです。」(町山智浩)
ところで、何がこの映画で問題になっているのか。
2024年10月21日、本作について内容の修正を求める記者会見が開かれた。
会見を行なったのは、伊藤氏の民事裁判を担当していた弁護団のうち、西廣陽子弁護士と加城千波弁護士。そして、伊藤氏を中傷する投稿にTwitter(現X)上で「いいね」を押した元衆院議員に対し損害賠償請求訴訟を行った際の、伊藤氏側の代理人だった佃克彦弁護士。
● 「ホテルの防犯カメラ映像」が使われている
会見の場で3名は、裁判に際して「裁判以外に同映像を一切使用しない」旨の誓約書を交わしたうえで伊藤氏と代理人が入手した民事訴訟の証拠である「ホテルの防犯カメラ映像」が、映画『Black Box Diaries』で使われていることを明かした。
「裁判以外に同映像を使用しない」という誓約書にサインしたのは、伊藤氏と西廣弁護士だ。
なぜ話し合いで解決できず、会見で公にすることとなったのか。西廣弁護士が回答した。
「伊藤氏との信頼関係が揺らいでしまったというのが発端です。振り返れば訴訟中、伊藤氏が、弁護団会議に突然カメラマンを連れてきて撮影しようとしていたことが何度かあり、弁護団が注意をしたことがありました。
後に何度か伊藤氏から映画化を示唆する話がありましたが、2021年12月に正式に、映画化の相談を受けました。その際、外に出してはいけない映像を映画で使うことがないよう『映画として上映する前に、必ず内容を確認させてほしい』と要望を伝え、伊藤氏に了承してもらいました。
しかし伊藤氏から作品が完成したという連絡はなく、2023年12月、配給会社であるスターサンズのホームページ上にて、本作がサンダンス映画祭で上映されるという記事を見つけて驚き、改めて伊藤氏に面会と説明を求めることになりました」(西廣弁護士)
この記者会見の記事が掲載されたYAHOOのコメント欄には、「伊藤詩織さんという方がどういう方なのかよく分かるエピソードですね。」などのように、彼女の人間性を疑う感想が多く並ぶ。ところで、『映画を完成させる』という目的はあったにせよ、なぜそのような強引な行動を伊藤さんが取ってしまったのか、本人からの説明を聞きたいものだ。
参照:伊藤詩織氏ドキュメンタリー作に「承諾が取れていないのであれば人権上問題」「事前に確認なく公開」
町山智浩 伊藤詩織監督『ブラック・ボックス・ダイアリーズ』を語る