クレーという画家の絵が好きで、その画家の絵を取り入れた描きました
「お父さん、ごめん。3万4千円だって。」
「あ・・・・・・ いいよ、別に」
妻が起きがけに寝ぼけまなこでぼくの部屋に来た。オーケストラの鑑賞会に行くチケット代の事を言っている。
ぼくは強がりではなく、本当にそれがたとえば5万円だろうがいいと思っている。妻は息子と一緒に時々、ピアノのコンサートに行っており、今回も11月に二人で行く予定を立てている。
ぼくは、クラシックのコンサートよりは映画に行きたいので、そこには参加していない。
息子は東京に住んでいて会計会社に勤めている。中学生の時からピアノに熱中しだして、一時は音大に行こうと考えていた時期もあったくらいだ。
妻はふだん、自分の娯楽にお金を使わない。生活費は別として自分の為に使うとしたら、友達とランチに行くときくらい。それも1か月に1度か多くて2度。ちょっと前は読書に凝り出して、何冊か文庫本を買ったりしていたが、それもだんだんトーンダウンしてきた。
「私はお金を使うということが基本、できないのよ。死んでもお金は持っていけないのにね」
と、よく言っているくらいなのだ。
というわけなので、専業主婦である妻が働いているぼくを気遣っているわけなのだが、たまにはコンサートくらい何のことはない。そして、ぼくも来年の4月一杯で64歳に至って仕事からようやく解放される。そうしたら、こちらも自由に羽を伸ばさせてもらうというわけだ。
