タイで、昨年6月に大麻が医療目的に使用するとのことで解禁された。今まで禁止していたものを計画性なしに解禁すると、どのような結果が待っているかという、ある意味モデルケースのような事態を見せている。
タイ観光スポーツ省などによると、2022年の外国人観光客は1115万人で、前年より1072万人増加。外国人観光客が比較的少ない地方都市の中でも、タイの大麻ビジネスの中心地ともいわれる北部チェンマイは109万人と前年の約35倍に爆発的に増加し、96億バーツ(約374億円)の観光収入があったという。

大麻目的で観光客が増えたことは、国の経済発展としてはいいのかもしれないが、大麻の使用で病院に運ばれる人が増えて医療関係の人はその対応に追われている。
タイ政府は、娯楽のために公共の場で吸引するのは引き続き違法としたが、個人的に部屋で吸う場合などの規定はあいまいで、娯楽での使用が急増。タイ精神科医協会の調査では、娯楽使用者は21年の189万人から22年には1100万人に増えている。
合法化から1週間足らずの昨年6月14日、バンコクの都知事は、10代の若者を含む4名が大麻使用後に入院したと発表し、その原因を大量摂取と説明した。
そもそも大麻の解禁は政治に絡んでいて、選挙の票集めに使われていたようだ。
日本では禁止されているので、『大麻に関わりたければタイに行けばいい』というわけでもなさそうで、法律上の縛りもあるとの事。国外でも日本人が大麻をみだりに栽培、所持するなどした場合に罰する規定がある。
しかし、現地英字紙バンコク・ポストはチェンマイの薬局店員の話として、客の9割が日本、中国、欧州、米国など外国人観光客であることを紹介している。
在タイ日本大使館によると、錯乱した日本人が「襲われる」「命を狙われている」などと電話してきて保護したり、病院に搬送された際に大麻使用は海外旅行保険の適用外として高額な医療費を請求されたりする事案が発生。関係者によると、他にもバックパッカーが集う首都バンコクのカオサン通りで大麻を吸引した日本人が意識を失ったケースがあるという。
また、犯罪者が薬物依存の場合もあり、安易に解禁していいものかどうか疑問がわいたという。2022年10月6日、自動小銃とナイフを持った元警官が単独で保育園を襲撃し、多数の子どもを含む37名を殺害した。犯行後、加害者は家に帰り、妻と子供を殺した。「その後、彼は銃で自殺した」。近年最悪の集団殺人事件によって、タイは大混乱に陥った。
犯人の元警官パンヤ・カムラブは、1月に薬物使用で停職となり、6月に免職になるまで巡査部長を務めていた。メタンフェタミンの使用と販売の疑いで今月6日に裁判所に出廷。7日に判決が言い渡される予定だった。
この事件直後に犯人の覚せい剤依存症が政界とメディアの注目を浴びたことで、タイ国内の薬物と銃器の問題について国民的議論が巻き起こったという。
それ以降、麻薬の押収や薬物使用者による同様の襲撃事件の報道が相次ぎ、大麻への世論が揺らいでいる、と政治アナリストのウォラナイは指摘する。(政治アナリスト:政治のあらゆる面を分析・調査して判断する専門家)
大麻調剤薬局を経営するキティは、語る。「政治からは誰も逃れられません。でも、これは政治を超えた問題だとわたしは考えています。すでに水門は開かれました。門が吹き飛ばされ、ダムは崩壊し、水が押し寄せてきています。もはや引き返すことはできません」
参照:日本人を病院搬送するケースも大麻「解禁」タイ、外国人観光客急増
大麻合法化から数ヶ月後のタイ、〈西部開拓時代〉と化す
