「看護婦が見つめた人間が病むということ」という宮子あずさの文庫本を買って読んだ。これは最初に読んだ同じ作者の「看護婦が見つめた人間が死ぬということ」がとても読みやすく、さらに自分の「死」について考える際にとても参考になる本だったからだ。
ただ、このように、タイトルが似た本で同じ作者というのは、自分が以前に読んだ本なのか、もしくはそうでないのか混乱するので困る。現にぼくは新作を買うつもりで以前に読んだ「看護婦が見つめた人間が死ぬということ」を二冊買ってしまった。でもこの本はとても読む応えがあり、誰かにあげてもいいくらいなので、とりあえず良しとしているが。
『看護婦が見つめた人間が病むということ』の本は、前作と同様にどの章を読んでも何か心に残るエピソードがある。たとえば、ある医師の話を紹介している。
「入院してきた時は、意識がなくなるまで自分がいないといかに現場が困るか、大声でわめいていたんだよ。『俺の会社をつぶす気か』まで俺、言われたんだから。
そばでおとなしそうな奥さんがはらはらしてさ。『このままじゃ死んじゃうかもしれないのよ。お願いだからあなた、入院して!』って言っても、『おまえ黙ってろ!』だからね。
わめいているのがぱたっと静かになつたと思ったら、心停止だもん。その瞬間『ほら、言うこと聞かないから死んじゃったじゃない!』って言ったのが耳に残ってる。
『ほれみたことか』って感じの言い方が、状況にミスマッチで、妙におかしかったな。」
