NHK連続テレビ小説「ブラッサム」は、作家・宇野千代さんをモデルにした物語です。来週からは、主人公の珠が東京へ上京し、文学の世界へと羽ばたいていく展開が描かれます。新たな出会いや挑戦が待ち受ける今後のストーリーが楽しみです。
● 珠の髪形に込められた「歪み」という意味
主人公の珠を演じるのは、女優の石橋静河さんです。劇中では、おでこを大きく見せる髪形が印象的ですが、顔の長さが強調されて見えることもあり、少々気になっていました。
明治時代の女学生の間では、前髪をふっくらと膨らませた「束髪」が流行していました。しかし、石橋さんの面長な顔立ちも相まって、劇中の髪形に違和感を覚えた視聴者も少なくなかったようです。
芸能誌記者によると、この髪形は制作サイドが意図的に取り入れた演出だといいます。
「その違和感が、ある種の歪みと感じ取っていただけたら」
制作サイドは、このようなコメントを寄せています。単に髪形を整えるのではなく、あえて違和感を生み出すことで、珠という人物の内面を表現しようとしたようです。
では、「違和感が、ある種の歪み」とは、具体的に何を意味しているのでしょうか。
その背景には、人物デザイン監修を担当するメイクアップアーティスト、UDAさんの考えがありました。
UDAさんは、宇野千代さんという表現者そのものに刺激を受け、珠の生い立ちや育った環境に着目したそうです。厳格な父親のもとで育った珠は、自分の内側にあふれるエネルギーを思う存分発散できる環境にはありませんでした。そうした境遇が、ほかの人とは異なる珠独自の個性を形作ったのではないかと想像したといいます。
そこで、人物デザインのキーワードに選ばれたのが「歪み」でした。
人間の内面にある歪みや凹凸は、必ずしも欠点とは限りません。むしろ、そうした不均衡な部分こそが、その人ならではの魅力につながるのではないか。UDAさんは、そんな考えを珠の外見にも反映させました。
女学生たちの髪形を一律に整えるのではなく、珠の髪形はあえて大きめにし、周囲の女学生たちは少し小さめに仕上げています。集団の中で珠だけが異なる印象になるよう、意図的にデザインしたのです。
つまり、髪形に対して視聴者が抱いた違和感も、制作サイドにとっては計算された演出だったというわけです。
● 洋装の石橋静河に絶賛の声 髪形で印象が一変
そんな石橋さんが、10月9日にNHKの「あさイチ」にVTR出演しました。劇中の和装姿とは大きく異なる雰囲気で登場し、ネット上では驚きの声が上がったといいます。
視聴者からは、次のようなコメントが寄せられました。
「石橋さん洋装の方が100倍可愛い」
「髪型違うから本当に別人っぽい」
「この髪型がとっても似合っていて素敵すぎます」
「髪型で印象が全然変わる」
劇中の姿とのギャップに驚くとともに、洋装の石橋さんを絶賛する声が相次いだようです。

もちろん、和装より洋装のほうが100倍かわいいというのは、さすがに大げさでしょう。ただ、石橋さんがインスタグラムに投稿している洋装の写真を見ると、実によく似合っており、華やかさも感じられます。思わず見入ってしまうような魅力があります。
そうした姿を見ると、劇中で珠だけ髪形を大きくした演出には、少々やり過ぎな面もあったのではないかと感じます。
制作サイドが意図した「歪み」を表現するための工夫だったとしても、視聴者に違和感を与えすぎてしまっては、人物の魅力が伝わりにくくなることもあります。
とはいえ、ドラマ自体は毎回面白く、ストーリーにも引き込まれます。顔が長く見えるといった髪形への違和感は、作品を楽しむうえでは小さな問題にすぎないのかもしれません。
● 「腹の底に、ハフンって来る」ってどういう意味?
一方、ドラマのストーリーにも興味深い場面がありました。
書店「ぶくぶく堂」の店主・本田が、珠に文学雑誌を薦めるシーンです。本田は、少女文学について次のように語りました。
「いいよな、文学少女の儚さを綴る作家は多いが、その書き手は彼女らが抱えるやりきれなさにまで届かそうとしてる。少女小説だと思って舐めてると……腹の底に、ハフンって来る」
なかでも気になったのが、「腹の底に、ハフンって来る」という表現です。
大正時代に実際に使われていた言葉なのか、少し気になりました。日常生活ではあまり耳にしない言い回しですが、どうやら一般的な慣用表現というよりも、ドラマの脚本による独自の創作表現と考えられます。
言葉の響きは少々不思議ですが、文学作品が心の奥深くに響き、理屈では説明できない感情を呼び起こす様子を表しているのでしょう。
実際、珠は本田の話を聞くと、思わず雑誌に手を伸ばし、そのまま購入しました。文学の魅力を伝えるという意味では、なかなか効果的な言葉だったようです。店主の本田は、なかなかの商売上手ともいえます。
● 少女たちの心をつかんだ作家のモデルは吉屋信子
劇中で本田が絶賛した女流作家・土橋風子を演じるのは、尾野真千子さんです。そのモデルとなったのは、実在の作家である吉屋信子さんです。
大正時代、吉屋さんが少女雑誌に発表した『花物語』などの作品は、単に上品な少女向けの物語という枠には収まりませんでした。そこには、当時の女性たちが抱えていた、思いどおりにならない現実や、言葉にしがたい苦しさが情熱的に描かれていました。
そうした物語は女学生たちの心を強くつかみ、多くの読者を熱狂させたといいます。
本田が語った「腹の底に、ハフンって来る」という言葉も、作品が持つそんな力を表現したものなのかもしれません。少女小説というだけで軽く見てはいけない。表面的な美しさの奥には、読者の心を揺さぶる深い感情が描かれているということでしょう。
文学の魅力に触れ始めた珠が、こうした作品や作家との出会いを通じて、どのように成長していくのかにも注目したいところです。
● 来週は珠が文学の世界へ 大物作家や編集長との出会いも
来週の「ブラッサム」では、珠の文学への関心がさらに深まっていきます。
珠は近所の書店で、若手随一の作家とされる秋山格之介や、『イワンの馬鹿』を翻訳した作家・小山牛丸(イッセー尾形さん)と出会います。こうした人物たちとの交流が、珠に大きな刺激を与えることになりそうです。
さらに、西洋レストラン「悠樂軒」でウエイトレスとして働くことになります。そこで出会うのが、一流の文芸雑誌「首都公論」の敏腕編集長、黒崎大三郎(遠藤憲一さん)です。
珠は黒崎に自分の小説を読んでもらいたいと考え、仕事中に直接、短編小説を手渡すことになります。
作家を志す珠にとって、これは大きな一歩となるはずです。憧れの文学の世界に飛び込もうとする珠が、どのような出会いを経験し、どんな道を切り開いていくのでしょうか。
髪形に込められた演出の意図や、文学の奥深さを感じさせるセリフなど、見どころの多い「ブラッサム」。来週から本格的に動き出す珠の物語が、今から楽しみです。
参照:ブラッサム【違和感】ヒロイン珠(石橋静河)大きなヘアスタイルには意味があった!
「本当に別人」『ブラッサム』石橋静河”激変姿”にネット驚き 「洋装のが100倍可愛い」
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