13歳の中学1年生だった女子生徒A子さんを誘拐し、二年と17日間にわたっ
て監禁した千葉大学工学部在籍の寺内樺風(かぶ)の事件、A子さんが、親に
電話をかけたことから発覚して、犯人は捕まった。
彼女は、『ほんとうは怖くて逃げられなかった』と述べている。
静岡県伊東市内で身柄を確保された東京都中野区の寺内樺風(23)は、
「自殺しようとしたが、死にきれなかった」と話している。首をカッターで切った傷
で病院に運ばれたが命に別状はなかった。
埼玉県警は2016年3月31日、未成年者誘拐容疑で寺内樺風を入院先の静岡県
伊豆の国市内の病院で逮捕した。
寺内はA子さんを2年間も監禁しながら平然と大学に通っていた。
3月27日。
A子さんは寺内樺風の自宅に監禁されていたが、「夕方まで秋葉原まで外出
してくる」と言って彼が1人で出かけたことから、自力で逃げ出したとのこと。
その後、逃げ出した彼女は東京都中野区にある東中野駅付近の公衆電話か
ら母親に電話。「お母さん・・・・・・、私」と話し、会話内容から本人と確認が取れ
た母親は「すぐに110番通報しなさい」とA子さんに伝えた。
A子さんがまだ受話器を持っているうちに、駆け付けた警察官に保護された。
彼女はダウンコートにジャージ姿で、所持品は中学校の生徒手帳と現金170円
だけだった。
● さがさないでください
事件の発端は、2014年3月10日、埼玉県朝霞市。市内の公立中から下校した
A子さんの名前を呼び止め、寺内はこう語りかけた。
「お父さんとお母さんが離婚することになった。弁護士のところに連れて
行ってあげる」
無論、このような事実はなく、A子さんは促されるまま寺内の車に乗り込み、
以来消息を絶つ。自宅の郵便受けには手書きメモが残されていた。
《家も学校もちょっと休みたいです。しばらく友達の家です。さがさないでくだ
さい》
捜査関係者が語るには、9日後、被害者宅に『元気で過ごしている』などと書か
れた手紙も届いたが、当日のメモ書きを含め、寺内が少女に書かせている。
捜査関係者は、寺内が少女Aに与えた恐怖感をこのように語った。
「少女を千葉に連れ去った後、『俺は父親の面倒を見ている。俺がいなくなっ
たら父親は大変なことになるし、生きていけない」とささやいて、恐怖感を植え
付けた。彼女は、最初はそんなことがあるのかと怪しんでいた。
しかし、何度も言われているうちに、しかも監禁初期は完全に外部情報との
アクセスを遮断されていたため、誰も私を探してくれていないと思い込み、逃げ
出そうという思考すら奪われてしまったんだ」
また、A子さんは寺内から「私は捨てられた」と紙に書かされ、「おまえは売ら
れた」と言われた、と説明している。ある捜査関係者は「洗脳状態だったのでは」
と話す。
● 計画的に誘拐の準備
この事件は一見、そんなにA子さんが虐待されていたようには思えないし、もう
少し早く脱出できたのではないか?という疑問が出てくる。
いっしょに外出していたという情報もあるからだ。
テリー伊藤もそのことを指摘し、このように述べた。
監禁場所が「ガラスのある普通のアパート」だったと指摘し、「例えば(犯人が)
いなくなっている間に、(ガラスを)割ってでも外に出て大声出せば…」と、生徒
が自力で脱出することもできたのではないかと意見する。
犯罪ジャーナリストの小川泰平氏に即座に否定されたという。
「監禁されてない方はそう言います」「監禁されたことのない方は簡単にそうおっ
しゃるんです」とテリーの意見を退けると、監禁被害者は恐怖心のあまり、そう
した考えに到底至らないのだと訴えた。小川氏は、「犯人が目に見えるところに
いなくても、どこかで見られているんじゃないかなという恐怖心が勝ってしまって
逃げられない」と説明していた。
犯人の寺内は、かなり計画的に誘拐の準備をしていたことがわかってきている。
彼は誘拐前の準備として「車で複数回、下見をした」などと供述し、綿密に計画
を立てていたことが4月4日、捜査関係者への取材で分かった。
少女宅の玄関にあった傘でA子さんのフルネームを確認しているが、雨は誘拐
したとされる5日前に降っていた。この時に名前を知り、連れ去るタイミングを
計った可能性がある。
また、10日のニュースで「朝霞市周辺で複数の中学校を下見し、別の女の子も
尾行した」などと供述していることが新たにわかった。警察は、寺内が朝霞市内
で誘拐する相手を探して入念に調べていたとみて捜査している。
ところで犯人はどのような人物なのか?
ゼミ担当教授は大学側の会見で、「ごく普通の学生で成績は中ぐらい。無断欠席
はなくきちっとしていた。礼儀正しい学生だった」と述べている。
実家は大阪市池田市にあり、両親と妹がいる。小学生のころから勉強ができ、
国立大学の付属中学校に通った。近所の人は「おとなしめで賢くて、みんなが
一目置いているようなお子さんでした。あんな事件をする子じゃないのに」と話す。
2011年に千葉大学工学部に進み、2013年から半年間アメリカのパイロット養成
学校に留学し、自家用機の操縦免許を取得した。フェイスブックには飛行機の
操縦席や機体前でポーズをとる写真が公開されている。
● 小学生くらいがちょうどいい
顔だけ見ると、おとなしそうに見え、それにどちらかと言えば整った顔に見える。
人畜無害の草食系の青年に見えるのだが、彼はみずからの性癖についてこの
ように吐露した。
「中学の頃から女性を誘拐したいという願望があり、ネットで誘拐する場所を探
し、少女を見かけ、自宅まで尾行した」
中学の同級生もこう語っている。
「彼は『恋愛対象は自分より年下で、小学生くらいがちょうどいい』というようなこ
とを普通に話していました」
週刊文春4月7日号でも、中高の同級生が、寺内樺風に関してこのように述べ
ていたことを記事にしている。
「”カブ”って名前が珍しくてたまにイジられたりしていたけど、本人は反論もせ
ずヘラヘラしていた。前髪で目を隠し、普段は暗くて何を考えているか分からな
い奴。休み時間も、教室の隅でライトノベルを読んでいる感じ。なぜかリップク
リームを常に五本持ち歩いていた。当時は冗談半分でしたが、『あいつは将来
きっと犯罪を起こすぞ』って言われていました」
「中学の頃は『鉄道オタク』でしたね。自宅には大きな鉄道模型があり、電気を
通して動かす本格的なものでした。パソコン部に所属して、文化祭では『ドラゴ
ンクエスト』のような自作のロールプレイングゲームを発表していた。成績面
では目立たなかった。」
(同級生)
誘拐されたA子さんが、電話をかけようと思ったのは、家族が必死で自分を探
している現実をネットで知ったからだという。
あきらめないで救出活動をしていたことが、パソコンを通じて彼女の心に届いた
といえる。
参照:容疑者「別の女の子も尾行」 誘拐した少女を別名で呼ぶ
PR:帰りたくない―少女沖縄連れ去り事件 (新潮文庫)
関連:岡本夏生『5時に夢中!』卒業のワケは
文春がまた暴いた!ショーンKの正体
「僕は殺していない」、栃木7歳女児殺害
元少年Aの文春直撃と小池一夫