監督/脚本 ダン・ギルロイ
『「若い奴はどんどん起業しろ」などという大人はいささか無責任である。そうい
う人は、説教を垂れる前にまず「ナイトクローラー」を見るべきである。 この映画
の裏の顔は、「ブラック時代の成功マニュアル」である。』と、映画評論家の前田
有一氏が書いている。彼はこの映画に90点をつけている。
「ナイトクローラー」は、ダン・ギルロイの初監督作品。
事故現場の生々しい映像を撮影し、テレビ局に高値で買い取られた主人公が、さら
に刺激的な映像を求めて行動をエスカレートさせていく。ロサンゼルスで起こる事故、
犯罪や火事をフリーランサーのジャーナリストとして撮影するパパラッチの一種の
社会病質者を描いている。
主人公ルイスの眼から発する異常感が、ゾンビ化しているような不気味さを醸し出し
ていてなんともいい味を出している。ジェイク・ギレンホールの完全なはまり役なん
で、ぜひ続編を作ってもらいたいところだ。まともな会社に全然相手にされず、窃盗
や、フリーターのような生活をしている男が、やがて自分の天職に出会い、しまいに
従業員を雇うような社長の座につくという展開がいい。
このほかにも、全てがブラックユーモア的にストリーが転んでいくのが心地よい。
ただ、ぼくの1点の不満は、彼より一回り上の色気ムンムン・テレビ局の女性ニーナ
との、濃厚な濡れ場がなかったところだ。
また、この映画の結末に関しては不満が観た人の一部から出ている。
その事にかんして、監督は次のように語っている。
「結末には、僕自身が世界の現状を見て感じたことが反映されている。ルーは金のた
めなら何でもやる男だが、現代ではそのようなやり方がしばしば成功に結びついたり
する。ルーは決して特別な“怪物”ではない。もし僕らがルーと同じように経済的に
厳しい状況に陥ったら、生きるために悪事に手を染めてしまうかもしれないんだ。
結末にはそんな警鐘をこめたつもりだよ」。
参照:『ナイトクローラー』監督が物議を醸す“結末”に込めた想い
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