煽情

「煽情」   (原題:AMER)
監督:エレーヌ・カッテ、 ブルーノ・フォルツァーニ     2009年
キャスト:カサンドラ・フォレ、シャルロット・ウージェヌ=ギボー、マリー・ボス

数々の賞をあふれんばかりに取得して、そのDVDの表示ジャケットは

一人の美人の顔のアップ。そして「煽情」というタイトル。
そしてジャケットにはこのような説明文。


視線が肌を舐めまわし
ナイフが粘膜を犯す
官能と戦慄に震える極感エロティック・サスペンス!


ぼくは期待を膨らませてそのDVDをレンタルして見た。
ところが、数分見て嫌な予感がする。意味がわかりにくいストーリー。
極端に少ないセリフなので、人物の関係性もつかみにくい。


映画を観終わった時点でも、ほとんど何を見たかを説明できない。
ネットで検索すると、『アナの少女期、娘盛り、熟女期と、3つのパート

で女の欲望と肉体への探求心を皮膚感覚で描きだす体感映像美の

極致!』との事。「 体感映像美の極致」とは大げさすぎる。


サスペンスと言いつつも、流れている音楽や全体のムードは完全な

オカルト映画。アナの子供時代を描いた部分でこんなシーンがある。
アナが鍵穴を覗くと、家政婦が死んだハトを片手で握り潰して、その

手からポタポタと血が・・・・・・・。

これ、気色悪すぎで、さらにはストリーにその場面の意味が感じられ

ない。その意味不明の家政婦の存在は、後半のストリーと何の関係

があるのか?


DVDジャケットで見る女性は、綺麗だったものの、実際の女優は、
何か神経的にやられているような、強張った変な顔。まだ、子供時代

を演じた娘のほうが可愛らしかった。


やたら目元のアップが出てくる。口元もそうだけど、アップの場面が

多すぎて荒れた肌までがクローズアップされ、何か効果を狙っている

としたら、逆にそれが映画を潰している。


短めのスカートが風に吹かれてパンツが見えても色っぽくない。
髪を口にくわえていてもエロくもなんともない。
女性がタクシーに乗って、体にまとわりつく服の表面をカメラが撫で
まわしても、女性の想像の中で洋服に亀裂が入って脱げても、そこに

何かを感じる事はない。


そもそも女優自体に気持ちが入っていないから、僕には完全に空回

りのシーン。あまりの空振りに、ちょっと笑ってしまうほど。


このような映画にやたら賞をあげるのは、勘違いして見てしまう多く

の人を出してしまうのでやめてもらいものだ。 『クエンティン・タラン

ティーノ監督が選ぶベスト20作品(2010年)に選出された』 という事を

謳い文句にしてるけど、これはどうなの?

ぼくにはまったく良さがわからんかった。

今年になって観た映画の最低ランク堂々1位に輝く映画となった。

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