「1930年創業のアイス屋さんがあるらしいで」と先日ウチの旦那さんがどこからか情報を仕入れてきまして。
1930年て…オランダがインドネシアに入り始めたばっかりの頃? ヨーロピアンの間でバリ・ブームが起きたっていう時代?
そんな頃からやってるアイス屋さんとな???
むむむ、と調べてみると…あらやだ、見覚えあるわこの外観。
スラバヤには結構コロニアル時代の建物が残っていて、雰囲気そのままにリノベーションだけしてレストランやカフェとして使っている、という例がいくつかあります。
でもここは、ばっちり1930年創業。ずっとスラバヤの地でやってるってことで、これは他に例がありません。
興味津々!行かねばー!
というわけで行ってきました。
Zangrandi
Jl.Yos Sudarso No.15
Hotel Garden Palaceの隣です。
すだれがかかってて、一見やってないのかと思いきや…
内側にはこんな素敵な空間が!!
コロニアル!かわいい!
タイルもかわいい!
建物の中はこんな感じ。壁には昔のスラバヤの写真がずらり。
「持ち帰り?ここで食べる?」とおねーさんに聞かれて、「ここで食べる」と言うと、「好きな所に座って」と言われました。
もちろんテラス(というのか?)に
メニューを持って来てくれます。
アイス屋さんのはずなのにこんな立派なメニュー?と思ったら、
なんか色々いっぱい
メニューの1ページ目には、このお店の歴史がざっくり書かれています。
それによると、確かに創業は1930年、イタリア人のZangrandi一家の奥さんが始めたお店なのだそうです。当初、アイスクリームのフレーバーはバニラ、チョコレート、ストロベリー、モカの4種類。メニューもTutti Frutti、Macedonia、Ice cream sodaしかなかったそうです。
1960年代に入って、Zangrandi一家はイタリアへの帰国を決め、それに伴ってAdi Tanumliaというワイナリー持ちにレシピごとアイス屋さんの権利を売りました。Zangrandiと同レベルの鋭い舌の持ち主だったAdi氏は、ココナッツ、ラズベリー、ドリアンのフレーバーをラインナップに加え、店を拡大したのだそうです。
せっかくなので、創業当時からあるメニューを食べてみることにしました。
Macedonia (Rp.33,000)
アイスは好きなフレーバーを選べます。私はモカにしました。
なぜ「マケドニア」というネーミングなのかわかりませんが(私の頭の中には「プトレマイオス朝エジプト、セレウコス朝シリア、アンティゴノス朝マケドニア」という、高校時代に憶えた世界史用語がぐるぐるまわっておりました… M庭先生、元気かなあ)…。
パックマンみたいな形に抜かれたアイスの中に、リキュールっぽいシロップがかけてあるものです。
さて、一口。
アイスクリームというよりは、シャーベットに近いでしょうか。ちょっとしゃりっとした食感です。懐かしい感じの「アイス」。モカはコーヒーのほろ苦さがちゃんと立っていて、インドネシアによくあるアイスみたいにドロドロに甘くありません。
リキュールっぽいシロップとあわせると両者の香りが際立ちます。
やだこれおいしい!ちょっと大人なおいしさです。
冷房の入っていない半外席だけれど、アイスを口に運ぶうちすーっと汗が引いていきます。
昔の人達もこうやって涼をとったのでしょうか。
驚くべきことに店の場所は創業当初から変わっていないそう。建物も、メンテナンスしながら使っているようです。
日本軍の占領時代も、スラバヤが激戦地となった独立戦争(しかもJl.Yos SudarsoはBalai Kotaのすぐそばなので、いろいろすごかったはず…)も、ずっと同じ場所で見てきたんですねぇ…。
店の目の前は、車がばんばん通る交通量の多い道です。でもそれもこのコロニアルな店内にいると、なんとなく遠くなるから不思議。
このお店が見てきたスラバヤの変遷に思いを馳せながら、どこか懐かしいアイスでティータイム。
たまにはそんな過ごし方もいかがでしょう。