私が初めてマンションを購入したのは、20代も後半に差し掛かる頃でした。
その頃住んでいた賃貸マンションに不満があったわけではないのですが、家賃もそれなりに高額だったので、購入もうっすらと視野に入れ始めていた時期でした。
そんな矢先、ある不動産会社の営業マンから、新築分譲マンションモデルルームの、内覧をしませんかという電話が掛かってきました。
それまでなら、絶対につれない返事で返すか、全く相手にしなかった不動産の電話営業を、その時ばかりは真剣に聞いたように記憶しております。
ただそうは言っても、その時点ですぐに購入するという考えは、全くありませんでした。
なぜなら、満マンションのような高額な買い物をする際は、何件も内覧して慎重に吟味して決めるものだという認識があったからです。
なので、マンションを購入するには、どのような手続きを踏んでいくのかという流れを、無料で全部教えて貰おうという軽い気持ちで快諾し、いざモデルルームへ向かいました。
そこで最初に私の目に飛び込んできたのは、テレビ局のカメラの存在です。
現在のマンションでは、受付コンシェルジュ、24時間有人セキュリティ、ゲストルーム、ジムルーム、キッズルーム、カラオケルームなどが備えられているのは、珍しいことではなくなりました。
しかし、その当時は全国的にも初めての試みで珍しかったこともあり、テレビ局が取材に来ていたのです。
初めて目にするような、完成予想のジオラマやモデルルームは、今までのマンションに対するイメージをはるかに超えるものでした。
それまでは、モデルルームは既に完成された1室を内覧するという認識があったので、基礎工事が始まる前に、募集から完売までさせてしまうということ知り大変驚きました。
たとえジオラマやモデルルームでイメージは出来たとしても、高額な買い物をするのに外観もさることながら、実物の内覧をしないで決めるという感覚が、当時の私には全く理解出来ませんでした。
しかし、テレビ局取材、洗練された設備、会場内の盛り上がり、目の前の営業マンの説明、さらには成約ボードに記された部屋番号に紙花が貼り付けられていくことで、無言のプレッシャーを感じ始めたのです。
「俺は買いに来たのではない、流れを聞きに来ただけなのに、、、」
「やべ~俺、、、悩んでる、、、迷ってる、、、決めないと損しそう、、、」
「でも、そもそもお金無いし、、、」
「価値がある、、、数に限りがある、、、時間に限りがある、、、」
頭の中が葛藤の渦でスパークしていると、その営業マンが微笑みながら何かを言いました。
今となっては、はっきりとは覚えておりませんが、このようなことを言われたと思います。
「お悩みになるのはよく理解できます。しかしながら、数日後にこの部屋が空いているという確約が取れません。また、いつでも買えるようなものに、高い価値はないと思います」
一見、契約を急かしているように聞こえますが、決してそうではありません。
なぜなら、私が購入しなくても他にたくさんの方が購入を希望しており、実際に470戸があっと言う間に売れてしまったのですから。
つまり、チャンスだったということです。
また、仮に色々な物件を見て回ったとしても、競争率の激しい物件を購入する際には、必ず同じ決断を迫られるはずです。
逆に、そのような決断が出来ないことで、いつのまにか物件を回ること自体が目的となり、やがては心身共に疲弊してしまうという結果になりかねません。
私は、営業マンからこの一言を言われた直後に父親に電話をして、「家買いたいから諸費用に掛かるお金を貸して欲しい」と伝えました。
当然、唐突に言われた父親は少々驚いていましたが、「それは構わないけど、どんな物件か俺も見たいから見に行く」と言って電話を切りました。
次の日、親父が物件の概要を見て納得し、無事にお金を借りられるたことで、契約することが出来ました。
結局、それから数年後にその物件は売却しましたが、投資目的で購入した物件ではなかったにも関わらず、予想を超える売却益を出すことが出来ました。
よく、チャンスは一瞬に通り過ぎてしまうと言います。
まったくその通りで、本当のチャンスは、いつでもどこでも誰にでも訪れるようなものではなく、こちらの時間的タイミングや金銭的タイミングを待ってはくれません。
スポーツも同じですが、チャンスを逃し続けると、やがてピンチが訪れます。
これからも、決定力と決断力をつけて、少ないチャンスをものにしていきたいと思っております。
買って売って、一生涯の買い物という縛られた概念を無くす!
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