最近の鰻は特に高くて、以前のようになかなか手が出ませんが、皆さまはいかがですか。
私は長年、鰻重の「松・竹・梅」は鰻の質を表しているものだと思っていました。
無知ほど恥ずかしいことはありません。周りのテーブルを見渡しながら本当は食べたくない「松」を、見栄を張っていつも頼んでいました。
しかし、鰻の「松・竹・梅」は質をあらわしている訳ではなく、大きさを表しているのです。それを知ってからは、「竹」か「梅」しか食べなくなりました。
なぜなら「松」は私にとっては量が多く、いつも最後の方で苦しくなっていたからです。
ところで、鰻屋では鰻重を「松・竹・梅」と３段階の価格で提示していることが多いですが、どれが１番売れているかご存知でしょうか。
その通りです、真ん中、つまりここでは「竹」です。多くの人は、他人の目、連れ合いの目を気にして、１番安いものは頼みにくいものです。
店側はこの習性を充分理解しているので、売れたら儲けものの「梅」は「竹」を売るための飾りであり、実際にお客様に頼んで貰おうと期待はしていません。
お店の採算を考える際、目標売上から逆算して１人当たりの単価を設定します。お店として１番売りたい価格帯を「竹」にして、「梅」はやや低めに設定するのです。
また、この「松・竹・梅」は単にいちばん購入して欲しいメニューの為だけに設定するのではなく、３段階の価格表示をすることでコントラスト効果が生まれ、「竹」や「梅」が安く感じられる錯覚を引き起こします。
それでは、「松」は高いから売れないかと言えば、そんなことはありません。人は無意識に高いものを良いものだと認識しますので、売れないと思っていた高額メニューが簡単に売れてしまうこともよくあるのです。
もしみなさんの商売で、今のメインメニューを値上げしたいけど直ぐに出来ないのであれば、高額メニューを作って載せておくだけでもよいと思います。メインメニューが安く見えるとともに、高額メニューを買ってもらえる可能性が高まります。
ただ、治療系の院においては「松・竹・梅」メニューの導入が、患者さんの為にならないという議論もあるようです。
しかし、重要なことはお客様の問題を解決するのは、あくまでも施術を提供する側にあるということです。
あなたにその問題を解決できる手段があるのなら、あなたは自信をもってそれを提案する責任がある、ということを忘れてはいけません。
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