2020年1月 パリへ 治安について思うこと | かけはし

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日本とヨーロッパの交流コーディネイターのさんぼです。
草の根のちいさな交流が広がれば、きっとお互いにわかりあえる、受け入れられる。

前回の日記で、大変治安がよろしくないとされている地区を通った話を書きましたが、わたしは今まで外国旅行で、すりや置き引きの類に遭遇したり、忘れ物をほとんどしたことがありません。忘れ物に関しては、用意した衣類や洗面道具をスーツケースに入れるのを忘れて日本に出張に行き、東京のホテルでスーツケースを開けて、必要なものが一切入っていなくてびっくりしたことはありますが、宿泊したところに何かを忘れてきたことはまだない。ホテルに着くと、まずスーツケースを空にすることから始めるので、わたしの私物はホテルのあちこちに散在させるんですけどね。

忘れ物があまりないのは、注意深い性格というよりも、自分の私物に執着心のあるケチだからだろうと思っています。あと、多くの場合、大急ぎでホテルを出発することがない。ホテルに泊まるのは仕事の時が断然多いですから、緊張と義務感からかなり早く準備を始めるからです。で、プライベートの旅行の時も習慣でそうなる。

 

今回、すりやひったくりの被害の多さで悪名高いパリに行くにあたって、ちょっとは注意しました。まず市内散策中の荷物は最小限にしました。

もともとわたしは、特にフランスやイタリアでは、手ぶらで歩き回ることが多いです。持ち歩く荷物は、少額の現金、カード二枚(クレジットとデビット機能付きのキャッシュカード、パスポート、身分証明書、エコバック大小二枚ぐらい、タバコとライターと灰皿、携帯電話、地図、以上が絶対必要なもので、あとは天気によってサングラスとか、その程度になりますので小さなポシェットか、ポケットの多い服だったら、全部ポケットに入ります。全部身につけておけることで、なにかをするときに荷物を手放すことがない。

流石に資料が必要な仕事の時は小さなビジネスバックを持ちますけど、プライベートではまずバックを持つことは無いです。

買い物をしたら、お店の紙袋とかは全部断り、どんどんエコバックに詰めていきます。

今回のパリは、ポケットがやたらとついたベスト(釣り用)をセーターの上に着て、その上からユニクロのライトダウンですごしましたが、ライトダウンも大きな内ポケットが付いているので折りたたみ傘とかペットボトルの水なんかもポケットに入れることができました。

ポシェットはこんなもの。

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こんな簡単なつくりなのに、見かけより高かったんですが、これはすごく愛用しています。ただ、ポケットが多すぎて、どこに何を入れたのかわからなくなるのだけが良し悪し。

また、カードをあまり頻繁に出さなくて良いように、小銭をバラバラポケットに突っ込んでいました。少額の紙幣も入れて20€分ぐらいでしょうか。で、チップが必要なトイレに入る時なんかはポケットからお金をつかみ出して支払うわけです。カードが登場するのはちゃんとしたレストランかブティックの中だけ。

 

あと、良くあるアドバイスで、観光客と一目でわからないようにしたほうが良い、というのが正しいかどうかは、ちょっとわからないかな。わたしは個人旅行者だろうが少人数のグループであろうが、日本人の観光客はまず間違いなくわかります。ヨーロッパに在住している人なのかどうかも見かけと態度でわかることが多い。だからその道のプロには、どんな細工をしたって観光客かどうかはお見通しとは思いますね。

今回は一日遅れでドイツから親しいお友達が来て合流することになっていて、まったくの一人旅ではなかったんですが、お友達は世界を股にかけてのお仕事しており、わたしも旅行業従事者で、二人とも旅慣れてはいるのですが、お互いに、「女友達と二人での旅行」というのはほとんど初めてで、かなり盛り上がり、ところどころで立ち止まってはガイドブックを見たりとかして、見るからに観光客ではありましたが、二人でいたからかもしれないけど、次の日に悪名高い地区をぺちゃくちゃ日本語でおしゃべりに夢中になりながら歩いても、特に危険は感じなかった。もちろん二人ともヨーロッパに慣れているので、そのあたりは態度に出ているはずで、その道のプロにとってはあまり良いカモにも見えなかったかもしれない。

 

今回のパリは、お正月休みのすぐ後ということで、観光客が少ない時期だったと思いますが、それでも日本人のグループ観光客は何組かはいらしていました。写真を撮るときとか、自由時間の後、集合場所に集合して全員揃うのを待っているときとかは、かなり無防備な感じでしたね。みんなと一緒にいる、ということで危機感が無くなるのかもしれません。あと、団体でどこかに移動しているとき。例えば添乗員さんかガイドさんが一番前で、揃って移動しているときは結構危ないなと思いました。わたし(おせっかいなことに)二回注意しましたもん。

 

あとやっぱり一般的に注意すべきはいろいろな人が集まる駅や駅周辺ですね。今回のホテルは東駅の隣でしたが、そもそもその東駅と北駅があるあたりがパリの中でもあまり治安が良くないと言われている場所の一つで、その地域にある駅となると、かなり注意しなくてはいけないのではないかと緊張していました。もともとこのあたりは移民が多い地域で、白人よりも黒人のほうが圧倒的に多く、そういう意味では、かなり他の地区とは違う雰囲気ではあります。この雰囲気を怖いと思う日本人は多いと思う。しかしながら、実際は、特に危険な雰囲気は感じない駅でした。ただし、繰り返しますが、わたしはヨーロッパの駅の雰囲気というのに慣れているし、30年近く住んでいるうちに、自然と身を守る方法というのをある程度習慣化して身につけているから、というのは絶対にあると思います。だから、「特に危険な雰囲気は感じない」などとは本当は書かないほうが良いのかもしれない。

 

ここからはわたしの個人的な感想で、既に30年ほどヨーロッパに住んでおり、わたしの感覚が既に日本人旅行者の感覚とかけ離れている可能性があることを前提として、思うことを赤裸々に書きますけれど、このあたりは統計的に見て犯罪が多いのかもしれませんが、観光客として数日間滞在する場合に巻き込まれる類の犯罪はそんなに多くないんじゃないかとも思いました。なぜならばスリとかひったくり置き引きの類は、治安がマシと言われるけれども観光客が多い地区で発生することがはるかに多いからです。どういった類の犯罪がその地域で多いのか、というような統計があればもっと具体的に注意できると思うんですが。どこかそんな統計が公表されているのかな?わたしも時間あったら探してみます。

良く行くミュンヘンでも、中央駅の近くに移民が多い地区がありまして、ガイドブックには治安が良くないなどと書かれていますが、本当にそうかな?確かに白人でない人ばっかりですので、慣れていない人たちには異様な雰囲気に見えるかもしれない。立ち並ぶお店も、外国人経営の料理屋さん、ポルノショップ、服をあまり着ていない女性のダンスを鑑賞するところ、黒人専用の美容院などで、知らないで入り込んだら、気後れしてしまうと思います。しかし、その通りは風紀は多少悪いけど、危険かと言われれはそうでもないとわたしは思っています。

わたしは、どの人種であろうが基本的に同じと思うようにしていますが、出身地域によって、日本とは違う価値観で育った人というのは多いと思う。あと、怒りの表現の仕方がわたしの常識とは違う人が多い国、というのもある。

だから、そういったことにちょっと気を付けて行動するだけで、理由のない恐ろしさとか、気後れとか感じなくてもいいのではないかと思います。

 

わたしの限られた経験で言うと、〇 親しげに近づいてくる人には用心する 〇 荷物は身につけておく 〇 地下鉄で出入り口の近くに座って、気軽に携帯を出さない(ひったくられてドアが閉まる寸前に降りて逃走) 〇 写真を撮る際、買い物をする際などはスリにとって絶好のチャンス 〇 カード満載の財布を出すのは然るべき場所でのみ 〇 カフェなどでテーブルに携帯電話を置かない 〇 バックは常に必ず体の前に 〇 いつも(おしゃべりに夢中になっているときも)貴重品を常に意識しておく 〇 好奇心で人通りの少ない小道などに入り込まない。できれば少し遠回りになっても大通りを歩く

 

以上のことを常に意識していたら、だいぶ違うと思います。  

 

さんぼ