前の日記に書いたように、ドイツでの子育てにはこれといった多額の費用はかからなかった。
長女がレアルシューレを卒業するまでにかかった大きな支払いは、歯の矯正費用が最大のものでした。
わたしたちは、もっとも一般的な、日本の国民健康保険にあたるようなステイタスの保険に入っているんですが、その保険は歯科治療に関しては結構制約があります。虫歯に関しては、ドイツでは大雑把に言うと「あなたの手入れが悪かった結果。自己責任。」ととらえられているので、治療費が高いと言えます。と言っても治療に使う材料などは、松竹梅と値段に差のあるいくつかのパターンが提案され、患者がどのコースを選ぶかを選択することが出来る場合が多いです。見えないところは、目立つけど安価な素材で埋めちゃってくださいとかね。
ただ、矯正歯科になると、ほんと、自己負担部分が多い。
長女は(次女も!!)顎が小さいのに歯が大きめで、どうしても自然のままに放置すると、ガタガタになると予想されたために歯科矯正を開始しました。開始したのは彼女が14歳ぐらいだったと思う。かなり遅い開始です。終了したのは16歳。長い長い道のりでした。因みに次女は、もっと長くかかり、先月ようやく矯正器具が取れました。彼女は双子の歯(根は二つだが表面に出ている部分は二本くっついている珍しいもの)があったために難航し、4年以上かかりました。
この矯正歯科には莫大なお金を払いましたね。もちろん治療を始める前には矯正歯科から詳しい書類が保険会社に提出され、「じゃあ、治療には保険が適用されるよ」というような許可をもらって始めるわけです。だから、全額自費では決してありません。治療費は保険が適用されますが、材料費は多くの部分が自費なわけです。
また、きちんとした費用見積もりも出ますから、前もって心構えというか、ちゃんと覚悟もできるのです。
最も高額になるのはブラケットと言われる矯正用の器具。これこそ松竹梅と選択肢があって、透明で繊細なものから武骨でかなり目立つものなどいくつかのパターンがあります。
我が家の場合は女の子なので、目立ちたくないと懇願され、あと機能的なことも鑑みて、松の下、という感じのランクのものを選びました(松が一番いいんですよね?ネットで調べたが、説明がまちまちでしたが)。
この矯正歯科に、わたしは総額2500ユーロ以上を払いました。でも、治療が終了した後に、矯正歯科からの治療修了証明書と一緒にすべての請求書をファイルして、保険会社に提出すれば、支払った中の一部が保険会社から戻ってきます。
歯科矯正に関してはすべてわたしが支払ったので、返金のための口座もわたしのでしたから、いくら戻ってきたのかありありと覚えています。650ユーロぐらい戻ってきました。
先週次女の治療も終わったので、近々請求書が届くはずです。せっかく矯正した歯並びが、また再び動かないような装置を歯の裏に取り付けまして、その装置がたしか400ユーロ以上かかる見積もりだったと思うので、おそらく最後の請求書はめまいのするような金額が記されているでしょう。ただし、わたしはそれを支払うや否や治療修了証明書を矯正医から受け取り、その足で保険会社に行き、返金の手続きを取る予定です。
因みに、治療途中で何らかの理由で辞めた場合は一切返金はされません。
これで最後。歯の裏に歯並びを固定するワイヤーを取り付けた上、寝るときだけこのマウスピースを装着する。これは、これから相当長く行わなければいけません。
もしも、お子さまの歯の矯正を考えていらっしゃる人がいるとすれば、わたしが経験者としてアドバイスできるのは、「本人にやる気がなければやっても無駄」ということでしょうか。
治療中も、たとえば夜だけはめるマウスピースを装着したり、矯正器具にゴムをひっかけて調整したり、とにかく本人がなさなければいけない作業がとても多くあるのです。毎回毎回親が出て行ってあれこれ指示したり、マウスピースを装着してあげたりなんて無理ですからね。彼ら本人にやらせるしか無い。矯正器具をつける前にマウスピース装着で、歯をある程度移動させて器具装着の準備をするんですが、マウスピースを仮に一週間装着しなかったとすると、歯がすぐに動いて、せっかく作ったマウスピースはすでに合わなくなっており、また作り直しとか、もう、延々と作業が続くんですよ。我が家の場合は、わたしという負の見本がいましたので(50年ぐらい前に日本で歯科矯正なんて一般的ではなかったから、とても大口を開けて人前に出られない)、結構真面目にやってました。ありがたいことに。
「人を見かけで判断してはいけません」なんて、言われますけどね。わたし、歯に関してはけっこう見かけで判断されちゃうんじゃないかな、なんて思うんですよ。これはわたし自身がコンプレックスがあるから、ちょっと大げさに考えている部分もあるけど。でも、少なくともドイツではそうじゃないかな。なんか、子供の歯に問題があると、「親が手をかけなかった。子供の健康に無関心だった。子育てをテキトーにやった。」みたいに思われているんじゃないかなあなんて気がしますよ。
だって、歯に関しては、結局手と心をかけないと健康が保てませんからね。体みたいに、暴飲暴食したって運動しなくてもたまたまラッキーで全身オッケー、ってわけにはいかない。
そして、そのことを教えられるのはやっぱり子供と幼いころから一緒に生活している誰か、すなわち親だけですからね。
さんぼ

