草の根の文化交流 1 | かけはし

かけはし

日本とヨーロッパの交流コーディネイターのさんぼです。
草の根のちいさな交流が広がれば、きっとお互いにわかりあえる、受け入れられる。

ヨーロッパでは、イースター休暇も終わり、日常が戻ってきた。

日本では新学期が始まり、新たなスタートの時期ですね。


大変長くお休みをしていましたが、さあ、わたしもそろそろ休暇気分から脱出し、素晴らしかった体験をお知らせしたいと思います。


前回の日記に書いたように、春休みの時期に、日本から女子中、高生のオーケストラがヨーロッパに演奏旅行にいらっしゃいました。


何回かに分けて、今回の演奏旅行について、わたしの関わる音楽交流旅行の一例として流れを書いてみようかなと思います。わたし自身にとっても思い出になるし。


今回は演奏者だけでも70名以上の大グループでしたから、バスを二台手配し、一台はわたしの夫、もう一台は夫の信頼する運転手仲間に依頼して、二台連ねての移動となりました。


第一日目、フランクフルト空港にお迎えに行き、いよいよ日本からのメンバーが到着。80名という数字だけではその実際のボリュームをなかなか実感できませんが、実際に楽器とスーツケースを抱えて、出口から出て来られた時に、いつまでたっても列が終わりにならないために、「いや。これは本当に大型グループだ」と心から実感し、武者震いしましたね。


今回の演奏会は二回で、その最初の目的地はStuttgart空港のある街、Echterdingen-Leinfeldenでした。フランクフルトからここまではバスでだいたい3時間。


長い飛行時間を耐えてフランクフルトに到着し、すぐに3時間のバス移動でしたが、長い長い移動をお嬢さんたちは耐えて、すぐにホストファミリーと対面。


集合場所のEchterdingen-Leinfelden音楽学校では、既にホストファミリーが待機しており、簡単な飲み物やスナックを用意してわたし達を待っていてくれました。


おおよその場合、ドイツの団体は、いろいろな外国との交流プロジェクトに対して、非常に慎重な場合が多く、プロジェクトが決定するのにかなり時間がかかる場合が多いですが、一旦決定してしまうと、かなり細かいところまで慎重に計画するため、想定外の「あっ」と驚くことが少ない。

それに比べて。。。(長くなるのでまた機会があったら別の国についてはあらためて書きます)。


今回のホストは、指揮者が日本人ということもありますが、もともと音楽学校およびその保護者があらゆるプロジェクトに対して非常に協力的でホスピタリティーに富んでおり、今回の日本からの生徒さんたちのホームステイにしても、わたし自身は「あまりにも多いから、良くて三分の二ぐらいを受けてくれるかな?」なんて思っていたのに、依頼して一週間後には、参加者全てのホームステイ先が決定したぐらいの早業で、わたしはこの仕事をはじめて20年ぐらいになりますが、こんなことはあまり経験がありません。


音楽学校の地下のホールに移動し、副校長の挨拶に続き、いよいよホストファミリーの紹介。


今回は、事前にお互いのメールアドレスの交換などをしており、日本出発前からある程度やり取りをしていたために、日本側もドイツ側も「やっと会えたね」という感じで、本当に友好的に、うれしそうにホストファミリー宅へ移動していった。


ホームステイを楽しめるかどうかは、勿論人によりけりでしょう。わたしなんかは、正直に言って若いころから一日のうち、一人っきりの時間が無いとツライタイプだったので、もしかしたらちょっとは抵抗があったかもしれないなと思います。まあ、行ったら行ったで楽しんだかもしれないですが。だけど、考えてみたら、ホームステイは外国の生の生活を体験できるわけで、本や映画では知ることの出来ない「本当の外国生活」のさわりを若いうちに経験できたことは、貴重なことだったのではないかなと思うのです。


今回のホストファミリーはそのほとんどが、Echterdingenの音楽学校オーケストラメンバーのお宅で、そのほかのホストは、オーケストラメンバーの親戚、オーケストラには入っていないけれど音楽学校でバイオリンなどのレッスンを受けている子供の家庭でした。


受け入れに際して、実際にさまざまな手配をしてくださったのは、指揮者の奥様で、彼女自身もバイオリン、ヴィオラの先生をしているドイツ人女性でしたが、かなり細かいところまで気を使ってくれ、たとえば到着当日は、お嬢さんたちは疲れ果てているに違いないので、ちょっと暖かいものを食べさせてさっさと床につかせるように、とか、日本人はお風呂に毎日入る習慣がある。お嬢さんたちが気を使って言い出せないと気の毒だから、ホスト側から風呂を勧めるように、とかとにかく、かなり細かい説明をホストファミリーに

していたために、とても助かりました。

だって、普通ならホストファミリーから事前にわたしのところに「朝食にご飯を炊く必要があるか」とか「我が家は土足なんだけど、ゲストがいる期間だけ土足厳禁にしたほうが良いか」とか「そもそも夕食に何を作ったらいいかわからない。寿司か?」などという電話がじゃんじゃんかかってくるんですが、今回はそんなのは一切なし。これも奥様のレギーネさんが、いろいろな情報を事前にホストに与えていたからです。



無事に全員ホストファミリー宅へ移動し、日本からの引率の先生、わたしを含めた現地チームは、ホテル泊でしたから、ホテル近くのイタリアンレストランで打ち合わせを兼ねて軽くお食事。

明日からの予定を確認し、交流コンサートとこの旅行が実り多きものになるように祈願しながら乾杯したのでした。


続きます。


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リハーサルの情景。


ところで、わたしは夫と一緒に仕事をすることが多いのだが、お互いに自分こそがリーダーだと思っているので、仕事中にお互いの主張を曲げず、大喧嘩が勃発することがある。何度か(夫婦なのでツインルームに宿泊することが多いのだが)わたしが夜中に部屋を飛び出し、フロントに交渉してシングルルームに引っ越したことすらある。まあ、最近はお互いに多少丸くなったのでそんなことも少なくなったが。

この最初の日の乾杯の際にわたしと夫は「お互いに相手を尊重し、このツアー中一度も喧嘩をしないこと」を二人で誓ってそのためにも二人だけでこっそり乾杯したのでした。


さんぼ



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