やはり、外国生活というのは、常に緊張を強いられるところが絶対にあるのだろう。かなり慣れたといっても、所詮他人の国。無意識に多大なストレスを抱いているかもしれないと思うことが良くある。
だから、あえて外国人と結婚してよかったことを書き連ね、自らを発展的な方向に持っていこうと思う。
1. 夫に過度な期待をしなくて済む。
もともと育った文化、言葉など、何もかも違うのだから、わかり合えなくて当然というのが基本にあるのは、とても気が楽なことだ。また、外観が外人というのも違う人間ということを即座に納得するのに役に立つ。なにか、期待に外れるような振る舞いを夫がしたとしても、彼の緑灰色の目を見て、「ああ。外人だし、わかんないよな」と自分を納得させることが簡単だ。これが日本人だったとしたら、わかってもらえるはずと期待し、それが過度な期待だということをなかなか納得できなかったはずだ。
2. 言葉の問題で、言いたいことを全て言えないので家庭内の平和が保たれる。
私は怒りに満ち溢れると、それを発言エネルギーに換え、言葉でもって攻撃するタイプだと自己分析しているが、幸い夫との喧嘩の際は、ドイツ語に不都合があるために、言いたいことを全て言えない。言い過ぎて収拾不可能な混乱になることは多くても、言い足りなくて壊滅的な諍いになることは無い。言葉の面で夫と対等だったら、まず間違いなく私のほうが弁がたつために(国籍に関係なく、女のほうが上手)、彼をこてんぱんにのしてやることが出来る。不自由な原語で、心のうちを言い足りなくて、私に欲求不満が残るかというと、それがさほどでもないのだ。なぜなら、私にしてみれば、能力の限りを尽くして私なりには罵詈雑言を精一杯発しているから、一応それで満足できる。
3. 実家に数週間里帰りできる。
私の友人の多くは、福岡出身の日本人と家庭を持っていて、他県に住んでいるが、里帰りは良くて盆と正月。しかも、せっかく福岡に里帰りしても、滞在はご主人の実家。自分の実家には良くて数泊しか出来ないとの事。それを考えると、心から外国にお嫁に行って良かったと思うのだ。もちろん里帰りのために、私と子供二人の航空券もろもろで、毎回数千ユーロはかかるとしても。
4. 保険、税金、ローン、役所への家庭運営書類関係などの処理を夫に丸投げ出来る。
日本の愛読奥様雑誌を読む限り、こういったことは日本では通常妻が担当することが多いようだ。ドイツでも、夫婦で協力して様々な書類仕事の類を四苦八苦してこなしていると思う。しかし、我が家の場合は私が外国人で言葉が完璧でないのが幸いして、こういった日常の書類仕事は全て夫の担当に習慣付けたのだ。わたしわかんないから一抜けた、という態度を保てば、彼も私に期待しない。
5. 義母をはじめ、親族一同私に甘い。
義母は私に甘い。夫と問題があったら、いつでも私のところに来ていい、私はいつだって貴女側に立つから、とすら言ってくれている。なにも、私が貢物を捧げたわけでなく、言ってみれば、馬鹿な子ほど可愛いというか、私は義母や親族からいまだにお客様扱いされている証拠である。本来義母は自分が若いころから苦労したせいで厳しい女で、他の嫁たちの事はけちょんけちょんに貶すのだ。それを本人に直接言うのだから、けっこう他の嫁達とはかなり深い確執がある。しかし、私は一切彼女から不快なことを言われたことはない。私といまだに恐る恐る接しているのかもしれない。私の作る食事はいつもパーフェクト、ケーキは美味しいし、いつまでもスリムでたいへんよろしい、ということになるのだ。それで、他の嫁から嫉妬されて意地悪されるかというとそんなことは全然無く、彼女達にとって私は同じ土俵に立っていない外国人なので、いつまでも親切にしてくれるのだ。
まあ、こんな程度だろうが、これらは、大変な利点で、これがあるからこそ危ない危ないと関係諸君からうわさされているにもかかわらず、私と夫の結婚生活は未だに続いているのだ。
近い将来必ず起こるであろう大喧嘩の際に、この日記を再読して、心の鎮火の役に立てようと思う。
さんぼ