~バッキャオ(正面)とマルケス(背中)WOWWOWのテレビ画面より。~

3Rでダウンをとられ、5Rでダウンを取りかえすという大激闘。バッキャオの調子がのってきて優勢に試合をすすめた6Rだった。
相手をコーナーに追い詰め、踏み込んで勝負を決めに行った瞬間、マルケスのカウンターパンチを顔面に食らってそのまま失神ダウン。実にあっけない無残な負け方だった。
~踏み込んで打ったパンチをかわされ逆にマルケスのカウンターを食らう~


普段格闘技を見る事はあまりないが、ボクシングには思い入れがある。
マニー・バッキャオ
6階級制覇という離れ業をやってのけたボクシング界の革命児。30代になっても衰えを見せない圧倒的なスピードと超人的なスタミナ。フィリピンの国民的英雄でもある。
たまたまバッキャオの生い立ちのドキュメンタリー番組をWOWWOWで見る機会があった。(軌跡の拳 ~マニー・バッキャオの最終章~)
彼の強さのルーツは幼い頃の農村での貧しいな生活にある。6歳の時に父が6人の子供と母を残し家を飛び出しそのまま行方不明となる。苦しい家計を助けるためにパンを売り歩いて生活の足しにした。空腹のあまり小学校を欠席することもあったそうだ。
そんな時に親戚のおじさんの家でTVを見てボクシングの魅力に目覚める。浮浪者になるな、自分の力で稼ぐ力を付けろという母の強い言葉を胸に刻み、彼は家計を助けるべくボクサーを目指しマニラに旅だつ。スラム街で野宿しながらトレーニングを積みどんどん頭角を現していくがその後のサクセスストーリーはWikipediaが詳しい。
「スピードの持久力」を生みだす新しいトレーニング法、良質のものをたっぷり食べる食事法など革命児たる所以は枚挙にいとまがないが、その中でも敬服するのは富と名声を得てもその謙虚さを失わない生き方。今も故郷のミンダナオ島を離れず、自分と同じ境遇にある貧しい子供達や家のない人達を助けるために様々な支援活動を行っている。
一方リング上では格闘技を越えた次元でファンに夢と希望を与える親しみやすいヒーローであろうとする。バッキャオファンの俳優の香川照之さんは彼の魅力は強さの中にある愛くるしさだと言っていた。
富と名声を得ても謙虚さを失わない生き方。志が高い人間でないとなかなか出来るものではない。マニー・バッキャオに人生を教えてもらった1日である。
そしてふと誰かの事を思いだしもした。