私には妹が二人いる。
3つ下の妹と、7つ下の妹だ。
姉妹なのに性格はずいぶん違う。
下の妹は、末っ子らしい末っ子で、
甘え上手で何でも要領良くこなしてしまう。
それに対して上の妹は、無口で自分の気持ちはほとんど話さない
しかし自分の意思は絶対に曲げない
とても不器用な性格だった。
私は何故か雛人形を見る度に
その3つ離れた妹のことを思い出す。
彼女は友達とワイワイ遊ぶことが苦手だったらしく
家のなかで一人でいるか、
プールで黙々と泳いでいる方が好きだった。
そんな妹も兄弟の中では私と年が近かったせいか
小さかった頃はいつも私のあとをくっ付いてきた。
川にザリガニを取りに行くときも
神社で缶蹴りをするときも。
ある日こんなことがあった。
母に連れられて妹と二人、街のデパートに来たとき
母が買い物をしている間、二人だけで近くにあった小さな遊園地で遊んでいるように言われた。
100円ずつもらって何に乗ろうか相談をしても
案の定何でもいいとしか言わない妹に
私は少し腹がたって意地悪をした。
「今日は俺のあとをついてくるな。自分の好きなのに乗れ」
そう言って私はさっさと一人で観覧車に乗った。
そして遊園地を一人で探索して1時間後にもとの場所に戻ったら
妹は100円を握りしめたまま
ずっとうつむいて立っていた。
妹は人前では決して泣かない。
怒っているわけではなく
ただ悲しみを堪えてひたすら立っていた。
ショックだった。
何故私はあんなひどいことをしたのだろう。
どうして一緒に観覧車に乗ってやらなかったのだろう。
その光景は今でも消えない心の染みとして私の心に残っている。
何故雛人形を見ると妹のことを思い出すのかはわからない。
雛人形が放つ美しくも儚く、
静かにも強いエネルギーみたいなものと
妹の雰囲気が重なるのかもしれない。
妹とはしばらく会っていないなあ。
そんな妹も今では二児の母で
田舎の小学校の先生を立派にやっている。
