先週、ヴィム・ヴェンダースの新作

「PERFECT DAYS 」を観にいきました

ほんとうに素晴らしくて

安易な言い方だけど、恍惚とどハマりしました

余韻に浸りまくった一週間

正確にいうとまだまだ浸っているので

なかなか書けそうで書けなかった

 

 といってもこの感覚の鮮度を失わないように

それでいてこれから観られる方の邪魔にならないように書かないといけない

もちろん鑑賞済みの方もいらっしゃるだろう

サマナの文章で興醒めしないように‥

 

できたら、上映が終わったらもう一度書いてみたいとも思う

今回は映画の周囲をなぞるように書いてみたい

頼まれてもいないが

サマナブログの読者さまで全く観る気もなかった方

ヴェンダース?は?って思っていた方

映画館に随分と出かけていない方に

一人でも劇場に足を運んでくれたらと思うのである

 

 

 

 

映画は映画館で

そう、この映画にはいろんな触れ込みがあるようだ

役所広司が渋谷のトイレの清掃員で主演でカンヌ映画祭で男優賞を獲得したとか

まずその東京のトイレ事業が先行の映画だったとかエトセトラ

しかしそんな大人の事情?はおいておいて

この映画はあまりに「ザ・映画」であるので

劇場でみるべきだと思う

 

まず、どれほどテンションが上がったかというと

いい映画を観た!というこの豊かな感覚を

何に例えたらいいのでしょうか?

いえ、これは映画が映画たり得るところなので

何もほかには変え難い感動があります

 

個人的にはサマナにとっては

「ドライブ・マイ・カ-」以来のダイレクトに心に響く映画体験でした

約3年前の2021年の9月

あの映画でインスピレーションを得て

文章を「書く」ことで自分は復活しました

長いトンネルから出てきた感がありました

 

「PERFECT DAYS」はどうでしょうか?

それはひたひたと合致する感じなんです

 

期せずしてこのブログの前

映画を見る前の前日に書いていたテーマとはあまり関係ない形で

記憶から浮かび上がった京都の下宿

あの学生時代に自分にはなんの「ルーティーン」もなかったのですが

そしてあの時代「ルーティーン」なる言葉は浮上することのない時代

ちょうどあの頃に『ベルリン・天使の詩』を観たのでした

映画のサントラのCDを持っていました

そして『パリ・テキサス』で洗礼を受けました

この題名、今書きながら

ベルリン(ヴェンダースはドイツ人である)

にパリ、にテキサス!!って!!

どこにも行ったことないけど

ヴェンダース監督は必ずや連れて行ってくれるのです

そして何より

ロード・ムーヴィーという枠が映画にあることを知りました

そして自分はロード・ムーヴィーが好きなのです

そして『パーフェクト・デイス』の心の中の拍手喝采が

鳴り止まなかったエンディング

隣の隣のおじさまが涙をすすっていた

その気持ちがとってもわかる

役所広司さん演じる平山が東京の街を

走っているのである

車で

そう

素晴らしいロードムービーであることにも気づきます

 

音楽もすばらしい

映画のウィキペディアがもうできていて

そこには映画で使われている音楽が載せられているけれど

 

懐かしい音楽がでてきたり

知らなかった音楽で

エンディングのニーナ・シモンは

映画を観てから一番聴いているかもしれない

 

音楽もそうだけど

音もすごいの

この感性

平山の目覚まし時計のかわりとなる音

 

日々の日常

その素晴らしさ

完璧さ

だからルー・リードの「パーフェクト・デイズ」

 

そしてサマナが学生のころ

ジャケ買いしたパティー・スミス

まさにあのアルバムジャケット

ジャケ買い成功で何度も聴いたパティースミス

友人に貸したら帰ってこなかったあるあるで

一層に忘れられないあのアルバムジャケット

 

これ聴いてみようと思ったにちがいない

アヤ演じるアオイヤマダ

ちょうどサマナがジャケ買いしたのと

同じくらいの年代じゃないのか?

やっぱ、それ気になる?

 

そしてちょっと驚いたことに

この映画を観て

その賛否両論があるらしい

いや、絶賛しかないやろうといいたいのだ

それはあまりにドラマがないからのようだ

いや、これ以上の美しい人間はおらんだろうって思うし

日々変わらないような毎日に

街に生きている限り

人との関わりに人生が浮かび上がる

というか、この映画をみてつまらないとか思う人とは

無理やわ笑

っていうかそこ

映画の中の重要なセリフ

平山が言っていた言葉そのままが

賛否両論

決してお互いが理解できず交わらない世界があるのだろう

 

この絶妙さ

この微妙さ

精妙さ

情緒

 

説明するのが無粋

 

そう

ああ〜〜言いたいけど、書きたいけど

これ書いたらいわゆる「ネタばれ」になるのか?

 

やめとく

抑制もときにはいいものだ

サマナの饒舌ぶりで幻滅されたらもともこもない

 

あくまでもの「感覚」にとどめておこう

それくらい「それぞれの自分」の感覚にとどめておける映画だと思う

心のひだにひっかかる

現世はこの心のヒダがあまりにもなくなった

つるんつるんや

おもんない

ひっかかれへんねん

もしくは忘れていた心のヒダが盛り上がるから!!

若い方は(このブログをお読みの方で三十代まではごくわずかだと思うが)

違うまた感性をひろうだろう

そう、アヤのように

そして、平山を「おじさん」といって登場したニコのように

ニコは平山を何より慕ったのだから

若い人たちはなにより大人の仮面、偽りを見抜いているよね

 

 

 

 

これはブログでもお勧めしなければと思いながらも

余韻に浸っている間に

あれよあれよと一週間が経ってしまったことは先にも書いた

この上の写真はインスタのスクリーンショットだ

そう、インスタにあげようかと思ったがそれをやめた

貴重なスクショです

自分で貴重とか言ってとってもイタい感じ笑

 

自分の言葉が映画に対して鼻についていてやめた

だけど書いた文章は残したかった

もうまわりくどい

とってもめんどくさい

それくらい今の自分を試される

そういう映画でもある

 

閃光のようにおりてきたものは

衝撃的な印象を与えそれを消化する人間の速度では間に合わない

その稲妻のような衝撃に

自分の解析が追いつかないのである

 

 

自宅から一番近くで上映しているのはトーホーシネマ鳳

車で30分くらい

ちなみにトーホーシネマ泉北が直近となりますが

こちらの映画館はTOHO系でも観たい映画が

上映されていないということが多いです

それで開始時間も9:45

誰が観にいくの?

この映画館が目論むターゲット

なんか無性に腹たつわ笑

 

実際映画館は前日にネットで予約した時は

ほぼ空席だらけだったけど

それなりに少数のオーバー50

確かにね、納得

私のように学生時代、20代にヴェンダースを観たっていう層か

意外だったのが熟年カップルが多かったこと

もちろん私のように一人できている人もいたが

私は

賛否両論あるならだ

一人で行くことをお勧めする

映画は一人がいい

一緒に行った人と同じ感想とは限らないし

さっそくに世界観を隣の人の一言で潰されるのは

映画代だけ考えてももったいない

ちなみに

東京では満席らしい

文化度の違いか

あ〜南大阪

 

 

 

 

 

 

もうちょっと書かせて

平山が行く古本屋があるのだけど

平山が買う百円均一の文庫本を

いちいち一言いう女店主?のセリフがたまらんの

 

そういえば学生時代は「古本屋の店主でいいわ」って思ってたこと

そんな消去法じゃなくって

「古本屋の店主になりたい」って本気で思う今日この頃

 

ちなみにどうしても欲しくなって

平山が読んでいた文庫本を買い求めた

ほんまに文章がいいのだわ〜

そして自分の本棚でこの作家のものが二冊あったことを確かめた

 

小津へのオマージュ

そこかしこに小津安二郎がいるよね〜っていう

アングルは小津のように床には置いていないと

ヴェンダースはインタビューで言っているけど

あのローアングルで平山のいるアパートの和室

平山の世界

(ちなみに平山という名前も小津作品でよく出る苗字らしい)

あの一室で完璧な(パーフェクト)なところ

なんかほんまに京都の4畳半の下宿がかぶる

前日にあんなに書きまくったブログ

好きな本に好きな音楽

もっと好きなものがほかにもなんだかんだあったけど笑

 

それにしても役所広司は最高にすばらしい俳優だ

平山の設定年齢と役所広司の年齢は同じらしい

 

私は十代の頃

NHKの「宮本武蔵」で役所広司の大ファンになった高校生でした

いろんな記憶が交差する

結局はなんのまとまりもなく乱雑に

それでいて精妙に

障子に移る光のたまたまさんをみていたり

葉脈の透けてみえる裏側を楽しむことが好きな方には必見です!!

と最後押し込むのだ