警察で検視を受ける為に母が運び出された後、
見つけてくれた伯母と息子、
そして立ち会って下さったお隣の方は、
その場で簡単な事情聴取を受ける事になった。
実はこの流れ、私としては2回目である。
父も在宅時に亡くなったので、
母と同じく警察の検視を受けたからだ。
発見時の様子や直系親族の有無、
最後に話したのはいつかなど事情を聞かれる他に、
故人の財産(貯金通帳等)もザックリ調べられる。
父が他界した時は病気で入院していたのが、
最後は家に戻りたいと希望して戻って亡くなったのだが、
検視の結果、のどに何か白い物が引っかかっているとかで、
亡くなる前に何を食べたかなど詳細に聞かれたそうだ。
父の喉にあったのはどうやら内服薬だったらしいのだが、
その日の朝にヨーグルトを食べた事を思い出した母がそれを告げると、
警察はヨーグルトで納得したらしい。
その横では預金通帳の写真を撮られたりしていたので、
母が「財産も無いのに保険金殺人を疑われたのかも」と、
可笑しそうに言っていたのを覚えている。
母の時も概ねそんな感じだったそうだが、
伯母によると母の財産が他にないかなど、
結構しっかり聞かれたらしい。
しかし飛行機の距離に別居していて、
故人の子供であり唯一の生存する法定相続人である私には、
ついぞ一本の電話もかかってこなかった。
皮肉ではなく慎重なんだか大らかなのかよく分からないが、
父の喉の話と言い、なんだかクスリと笑えるものがある。
事情聴取がひと段落して警察の方が引き揚げると、
伯母が電話をくれて母の遺体をどうするかと聞いてくれた。
私が現地入りするまで葬儀を待つか、
先に火葬してしまうかという事である。
私はひとかけらの迷いもなく、
後者を選ぶ旨を伯母に告げた。