都内某所、10月10日午後9時

一人の警察官が何者かに連れ去られたという通報が入った。

大河内『この事件はなんとしても早期解決してもらいたいんです』

内村刑事部長『うちに任せろ。一課が総力を上げれば誘拐事件なんて赤子の手を捻るようなものだからな』

大河内『いえ、はっきり言って一課だけでは不十分です。あの二人にも捜査に参加してもらいますよ』

内村『ばかな!一課よりもあの二人が優秀だと言うのか!』

大河内『今までの彼等の功績を考えれば当然です』

  

 翌日、警視庁に警察官誘拐事件特捜本部が設置された。

亀山『俺らが特捜本部に呼ばれるなんてなんか変ですよね~右京さん』

右京『そうですね~しかし亀山君、不謹慎ですよ。事件を前にそんな嬉しそうな態度は問題ですよ』

亀山『あれ、バレました?すんません!』

内村『え~今回の事件の指揮を取る本田管理官だ』

伊丹『一警察官の誘拐事件でなんでこんな大袈裟なんだ?』

芹沢『誘拐された警官は大企業の次男で、社長である父親からの圧力が相当あったみたいっすよ』

伊丹『金持ちはどこまでも優遇されるのか・・・』

本田『そこ、うるさいぞ!やる気がない奴は帰っていいぞ!それから、特命の杉下と亀山!くれぐれも勝手な行動はするな!で、事件の詳細は?』

捜査員『はい、誘拐されたのは中川グループの次男でもある浅草署地域課の中川圭二巡査(28)。誘拐された現場は不明ですが、自宅付近に中川巡査の携帯電話が落ちていたことから自宅近辺で拉致された可能性が高いです。』

本田『目撃者と犯人からの要求は!』

捜査員『いまのとこ目撃者も、要求も共にありません』

      
 そこに犯人から電話が入った

本田『よし、逆探だ』

犯人『中川巡査は預かった。無事に再会したかったら現金で一億円用意しろ!受け渡し方法は追って連絡する。それから、おそらくこれを聴いている警察諸君。無能な君達に私を捕まえるのは不可能だ。』

ガチャ(電話が切れた)

本田『くそっ!警察への挑戦のつもりか!』

捜査員『逆探知は携帯電話のため無理でした・・・』

本田『・・・』

捜査員『しかし・・・相手の携帯番号を調べたところ10歳の子供のものです・・・』

本田『盗品か?』

捜査員『いえ、届け出はありません』

本田『・・・よしっ次の連絡があるまで待機!それと杉下!亀山!』

二人『はい?』

本田『お前らは一応持ち主の子供の周辺を調べろ!』

右京『わかりました、行きましょうか、亀山くん』

亀山『・・・はい』

亀山『結局、俺らは雑用なんすね・・・』

右京『いえ、そうとも言えませんよ』

    
携帯の持ち主の家についた二人。

亀山『あの~大介君(持ち主)はいませんか?』

母親『大介が何かやったんですか?』

右京『いえ、そうではありませんよ』

亀山『実は大介君の携帯電話がある事件に使用されまして・・・ね』

母親『大介~ケータイなくしたの?』

大介『・・・ごめんなさい、怒られると思って無くしたの黙ってたの・・・』

母親『いつ!』

亀山『まあまあ、落ちついて!おかあさん!』

右京『大介君、どこで無くしたかわかりますか?』

大介『多分・・・タクシーの中だと思う』

   
二人はタクシー会社にむかった

亀山『先週の日曜日に携帯電話の忘れ物はなかったですか?』

運転手『それでしたら、たぶん私が交番に届けたやつだと思いますね』

亀山『?どこの交番です?』

運転手『この近くの浅草公園前派出所です』

亀山『右京さん、なんか変ですよね・・・そこは中川巡査の勤務先だし・・・しかも遺失物としては処理されていないはずなのに・・・』

右京『亀山君、公園前派出所に行ってみましょう』

亀山『そうっすね』

    
 派出所にて

右京『はじめまして、特命係の杉下です』

亀山『同じく亀山です』

部長『ご苦労様です。私が班長の大原です。彼らが両津巡査長と秋本巡査です。携帯電話の件ですが・・・我々は遺失物を預かってませんね~勿論書類もありません』

亀山『そんなはずないでしょ~』

右京『確認すればすぐに解りますよ・・・両津さん!』

両津『うっ・・・申し訳ありません!実は手続きの途中で紛失したんです・・・』

大原『バカモノ!何故すぐ言わないんだ!』

右京『警察官としてとても恥ずかしいことですよ』

亀山『紛失となると・・・捜査は振り出しっすね~しかしよくわかったすね?』

右京『彼の経歴を見ると、始末書の常連ですからね~不始末を隠すとしたら彼だと思っただけですよ』

亀山『このあとどうします?』

右京『我々の捜査を続けましょう』
 
 一方、捜査本部では犯人から二度目の電話があり、捜査員は身代金の受け渡し場所に向かっていた。

亀山『芹沢~何があったんだ?』

芹沢『犯人から要求があったんすよ。中川社長の奥さん(麗子)に現金を持たせ、○○サービスエリアに来いと言ってきたんすよ』

右京『たしか奥様には運転免許はないですよね~』

芹沢『はい、運転手は伊丹先輩なんですよ』

右京『・・・妙ですね~高速道路のLシステムは警察の得意分野、わざわざそこを指定する理由がわかりませんね・・・』

亀山『犯人が知らないだけなんじゃないっすか?』

右京『いえ、警察に挑発的な態度を取る犯人が知らないはずはないですよ』

その頃、伊丹の運転する車はインターの直前で一般道にルートを変更していた

本田『どうなってるんだ!?伊丹、応答しろ!』

亀山『右京さんの勘が当たりましたね!やはり高速は目くらましだったんだ・・・』

右京『現在位置は?』

芹沢『わかりません・・・』

   
 伊丹と麗子はある橋の上に呼び出されていた、そして現金の入った鞄を橋の下に落とした。

伊丹『まんまとやられた・・・』

本田『おい!伊丹、なにがあった!』

伊丹『犯人からの指示で無線を切り、ここまで来たんですが・・・身代金を奪われました』

本田『ばかやろ!お前は捜査から外すぞ!』

伊丹『・・・』

右京『こうなると・・・急がないと中川巡査が危険ですね・・・』

亀山『どうします?』

右京『まずは中川さんのお宅に向かいましょう』

伊丹『待ってください!警部』

亀山『おまえ、まだ邪魔する気か!』

伊丹『ちがう!俺にも協力させてください!この犯人だけはどうしても許せねえ!警部殿の力を貸してください・・・』

右京『僕はかまいませんよ、亀山君』

亀山『おれもいいっすよ、ただし、必死に付いてこいよ!伊丹~!』

伊丹『くっ~おめぇに言われると無償に腹が立つ』

   
 特命プラス伊丹は中川宅へ着いた。

右京『・・・』

亀山『どうかしたんすか?』

右京『いえ・・・つまらないことが気になりましてね・・・僕の悪いクセですかね~』

中川龍一社長『警察は何をやっているんだ!金を取られたうえに、圭二は戻ってこないじゃないか!』

右京『今日はみなさんにお話を伺いに参りました』

麗子『いま、うちは圭二を除くと私と夫だけです』

右京『長男の麗次さんはどちらに?』

龍一『あいつはこの家とは関係ない!』

   
 三人は警視庁に戻る

米沢『どうも、警部。御依頼の件わかりましたよ』

右京『わざわざありがとうございます、御礼は後ほど。』

亀山『何調べたんです?』

右京『中川麗次さんの経歴ですよ』

[大学卒業後、画家を目指してイタリアへ留学、現地で日本人と結婚、現在は妻と5歳になる一人娘(早矢ちゃん)と日本で生活している]

亀山『米沢さん、探偵になれますね・・・』

伊丹『はやくそいつの家に行きましょう、警部』

    
 三人は麗次の住むアパートへ向かった

右京『失礼します』

麗次の妻『あの人ならいませんよ。』

右京『そちらは娘さんですか?』

妻『ええ・・・この子は生れつき心臓が弱いんですよ・・・』

亀山『移植手術とかはしないんすか?』

妻『ええ・・・そんな大金はありませんから、でも、主人の友人が用立ててくれることになってるんです』

右京『そうでしたか』

     
  警視庁へ戻る三人

亀山『しかし、そんな友人いるんすかね~』

伊丹『怪しいな・・・手術となると何千万・・・身代金で払う気なんじゃないか?』

右京『その可能性は十分ありますね~』

その時、踏切に飛び込もうとする麗次を辛うじて捜査員が止めた。

次の日記へ続く~
亀山『右京さん、関係者の証言が取れました!』

右京『そうですか。』

亀山『あとは証拠ですね・・・』

右京『それは問題ありませんよ。』

     
特命の二人は事件の関係者全員を事件現場である田中邸に集めた

右京『みなさんお集まりですね、では亀山君。』

亀山『上原さん、あなたはここ1ヶ月児童相談所を頻繁に訪れてますね。特にここ数日は毎日のようにね。』

上原『それは・・・』

右京『あなたは隆司君からある相談を受けてましたね?』

上原『・・・』

亀山『隆司君は父親の一郎さんに虐待されていたんですよね?そしてあなたは隆司君に緊急時には電話するように言っていた。』

右京『あなたの携帯電話の着信履歴によると事件の日の9時半に隆司君から電話がありましたね』

上原『はい・・・あの日は電話があってすぐ隆司君の家に向かったんです・・・』

右京『次に豊田さん、あなたは隆司君が野球の練習に行くときはいつも出迎えていますね?』

豊田『そうだ・・・』

亀山『事件の日もそうしたけども隆司君は外に出てこなかった、そして家の様子を見に行ったんですね。』

豊田『ああ、それが何の関係があるんだ』

右京『おそらく、あなたがた二人は家の中の様子を見て隆司君の犯行だと思い、強盗の仕業に見せ掛けるため部屋を荒らし、凶器を隠したのでしょう』

上原『・・・』

右京『そして隆司君を心配して偶然やって来た由伸さんと相談し、皆で出頭したのでしょう』

亀山『しかし、隆司君に犯行は無理なんですよ、さきほど鑑識から報告があり、凶器の刺さる角度からいって犯人の身長は170以上なんですよ。』

上原『そんな・・・隆司君じゃなかったなんて・・・』

豊田『わしらは隆司のやったことだとばかり思っていた・・・』

由伸『よかった。隆司じゃなかったのか・・・じゃあ、一体誰が息子らを?』

右京『おそらくあなたがたが来る直前犯行があったのでしょう、そしてあなたがたが強盗の仕業に見せるため部屋を荒らしていた時も犯人は家の中に潜んでいたはずです』

右京『ですよね?谷さん、阿部さん!』

谷『な・・・何を言ってるんだ!我々にはアリバイがあるのをあなたも知ってるでしょう!』

右京『あの日は地域の祭があったのをご存知ですか?そしてそのため、○○通り一体には交通規制がひかれていたんですよ』

谷『それがどうしたっていうんだ・・・』

右京『本当にあなたがたが取引先に向かっていたなら警察から連絡が来ても現場には来れないはずなんですよ』

亀山『あんたらがすぐに現場に来れたのは、現場にいたからなんでしょ』

阿部『・・・専務、もうダメですよ・・・』

谷『弱気になるな!証拠はないぞ!』

右京『あなたたちの誤算は凶器を回収できなかったことですよ』

亀山『豊田さん!凶器をまだ持ってますよね?』

豊田『ああ~わしの家にある。いざとなったらわしが単独で自首できるように持っていたんだ』

谷『それが俺のだと言えるのか!』

亀山『警察なめるなよ!凶器と犯人の目星さえつけば、入手経路なんかすぐにわかるんだ!』

右京『動機は今回の新規出店ですか?』

阿部『ええ・・・社長は強行してでも出店にこぎつける気でした。我々の交渉努力を全く無視でね・・・』

谷『あいつ(田中)はいつもワンマンだったんです・・・しかも日頃から俺達をバカにする態度に我慢できなかった・・・』

右京『どんな理由があろうと、正当化できるものではないですよ』(怒)

亀山『隆司君がどんな思いをするか考えなかったのか!』

  そこへ隆司が登場。話が出来るようになっていた。

隆司『刑事さん・・・もしかしたら本当に僕が殺していたかもしれないんだ・・・僕も逮捕してください・・・』

右京『・・・』

        警視庁にて

亀山『しかし・・・虐待って怖いですねー右京さん、10才の子供に実の親を殺そうとまで本気で思わせるなんてねー』

右京『そうですねー』

亀山『原因は何なんすかねー』

右京『さあ・・・僕にはわかりませんが、ストレスの多い社会が誘発しているとおっしゃる学者もいますね』

課長『よ!ヒマか?』

亀山『課長はいいっすねーストレスとは無縁な感じで』

課長『なんだーその言い方はー』

杉下右京は今日も紅茶を片手に、その光景を眺めていた。

おわり



すべてフィクションです。
 特命にて

亀山『おはようございます~右京さん』

右京『おはようございます』

課長『よっ朝からヒマそうだね~』

亀山『最近は事件がないっすからね~』

右京『亀山君、平和なのは喜ばしいじゃないですか』

亀山『まあ、そうなんすけどね~』

    警視庁内で捜査員が慌ただしく動いていた

伊丹『どけどけ~カメ』

亀山『事件なのか?』

伊丹『おめーには関係ねー』

右京『どんな事件ですか?』

三浦『杉並で強盗殺人事件ですよ。』

芹沢『所轄に捜査本部が設置されたんですよ、先輩』

亀山『俺達も行きますか、右京さん?』

伊丹『おめーは特命だろ!来るな!!』

右京『お邪魔はしませんよ』

三浦『警部どの~我々に任せてもらえませんか~』

右京『もちろんお任せしますよ。ですから我々が行っても構わないですよね?』

伊丹、三浦『・・・』

亀山『じゃいきますか』
 
 
    杉並の現場に到着した本庁捜査員

所轄所員『現場はこの家です。被害者はスーパーマックスを経営する田中一郎とその妻恵子。二人とも帰宅直後を襲われたようで死体は玄関にありました』

伊丹『死因は?』

所轄『鋭利な刃物のような物で背中を刺されたことが致命傷となっての失血死と思われます』

右京『第一発見者はどなたですか?』

伊丹『警部殿~』

右京『失礼しました』

亀山『で、発見者は?』

所轄『帰宅した田中一郎の長男、隆司くん(10歳)です』

伊丹『とりあえず話を聞くか』

所轄『それが・・・事件のショックで言葉が話せないんですよ・・・』

亀山『目撃者は?』

伊丹『おめーが聞くな!で、目撃者は?』

所轄『今のとこいません』

右京『では、通報者はどなたですか?』

所轄『それが・・・匿名の電話がはいり警官が向かったところ、死体と隣に立ち尽くしていた子供を発見したんです』

右京『・・・』

亀山『家の中の状況は?』

所轄『かなり荒らされて、財布や貴金属が持ち去られてます』

米沢『どうも、警部。死亡推定時刻は午前10時前後、死因はやはり失血死ですね』

伊丹『発見者も目撃者もいね~凶器もね~これじゃ捜査のしようがねえな!』

亀山『おいおい、おまえらに任せたのにもうお手上げか?情けねえな~』

伊丹『うっせ~』

芹沢『でも、先輩の言う通りっすよ。このままじゃ捜査が進みませんよ』

右京『まずは・・・その息子さんに会いますか』

亀山『しかし話せないんじゃ意味がないんじゃ・・・』

右京『ですから会いに行くだけですよ』

    隆司のいる祖父母の家へ

右京『こんにちは隆司君』

隆司『・・・』

亀山『やっぱり無理っすよ』

右京『隆司君、君は何故あの時間に家にいたんですか?』

隆司『・・・』
   
    二人は何も聞けずに帰る

亀山『日曜なら家にいてもおかしくないんじゃ?』

右京『彼の部屋には野球グッズがあふれ、部屋の写真を見るかぎり本人も少年野球にはいっています。さらにはカレンダーには今日の九時から練習の予定が書かれていました。』

亀山『・・・さすがですね~ってことは、あの子は嘘をツイてるか、もしくは何らかの理由で行かなかった・・・』

右京『または、行けなかったか・・・いずれにしても事件前に何かがあったことは間違いないでしょうね~』

    その日の夜

芹沢『大変です!犯人が出頭してきました!』

内村刑事部長『そりゃよかったじゃないか』

芹沢『それが・・・別々に三人も来たんです・・・』

内村『なんだと~?』

    特命にて

右京『一人目は隆司君の担任の上原美砂さん(27)、二人目が田中さんの隣人の豊田博さん(60)、三人目が隆司君の祖父田中由伸さん(70)』

亀山『どうなってんですかね~?』

右京『とりあえず三人の話を聞いてみますか』

上原『私がやりました・・・』

伊丹『動機は?』

上原『・・・とにかく私を逮捕してください!』

豊田『わしが田中さんを殺した・・・土地のことで揉めていて、カッとなってやった・・・』

三浦『家を荒らしたのは何でですか?』

豊田『別に意味なんてない・・・』

祖父『私が息子夫婦を殺したんです・・・』

芹沢『どうしてです?』

祖父『日頃の息子夫婦の態度に我慢の限界でした・・・』

    特命の二人は取調室の外から見ていた。

右京『どなたも本当のことを言っているとは思えませんね~』

亀山『しかし・・・このままでは迷宮入りですね・・・』

右京『三人が嘘をついているとして・・・引っ掛かるのは三人の関係とタイミングです』

亀山『というと?』

右京『三人には直接繋がりはありません。にも関わらず事件の日の夜に同じタイミングで出頭する。ここには何か大きな秘密があるように思います』

亀山『三人を繋ぐのは隆司君だけですね・・・』

右京『君にしてはよく気付きましたね』

亀山『褒められた気がしないっす』

右京『とにかく明日もう一度会いに行きましょう』

祖母『刑事さん、もう隆司に辛い思いをさせないでください!』

右京『申し訳ありません。事件となるとつい気になってしまって・・・僕の悪いクセです、ではあなたにお伺いします。由伸さんが犯人だと思いますか?』

祖母『あの人がそう言ってるんだから、そうなんでしょう』

右京『僕には誰かを庇っているようにしか思えません。もちろん他の二人も。となると・・・庇う相手はただ一人、隆司君ということになるんですよ』

祖母『隆司は関係ありません!もう帰ってください!』

    仕方なく帰る二人

亀山『どうやら間違いないみたいっすね・・・』

右京『いえ、それが真実かどうかはわかりません。』

課長『あの田中って奴は結構敵がいたみたいだな~スーパーの新規出店で地元商店街とかなり揉めていたんだと。で、それをフォローするのが専務の谷と部長の阿部ってやつの役割だったらしいぞ』

亀山『詳しいっすね~』

課長『週刊誌は我々より詳しいからな、これ見れば事件を知れるぞ。』

右京『あまりいい趣味とは言えませんがね・・・しかし貴重な情報をありがとうございます。亀山君、行きましょう!』

亀山『はい』

  二人はスーパーマックスの本社に向かった

右京『先ほどお電話しました警視庁特命係の杉下です』

亀山『同じく亀山です』

谷『時間がないので手短にしてください』

右京『わかりました、では事件の日はあなたはどちらにいらっしゃいましたか?』

谷『刑事さん!私を疑ってんですか?』

右京『いえ、単なる確認ですよ』

谷『あの日は・・・11時に取引先と会う予定だったので、部長の阿部と取引先に向かう途中でしたね』

右京『そうですか、お手間をおかけしました。』

右京『あっそれと、あと一点だけ。そのときは車でしたか』

谷『ええ・・・』

右京『そうですか、では帰りましょう。亀山君。』

 警視庁へ戻る二人

右京『亀山君、君に調べてもらいたいことがあります』

亀山『事件が見えて来たんすね?』

右京『ええ、9割型。残りの1割を君に埋めてもらいますよ』

亀山『はい!』

次へ続く~
引き続き参考人の女を取り調べる一課。特命の二人はまた単独で事件を追った。

亀山『やはり右京さんの睨んだ通り、この名簿にそれらしき人物がいましたよ!』

右京『そうですか。ではさっそく参りましょう』

亀山『はい』

事件の核心に迫るべく、ふたりは再び駅事務所を訪れた。

亀山『ここに勤めている山田さんはいるかな?』

駅員『山田ならきょうは休みですよ』

亀山『山田さんは普段どんな人です?』

駅員『うーん・・・あまり付き合いがないので分かりませんねーでも、あいつ以前から上司とのトラブルが尽きないって噂ですよ』

右京『そうですか。シフト表によると山田さんは事件当日も休みですね~』

亀山『どうやら決まりみたいっすね』

右京『彼の次の犯行は・・・おそらく品川でしょう』

亀山『では行きますか』

その日の夜、終電後の品川駅内でエスカレータに細工する山田がいた。

伊丹『そこまでだ!山田!』

三浦『器物損壊の現行犯、及び傷害容疑で逮捕する。』

山田『なぜだ?何故俺とわかった?』

右京『それは・・・』




一課と共に容疑者の駅員・山田を逮捕した特命

右京『あなたが策を練りすぎたからですよ』

山田『俺につながる証拠なんてないはずだ』

亀山『いや、おまえが髪の長い女に化け、わざとホームレスに見つかるようにしたのはわかってるんだ』

山田『・・・』

右京『あなたはおそらく女性の窃盗事件を目撃したために、あんな偽装工作を思い付いたんですね。そしてホームレスの男性が毎晩駅のエスカレーター付近で寝るのを知っていた。どちらも駅の事情に詳しくなければできませんよ』

亀山『そして、あんたは窃盗犯についても詳しかった。だからあの女が夜ロッカーの鍵を開けに来るのがわかったんだろ?』

右京『つまり、夜中の駅の状況を熟知しているもの(駅員)、かつ窃盗の前科または補導歴があるもの。ここから導かれる答えはあなたしかいなかったんですよ』

亀山『あんた、10年前に一度窃盗で逮捕されてるな』

山田『くっ・・・俺が悪いんじゃない・・・会社が悪いんだ!毎日のストレスでつい軽い気持ちでやったんだ、そしたらあんな大事になってしまったんだ。』

亀山『じゃ何ですぐに出頭しないで同じことやってんだ!』

山田『ニュース見ていたら主役気分になってきて、またやりたくなったんだ。俺が主役になれるなんて今までなかった・・・』

伊丹『この馬鹿が!さっさと連れていけ!』

次の日

亀山『しかし第二の犯行がよく品川って解りましたね~右京さん』

右京『彼の勤務先は事件の駅の前は品川だったんですよ。会社への怨み、職場への怨みという動機が推理できれば誰でもわかりますよ』

亀山『・・・俺にはわからないっす。』

課長『ヒマか?』

亀山『暇じゃないっす!!!』

課長『何を怒ってるんだ?』

杉下右京は紅茶を飲みながら少し笑って見ていた。

おわり。

おそらく原作を知らないと全く理解できないでしょう・・・

実際に起こった川崎駅のエスカレーター事故(エスカレーターに穴が開いていて女性の足の指が挟まれて指を切断してしまう事故)が、もしもテレビ朝日の刑事ドラマ『相棒』だったら。


キャスト・・・特命係杉下右京(警部)、同じく亀山薫
    ・・・捜査一課伊丹・三浦・芹沢
    ・・・捜査二課角田課長、鑑識米沢
    …小野田官房長
    ・・・たまき・美和子        

右京『仮に故意だとして、狙いは無差別でしょうかね~しかし駅内という混雑状況ではたして可能なのかという疑問が残ります。 では、事故だとすると原因として考えられるのがキャスター付きのトランクですかね~強引にぶつけたときに穴が開いたとしても不思議ではないですね~』

亀山『で、どっちなんです?』

右京『とりあえず現場に向かいましょう』

伊丹『特命の亀山~何でおまえが来るんだ!』

亀山『うっせー!しかし一課が動くってことは・・・やはり事件なのか?』

伊丹『それを調べてんだよ!馬鹿が!』

三浦『どうやら事故でしょうね~警部どの』

右京『鑑識の報告を待ちましょう』

米沢『どうも、警部。鋭利な刃物で切ったような痕跡がありますね~しかし事故を否定するものではありません』

右京『聞き込みをしてみましょう』

亀山『はい』


駅内にて聞き込み。

亀山『すいませ~ん。昨日の夜の11時から終電までの間で不審な人はいなかったですかね?』

駅員『われわれは見てませんね~夜10時の見回りでは異常はありませんでしたよ』

右京『亀山君、彼等には一課がすでにあたっていますから、我々は別をあたりましょう』

亀山『心辺りがあるんですか?右京さん』

右京『ええ、少し』


夜の駅内に一人のホームレスがやって来て寝る準備を始めた。

右京『おやすみのところすいませんが、昨夜は変わったことありませんでしたか?どんなに小さなことでも結構ですから。』

ホームレスのおじさん『あ~?そだな~特には無いかな・・・いや待てよ。そういやホームから大慌てで走ってくる若い女なら見たな~』

亀山『そりゃ終電に間に合わせるためでしょ?』

おじさん『いや~とっくに他の路線は終電だったんだ』

右京『姿は見ましたか?』

おじさん『いや~顔はわからんな~ただ髪が長い女だったな』

亀山『かなり怪しいっすね~その女』

右京『・・・』


次の日、警視庁。

伊丹『おい、カメ!なんで女の目撃証言を言わね~んだ、ばかやろー』

亀山『天下の一課なら自分で見つけろよ』

芹沢『我々には無理っす』

伊丹『ばか、そんなことはね~!』

右京『それで、女性の見当はついたんですか?』

三浦『それが・・・いっこうに見つからないんですよ・・・』

伊丹『どうせガセネタだろ!』

亀山『おまえらがだらしねえから見つからねえんだろ~』

特命の二人がよく行くたまきさんの店にて

右京『はたして・・・女ですかね~』

亀山『え?どういうことです?』

美和子『鈍いわね~本当に走り去ったのが女かってことよ』

亀山『そんなことはわかってるんだよ!なぜかってことだよ。』

右京『あの人は「髪の長い」女と言いましたが・・・顔は見ていない。ならばそこから疑うのはどうかと。』

亀山『じゃ犯人は捜査の撹乱のためにやったと・・・』

右京『さあ、そこまではわかりません』


次の日、警視庁。

二課課長『よ!ヒマか?』

亀山『暇じゃないっすよ~捜査中。』

課長『あれ?エスカレーターの事件なら、昨日職質で女が逮捕されたぞ』

右京『そうですか・・・では行きましょう。亀山君』


取調室にて

伊丹『早くはけ!』

参考人の女『私は何もしてないわよ!』

右京らが部屋に入る。

三浦『警部殿~勘弁してください』

右京『ほんの1分だけ』

右京『あれほど騒がれている事件ですからね~もし逮捕起訴されれば有罪は確定ですよ。1年や2年では出れないでしょうね~』

女『・・・わかったわよ。話すわ。でも事件には私は関係ないわよ!』

亀山『じゃあ何をやったんだ!』

女『私は駅のロッカーからバックを盗んだだけよ・・・ホームには行ってないわ!』

伊丹『嘘をつくな!』

女『ホントよ。盗んだ鞄にロッカーの鍵があったから開けに行っただけよ』

右京『そうですか。1分たったので帰りましょう。亀山君』

亀山『?はい・・・』


再びホームレスの男に会う

右京『走り去る人は大柄でしたか?』

男『たしかその刑事さん(亀山)くらいだったかな~そういや、
女にしてはでかかったな~』

右京『だいたい事件は見えてきましたよ』

続く~