一人の警察官が何者かに連れ去られたという通報が入った。
大河内『この事件はなんとしても早期解決してもらいたいんです』
内村刑事部長『うちに任せろ。一課が総力を上げれば誘拐事件なんて赤子の手を捻るようなものだからな』
大河内『いえ、はっきり言って一課だけでは不十分です。あの二人にも捜査に参加してもらいますよ』
内村『ばかな!一課よりもあの二人が優秀だと言うのか!』
大河内『今までの彼等の功績を考えれば当然です』
亀山『俺らが特捜本部に呼ばれるなんてなんか変ですよね~右京さん』
右京『そうですね~しかし亀山君、不謹慎ですよ。事件を前にそんな嬉しそうな態度は問題ですよ』
亀山『あれ、バレました?すんません!』
内村『え~今回の事件の指揮を取る本田管理官だ』
伊丹『一警察官の誘拐事件でなんでこんな大袈裟なんだ?』
芹沢『誘拐された警官は大企業の次男で、社長である父親からの圧力が相当あったみたいっすよ』
伊丹『金持ちはどこまでも優遇されるのか・・・』
本田『そこ、うるさいぞ!やる気がない奴は帰っていいぞ!それから、特命の杉下と亀山!くれぐれも勝手な行動はするな!で、事件の詳細は?』
捜査員『はい、誘拐されたのは中川グループの次男でもある浅草署地域課の中川圭二巡査(28)。誘拐された現場は不明ですが、自宅付近に中川巡査の携帯電話が落ちていたことから自宅近辺で拉致された可能性が高いです。』
本田『目撃者と犯人からの要求は!』
捜査員『いまのとこ目撃者も、要求も共にありません』
本田『よし、逆探だ』
犯人『中川巡査は預かった。無事に再会したかったら現金で一億円用意しろ!受け渡し方法は追って連絡する。それから、おそらくこれを聴いている警察諸君。無能な君達に私を捕まえるのは不可能だ。』
ガチャ(電話が切れた)
本田『くそっ!警察への挑戦のつもりか!』
捜査員『逆探知は携帯電話のため無理でした・・・』
本田『・・・』
捜査員『しかし・・・相手の携帯番号を調べたところ10歳の子供のものです・・・』
本田『盗品か?』
捜査員『いえ、届け出はありません』
本田『・・・よしっ次の連絡があるまで待機!それと杉下!亀山!』
二人『はい?』
本田『お前らは一応持ち主の子供の周辺を調べろ!』
右京『わかりました、行きましょうか、亀山くん』
亀山『・・・はい』
亀山『結局、俺らは雑用なんすね・・・』
右京『いえ、そうとも言えませんよ』
亀山『あの~大介君(持ち主)はいませんか?』
母親『大介が何かやったんですか?』
右京『いえ、そうではありませんよ』
亀山『実は大介君の携帯電話がある事件に使用されまして・・・ね』
母親『大介~ケータイなくしたの?』
大介『・・・ごめんなさい、怒られると思って無くしたの黙ってたの・・・』
母親『いつ!』
亀山『まあまあ、落ちついて!おかあさん!』
右京『大介君、どこで無くしたかわかりますか?』
大介『多分・・・タクシーの中だと思う』
亀山『先週の日曜日に携帯電話の忘れ物はなかったですか?』
運転手『それでしたら、たぶん私が交番に届けたやつだと思いますね』
亀山『?どこの交番です?』
運転手『この近くの浅草公園前派出所です』
亀山『右京さん、なんか変ですよね・・・そこは中川巡査の勤務先だし・・・しかも遺失物としては処理されていないはずなのに・・・』
右京『亀山君、公園前派出所に行ってみましょう』
亀山『そうっすね』
右京『はじめまして、特命係の杉下です』
亀山『同じく亀山です』
部長『ご苦労様です。私が班長の大原です。彼らが両津巡査長と秋本巡査です。携帯電話の件ですが・・・我々は遺失物を預かってませんね~勿論書類もありません』
亀山『そんなはずないでしょ~』
右京『確認すればすぐに解りますよ・・・両津さん!』
両津『うっ・・・申し訳ありません!実は手続きの途中で紛失したんです・・・』
大原『バカモノ!何故すぐ言わないんだ!』
右京『警察官としてとても恥ずかしいことですよ』
亀山『紛失となると・・・捜査は振り出しっすね~しかしよくわかったすね?』
右京『彼の経歴を見ると、始末書の常連ですからね~不始末を隠すとしたら彼だと思っただけですよ』
亀山『このあとどうします?』
右京『我々の捜査を続けましょう』
一方、捜査本部では犯人から二度目の電話があり、捜査員は身代金の受け渡し場所に向かっていた。
亀山『芹沢~何があったんだ?』
芹沢『犯人から要求があったんすよ。中川社長の奥さん(麗子)に現金を持たせ、○○サービスエリアに来いと言ってきたんすよ』
右京『たしか奥様には運転免許はないですよね~』
芹沢『はい、運転手は伊丹先輩なんですよ』
右京『・・・妙ですね~高速道路のLシステムは警察の得意分野、わざわざそこを指定する理由がわかりませんね・・・』
亀山『犯人が知らないだけなんじゃないっすか?』
右京『いえ、警察に挑発的な態度を取る犯人が知らないはずはないですよ』
その頃、伊丹の運転する車はインターの直前で一般道にルートを変更していた
本田『どうなってるんだ!?伊丹、応答しろ!』
亀山『右京さんの勘が当たりましたね!やはり高速は目くらましだったんだ・・・』
右京『現在位置は?』
芹沢『わかりません・・・』
伊丹『まんまとやられた・・・』
本田『おい!伊丹、なにがあった!』
伊丹『犯人からの指示で無線を切り、ここまで来たんですが・・・身代金を奪われました』
本田『ばかやろ!お前は捜査から外すぞ!』
伊丹『・・・』
右京『こうなると・・・急がないと中川巡査が危険ですね・・・』
亀山『どうします?』
右京『まずは中川さんのお宅に向かいましょう』
伊丹『待ってください!警部』
亀山『おまえ、まだ邪魔する気か!』
伊丹『ちがう!俺にも協力させてください!この犯人だけはどうしても許せねえ!警部殿の力を貸してください・・・』
右京『僕はかまいませんよ、亀山君』
亀山『おれもいいっすよ、ただし、必死に付いてこいよ!伊丹~!』
伊丹『くっ~おめぇに言われると無償に腹が立つ』
右京『・・・』
亀山『どうかしたんすか?』
右京『いえ・・・つまらないことが気になりましてね・・・僕の悪いクセですかね~』
中川龍一社長『警察は何をやっているんだ!金を取られたうえに、圭二は戻ってこないじゃないか!』
右京『今日はみなさんにお話を伺いに参りました』
麗子『いま、うちは圭二を除くと私と夫だけです』
右京『長男の麗次さんはどちらに?』
龍一『あいつはこの家とは関係ない!』
米沢『どうも、警部。御依頼の件わかりましたよ』
右京『わざわざありがとうございます、御礼は後ほど。』
亀山『何調べたんです?』
右京『中川麗次さんの経歴ですよ』
伊丹『はやくそいつの家に行きましょう、警部』
右京『失礼します』
麗次の妻『あの人ならいませんよ。』
右京『そちらは娘さんですか?』
妻『ええ・・・この子は生れつき心臓が弱いんですよ・・・』
亀山『移植手術とかはしないんすか?』
妻『ええ・・・そんな大金はありませんから、でも、主人の友人が用立ててくれることになってるんです』
右京『そうでしたか』
亀山『しかし、そんな友人いるんすかね~』
伊丹『怪しいな・・・手術となると何千万・・・身代金で払う気なんじゃないか?』
右京『その可能性は十分ありますね~』
その時、踏切に飛び込もうとする麗次を辛うじて捜査員が止めた。
次の日記へ続く~