亀山『大竹さんの勤め先は大手の広告代理店だったようです。しかし痴漢事件で解雇され、現在は三村不動産で働いています。』
右京『さっそく、参りましょう』
二人は不動産屋へ向かった
亀山『大竹さんはどんな人でした?』
三村社長『彼はとてもまじめでしたよ。仕事もきっちりこなしますよ』
右京『出会い系サイトなどを利用していたというような話は聞いていますか?』
三村『あいつがそんなことやるはずないです』
亀山『しかし、一年前には痴漢で逮捕されたのはご存知なんですよねー』
三村『あれだって冤罪に決まってる』
右京『あなたは随分と大竹さんに親身ですよねー』
三村『あいつとは中学、高校が同じだったんです。一年前に偶然再会して事情を聞いたのであいつを雇ったんですよ』
二人は移動した
亀山『話を聞けば聞くほどこの事件には裏がありそうな気がしますね』
右京『ええ・・・』
椎葉宅へ到着した二人
亀山『一年前の痴漢事件について聞きたいことがあるんですけどー』
椎葉『は・はい・・・』
右京『あなたは本当に痴漢被害に合ったのですか?』
椎葉『もちろんそうです。しつこく触ってきたので大声を上げたんです』
右京『しかし・・・当時の供述調書によるとあなたは1両目の車両で被害に合っていますね。ところがあなたの中学のあった駅には1両目ではなく最後尾が最も利用しやすいですよねー』
亀山『事実、君の友達の話によると当時から最後尾の車両を利用してるよねー』
椎葉『あの日はたまたま・・・』
右京『そうですかねーそんな偶然はないと思いますよ』
椎葉『・・・もう帰ってください!』
翌日、警視庁
亀山『痴漢事件が冤罪だったとすると、今回の事件の前提も大きく崩れてきますね』
右京『ええー事件の方向性が見えませんねー仮に出会い系サイトが絡んでいないとして、ひとつ疑問が残ります。なぜあの時間の公園に車で来ていたのかですねー』
亀山『誰かに呼び出されたってことですかね?しかし正当防衛でなく殺人事件となると、少女が大竹を殺す動機がわかりませんよ・・・』
角田課長『まだ捜査中か?たった今、椎葉愛美って少女がきたみたいだぞ』
亀山『え?』
課長『一年前の痴漢事件は狂言だったんだとよ。全く人騒がせな話だねー』
右京『やはりそうでしたか。』
亀山『ってことはどういうことっすかねー』
右京『こうなると大竹さんと安西さんには過去に接点があったはずです。調べましょう。』
二人は大竹の友人の松本という男に会いに行った。
右京『お忙しいところ申し訳ありません。警視庁特命係の杉下です』
亀山『同じく亀山です』
松本『今日はどういったご用件ですか?』
右京『かつて大竹さんがトラブルに巻き込まれたという話を伺っていませんか?』
亀山『どんな小さなことでも結構ですから』
松本『あいつは人と争うことはないですからねーあれ・・・でも・・・』
右京『はい?』
松本『いえ、大した事じゃないんですが、何ヶ月か前に電車内で携帯電話で話す子供に注意したとか言ってましたね。しかも同じ子に二度も注意したといってました』
右京『それはどの電車かわかりますか?』
松本『たぶん、小田線だと思いますよ。』
世田谷南署へ向かう二人
亀山『小田線ならば、その子が安西歩である可能性がありますね・・・』
右京『そうですねー直接本人に聞いて見ましょう』
伊丹『こら、特命の亀!なんのようだ!』
三浦『警部殿ー我々も表向きは捜査できないんですよ』
右京『1分だけですよ』
亀山『君はうそを言ってるよね?』
安西『・・・』
右京『真実は必ず白日の下に晒されますよ。これから検察へ行き、裁判になるまでは結構時間があります。今話さなければ必ず後悔すると思いますよ』
安西『・・・ごめんなさい。殺すつもりなんてなかったんです。ちょっと脅かそうと思っていたらこんなことになってしまって・・・』
亀山『出会い系で知り合ったというのも、暴行されそうになったというのも嘘なんだね?』
安西『はい・・・ナイフを出してから争いになり軽く刺しただけだったんです』
右京『理由はやはり大竹さんへの逆恨みですか?』
安西『はい・・・』
警視庁へ戻る二人
内村『とんだ失態だ!15歳の少女の意のままに動かされるとは情けない。マスコミになんて発表する気だ!』
中園『申し訳ありません。ただちに本庁捜査員が捜査の指揮にあたります』
たまきさんの店にて
右京『しかし・・・やはり疑問は残りますねー致命傷の一突きは明らかに他の刺し傷とは異なります。』
亀山『ってことは、刺されて動けなくなっていた大竹さんに真犯人が止めを刺したってことですかね?』
右京『君にしては上出来ですねー』
亀山『これは喜んでいいのかな・・・』
美和子『一応褒められてるみたいよ』
たまきさん『でも怖いわねーただ注意しただけでそこまで恨まれるなんて・・・』
亀山『そうっすねーどこで事件に巻き込まれるかわからない世の中っすからね』
その時、右京に電話が入る
右京『はい、わざわざありがとうございます』
右京『角田課長からです。現場付近で不審な男性の目撃情報があったようですよ』
亀山『じゃ、そいつが真犯人ですかねー』
右京『とりあえず行ってみましょう』
目撃者の女性宅へ到着した二人
女性『さっき別の刑事さんにもお話したんですけど・・・』
亀山『もう一度お願いします』
女性『逃げた男は身長はあなた(亀山)くらいで、ちょっと太っていたくらいしか覚えていません・・・』
右京『そうですか』
亀山『これでは絞り込めませんね・・・』
右京『しかし、真犯人がいる可能性はかなり出てきましたよ』
世田谷南署へ移動する二人
右京『安西さん、一点だけ気になることがあります。あなたはどうやって大竹さんを呼び出したのですか?』
安西『偶然、街であって後をつけてきたら、あの公園で誰かを待っているようだったんです。』
右京『ということは、大竹さんは事件当日徒歩だったということですね?』
安西『はい』
亀山『どういうことっすかねー』
右京『おそらく現状にあった車を運転していた人物が近くにいたはずです。』
亀山『そうなると、真犯人は限られてきますね』
しばらくして
亀山『やはり右京さんの推理どおりでしたよ!三村不動産は多額の負債を抱えている上に、不正経理の疑いもあるそうです』
右京『やはりそうでしたか。すぐ向かいましょう』
三村不動産にて
三村『今日は何のようですか?急いでいるので手短にお願いしますよ』
右京『では、単刀直入に伺います。あなたは大竹さん殺害の時刻どちらにいらっしゃいました?』
三村『私を疑っているんですか?あいつはあの少女に殺されたんでしょー』
亀山『ところが、そうでもないみたいなんすよ。ちょうどあなたくらいの男が現場から走り去るのを見た人がいるんですよ』
三村『それが私だというんですか?』
右京『あなたの会社はここ最近、多額の負債を抱えている上に不正経理の問題を抱えていたんですよねー、しかも大竹さんはあなたもおっしゃっていたように大変まじめな方。そんな彼が不正を見つけて黙っているわけがないですよねー』
三村『それは事件とは関係ない・・・』
右京『いえ大有りですよ。だからこそ現場で待ち合わせ殺害しようと計画していた。しかし、少女が現れたために一端は計画を断念したんですよ』
亀山『しかし、少女が現場から離れた一瞬の間に現場に行って、瀕死の大竹さんに止めを刺した。』
三村『・・・証拠はあるのか!』
右京『証拠は調べれば必ず出てきますよ。あなたは血だらけの大竹さんのいる車内に入った。となれば必ずどこかに血痕が付着したはずです』
亀山『家宅捜索であんたの家を調べればその日着ていた服から血液反応が出るはずなんだよ』
右京『洗ったくらいでは痕跡は消えませんからね~それより椎葉さんから一年前の事を聞きましたよ。あなたが大竹さんを痴漢に仕立て上げた張本人だということを』
亀山『あんた相当、大竹さんにコンプレックスがあったようだな』
三村『・・・あいつが悪いんだ。優秀でいっつも優しいあいつを見ているとイライラしたんだ。オレを見下しているような気がしてならなかった・・・』
三村につかみかかる亀山『そんな理由で・・・人の命を何だと思ってるんだ!このやろー!』
止める右京『亀山君!』
三村『あいつが・・・悪いんだ・・・』
特命係にて
亀山『人がよすぎるから殺されるなんて・・・怖い世の中ですね・・・右京さん』
右京『そうですねー』
亀山『しかし何故、三村は大竹さんを雇ったんすかね』
右京『おそらく解雇されるとは予想外だったのでしょうね。一時は罪の意識から彼を雇用したのでしょう』
亀山『しかし・・・それが、今回の事件に発展してしまったってことっすか・・・皮肉なもんすねー』
右京『そうっすねー』
杉下右京はなんともやりきれない様子で紅茶を入れていた
おわり