その喫茶店に向かった二人

亀山『一見普通の喫茶店ですね』

右京『もっとも組事務所風では誰も入りませんよ』

亀山『すいませーん、3日前の夜10時頃に中学生がここにこなかったですかね?』

店員(霧山)『このお店は9時までなんで分かりませんね』

右京『閉店後に近くで見たということはないですか?』

霧山『繁華街から離れているので女の子がその時間にここに来ることは滅多にないですよ』

右京『そうですか』

警視庁に戻る二人

亀山『やはり関係ありますかね?』

右京『彼は中学生を女の子と言い換えていました。少なくともあの場所でしずかさんは霧山さんと会っていると思いますよ』

亀山『どこ行ったんすかねー』

警視庁にて

角田『おー戻ってきたか。総武組はここ最近はおとなしくしているぞ。大きな事件もないし。』

亀山『ちゃんと調べたんすかー?喫茶店の奥なんか結構怪しいっすよー』

角田『しかし証拠がないんじゃ迂闊に踏みこめんだろー』

右京『・・・』

亀山『これからどうします?』

右京『店の中で何が行われているのか調べましょう』

角田『どうやって?』

右京『簡単ですよ』

しばらくして

亀山『用意ができました!』

右京『では向かいましょう』

深夜、喫茶店に再び訪れた捜査二課と特命

右京『準備はいいですか?』

角田『おお』

次の瞬間、パトカーが一斉にサイレンを鳴らした。

亀山『さあ出て来いよー』

捜査員『裏口から数名出てきます!我々も踏み込みます!』

角田『よし!!』

右京『我々も行きましょう!亀山君!』

亀山『はい!』

捜査員『全員おとなしくしろ!周りは完全に塞いだからな!ここにいるもの全員賭博容疑で逮捕する!』

組員の熊本『なんで、ばれたんだ・・・誰が裏切ったんだ』

右京『いえ、誰も裏切ってはいませんよ。一昨日この店を訪れたときにあなたの持っているメモが見えたんですよ。そのメモには今日この時間が書いてありましたからねー 一か八かに賭けたんですよ』

熊本『くそ・・・そんな単純なことか・・・』

亀山『おい!少女はどうした!!』

熊本『何の話だ?オレは何も知らん』

亀山『とぼけるな!この喫茶店で拉致したんだろ??』

熊本『ほんとに知らないんだ!確かにその時間もここでやっていたが・・・そんな少女は見ていない!』

亀山『霧山ってやつがあの子と会っているはずだ!』

熊本『あいつはただのバイトだ。奥でやってたことも知らんはずだ!』

右京『・・・僕としたたこどが!!とんでもない勘違いをしていたようです』

亀山『え?どういうことです?』

右京『霧山さんの自宅は?』

熊本『この名簿にある』

右京『急ぎましょう!亀山君!』

亀山『はい!』

霧山の自宅マンションへ急行する二人

右京『もっと早く気づくべきでした・・・彼だけがしずかさんに会っていたことを・・・急いでください。亀山君』

亀山『はい!』サイレンを鳴らす

霧山の自宅へ入る二人

亀山『誰もいません・・・一歩遅かったか』

右京『いえ、電子レンジがまだ暖かい。まだ近くにいるはずです!』

亀山『ってことは屋上か!』

屋上へ出た二人

亀山『霧山!』

しずかにナイフを突きつける霧山

霧山『来るな!』

右京『なぜこんなことをするんですか?』

霧山『・・・俺はただ話がしたかっただけなんだ・・・なのに暴れるから連れてきただけだ』

亀山『ふざけるな!彼女がどれだけ怖い思いをしてると思ってるんだ!』

霧山『うるさい!』

そのとき、隙を見て亀山が霧山を確保

霧山『俺は悪くないんだ!』

右京『いい加減にしなさい!動機はどうであろうとあなたのしたことは重罪ですよ』

霧山『・・・』

翌日、警視庁

亀山『おはようございます。しずかちゃんの様子はどうっすか?』

右京『おはようございます。保護されたときは衰弱していたようですが、今朝には元気を取り戻したようですよ』

三浦『助かりましたよー警部殿』

右京『大事にならなくて何よりでしたねー』

角田『おかげで総武組も解体できたし、言うこと無しだな!』

亀山『しかし・・・今は霧山みたいなやつが多いんすかねー?』

右京『そうでないことを祈りましょう・・・』

杉下右京は紅茶を飲みながら外を眺めていた

おわり
9月13日 PM10時 渋谷駅前

一人の中学生少女(しずか)が電話をした

しずか『今から帰る。』

母親『気をつけて帰ってくるのよ』

3日後、いまだにしずかは家に帰らず、家族が捜索願をだした。

角田課長『また事件かねー』

亀山『しかし・・・話によると今までも何度も家出を繰り返していたみたいっすよ』

角田『渋谷だから事件に巻き込まれても不思議じゃないだろー』

亀山『まあ俺らの出番じゃないっすよ』

そのとき、特命係に一課の三浦が来た。

三浦『警部はどこへ行ったんだ?』

亀山『今日は遅れて来るみたいっすよ』

三浦『こんなときに・・・』

右京『僕に何か御用ですか?』

亀山『噂をすればっすね。おはようございます』

右京『おはようございます』

三浦『実は警部殿に相談があるんですよ・・・昨日ニュースになった中学生の失踪事件はご存知ですよね?』

右京『ええー』

三浦『その失踪した中学生の父親が俺の先輩なんですよ』

右京『つまり、その失踪事件の捜査を我々にやってもらいたいということですか?』

亀山『捜一でやればいいじゃないっすかー』

三浦『このとこ事件続きでそれどころじゃないんだよ・・・』

右京『僕は構いませんよ』

亀山『じゃあまずは渋谷で聞き込みっすね』

右京『行きましょう、亀山君』

三浦『頼んます』

渋谷警察署にて

亀山『最後に電話が来たのが3日前の10時ごろ、今から帰るといいながらいまだに帰ってこないんですよね?』

渋谷署員『ええ・・・駅の防犯カメラに写っていたのを確認しました。しかしその後の足取りが見えてこないんですよ』

右京『しずかさんは携帯電話は持っていないのですか?』

署員『ええ。所持金も少ないと思われます。捜索願が遅かったのは、家出癖があったからです』

右京『とりあえず現場の公衆電話に行ってみましょう』

亀山『はい』

渋谷駅前にて

亀山『ここですね。防犯カメラによると電話をした後に北に向かってましたね』

右京『実際に彼女のたどった道を歩いてみますか』

亀や『え?どうやってです?』

右京『渋谷ならば可能ですよ』

公衆電話に一番近いコンビニへ向かった二人

右京『警視庁特命係の杉下です。防犯カメラの映像を見せてもらえませんか?』

店員『もしかして、例の失踪事件の捜査ですか?近くだから気になっていたんですよー』

亀山『まあ、そんなとこっすよ』

映像を見る二人

右京『ここに写ってますね。○○通りを西に向かってます。』

亀山『なるほど、東京は色んなとこから見られてるってことっすね』

次のコンビニにて

右京『ありました。さらに西に向かってますね』

3件目、4件目でも姿を確認。

5件目にて

右京『ここには写っていませんねーさっきのコンビニとの距離は約300メートル。この間に何かがあったのかもしれません』

亀山『では周辺を聞き込みしますか?』

右京『その前に確認したいことがあります』

角田課長に電話する右京

右京『やはりそうでしたか』

亀山『なんです?』

右京『ここから100メートル戻ったところにある喫茶店を見ましたか?』

亀山『あー見ましたよ。なんか変な連中がいっぱいいたとこ』

右京『そこであの喫茶店のオーナーを角田課長に調べてもらったんですよ。あの喫茶店は総武組の組員名義だったんですよ』

亀山『いつの間に調べてたんすか・・・しかし怪しいっすね!』

続く

亀山『大竹さんの勤め先は大手の広告代理店だったようです。しかし痴漢事件で解雇され、現在は三村不動産で働いています。』

右京『さっそく、参りましょう』

 

 二人は不動産屋へ向かった

亀山『大竹さんはどんな人でした?』

三村社長『彼はとてもまじめでしたよ。仕事もきっちりこなしますよ』

右京『出会い系サイトなどを利用していたというような話は聞いていますか?』

三村『あいつがそんなことやるはずないです』

亀山『しかし、一年前には痴漢で逮捕されたのはご存知なんですよねー』

三村『あれだって冤罪に決まってる』

右京『あなたは随分と大竹さんに親身ですよねー』

三村『あいつとは中学、高校が同じだったんです。一年前に偶然再会して事情を聞いたのであいつを雇ったんですよ』


 二人は移動した

亀山『話を聞けば聞くほどこの事件には裏がありそうな気がしますね』

右京『ええ・・・』

椎葉宅へ到着した二人

亀山『一年前の痴漢事件について聞きたいことがあるんですけどー』

椎葉『は・はい・・・』

右京『あなたは本当に痴漢被害に合ったのですか?』

椎葉『もちろんそうです。しつこく触ってきたので大声を上げたんです』

右京『しかし・・・当時の供述調書によるとあなたは1両目の車両で被害に合っていますね。ところがあなたの中学のあった駅には1両目ではなく最後尾が最も利用しやすいですよねー』

亀山『事実、君の友達の話によると当時から最後尾の車両を利用してるよねー』

椎葉『あの日はたまたま・・・』

右京『そうですかねーそんな偶然はないと思いますよ』

椎葉『・・・もう帰ってください!』

 

 翌日、警視庁

亀山『痴漢事件が冤罪だったとすると、今回の事件の前提も大きく崩れてきますね』

右京『ええー事件の方向性が見えませんねー仮に出会い系サイトが絡んでいないとして、ひとつ疑問が残ります。なぜあの時間の公園に車で来ていたのかですねー』

亀山『誰かに呼び出されたってことですかね?しかし正当防衛でなく殺人事件となると、少女が大竹を殺す動機がわかりませんよ・・・』

角田課長『まだ捜査中か?たった今、椎葉愛美って少女がきたみたいだぞ』

亀山『え?』

課長『一年前の痴漢事件は狂言だったんだとよ。全く人騒がせな話だねー』

右京『やはりそうでしたか。』

亀山『ってことはどういうことっすかねー』

右京『こうなると大竹さんと安西さんには過去に接点があったはずです。調べましょう。』

 二人は大竹の友人の松本という男に会いに行った。

右京『お忙しいところ申し訳ありません。警視庁特命係の杉下です』

亀山『同じく亀山です』

松本『今日はどういったご用件ですか?』

右京『かつて大竹さんがトラブルに巻き込まれたという話を伺っていませんか?』

亀山『どんな小さなことでも結構ですから』

松本『あいつは人と争うことはないですからねーあれ・・・でも・・・』

右京『はい?』

松本『いえ、大した事じゃないんですが、何ヶ月か前に電車内で携帯電話で話す子供に注意したとか言ってましたね。しかも同じ子に二度も注意したといってました』

右京『それはどの電車かわかりますか?』

松本『たぶん、小田線だと思いますよ。』

世田谷南署へ向かう二人
 
亀山『小田線ならば、その子が安西歩である可能性がありますね・・・』

右京『そうですねー直接本人に聞いて見ましょう』

伊丹『こら、特命の亀!なんのようだ!』

三浦『警部殿ー我々も表向きは捜査できないんですよ』

右京『1分だけですよ』

亀山『君はうそを言ってるよね?』

安西『・・・』

右京『真実は必ず白日の下に晒されますよ。これから検察へ行き、裁判になるまでは結構時間があります。今話さなければ必ず後悔すると思いますよ』

安西『・・・ごめんなさい。殺すつもりなんてなかったんです。ちょっと脅かそうと思っていたらこんなことになってしまって・・・』

亀山『出会い系で知り合ったというのも、暴行されそうになったというのも嘘なんだね?』

安西『はい・・・ナイフを出してから争いになり軽く刺しただけだったんです』

右京『理由はやはり大竹さんへの逆恨みですか?』

安西『はい・・・』

 警視庁へ戻る二人

内村『とんだ失態だ!15歳の少女の意のままに動かされるとは情けない。マスコミになんて発表する気だ!』

中園『申し訳ありません。ただちに本庁捜査員が捜査の指揮にあたります』

たまきさんの店にて

右京『しかし・・・やはり疑問は残りますねー致命傷の一突きは明らかに他の刺し傷とは異なります。』

亀山『ってことは、刺されて動けなくなっていた大竹さんに真犯人が止めを刺したってことですかね?』

右京『君にしては上出来ですねー』

亀山『これは喜んでいいのかな・・・』

美和子『一応褒められてるみたいよ』

たまきさん『でも怖いわねーただ注意しただけでそこまで恨まれるなんて・・・』

亀山『そうっすねーどこで事件に巻き込まれるかわからない世の中っすからね』

 その時、右京に電話が入る

右京『はい、わざわざありがとうございます』

右京『角田課長からです。現場付近で不審な男性の目撃情報があったようですよ』

亀山『じゃ、そいつが真犯人ですかねー』

右京『とりあえず行ってみましょう』

  

 目撃者の女性宅へ到着した二人

女性『さっき別の刑事さんにもお話したんですけど・・・』

亀山『もう一度お願いします』

女性『逃げた男は身長はあなた(亀山)くらいで、ちょっと太っていたくらいしか覚えていません・・・』

右京『そうですか』

亀山『これでは絞り込めませんね・・・』

右京『しかし、真犯人がいる可能性はかなり出てきましたよ』

 世田谷南署へ移動する二人

右京『安西さん、一点だけ気になることがあります。あなたはどうやって大竹さんを呼び出したのですか?』

安西『偶然、街であって後をつけてきたら、あの公園で誰かを待っているようだったんです。』

右京『ということは、大竹さんは事件当日徒歩だったということですね?』

安西『はい』

亀山『どういうことっすかねー』

右京『おそらく現状にあった車を運転していた人物が近くにいたはずです。』

亀山『そうなると、真犯人は限られてきますね』

 しばらくして

亀山『やはり右京さんの推理どおりでしたよ!三村不動産は多額の負債を抱えている上に、不正経理の疑いもあるそうです』

右京『やはりそうでしたか。すぐ向かいましょう』

三村不動産にて

三村『今日は何のようですか?急いでいるので手短にお願いしますよ』

右京『では、単刀直入に伺います。あなたは大竹さん殺害の時刻どちらにいらっしゃいました?』

三村『私を疑っているんですか?あいつはあの少女に殺されたんでしょー』

亀山『ところが、そうでもないみたいなんすよ。ちょうどあなたくらいの男が現場から走り去るのを見た人がいるんですよ』

三村『それが私だというんですか?』

右京『あなたの会社はここ最近、多額の負債を抱えている上に不正経理の問題を抱えていたんですよねー、しかも大竹さんはあなたもおっしゃっていたように大変まじめな方。そんな彼が不正を見つけて黙っているわけがないですよねー』

三村『それは事件とは関係ない・・・』

右京『いえ大有りですよ。だからこそ現場で待ち合わせ殺害しようと計画していた。しかし、少女が現れたために一端は計画を断念したんですよ』

亀山『しかし、少女が現場から離れた一瞬の間に現場に行って、瀕死の大竹さんに止めを刺した。』

三村『・・・証拠はあるのか!』

右京『証拠は調べれば必ず出てきますよ。あなたは血だらけの大竹さんのいる車内に入った。となれば必ずどこかに血痕が付着したはずです』

亀山『家宅捜索であんたの家を調べればその日着ていた服から血液反応が出るはずなんだよ』

右京『洗ったくらいでは痕跡は消えませんからね~それより椎葉さんから一年前の事を聞きましたよ。あなたが大竹さんを痴漢に仕立て上げた張本人だということを』

亀山『あんた相当、大竹さんにコンプレックスがあったようだな』

三村『・・・あいつが悪いんだ。優秀でいっつも優しいあいつを見ているとイライラしたんだ。オレを見下しているような気がしてならなかった・・・』

三村につかみかかる亀山『そんな理由で・・・人の命を何だと思ってるんだ!このやろー!』

止める右京『亀山君!』

三村『あいつが・・・悪いんだ・・・』

 特命係にて

亀山『人がよすぎるから殺されるなんて・・・怖い世の中ですね・・・右京さん』

右京『そうですねー』

亀山『しかし何故、三村は大竹さんを雇ったんすかね』

右京『おそらく解雇されるとは予想外だったのでしょうね。一時は罪の意識から彼を雇用したのでしょう』

亀山『しかし・・・それが、今回の事件に発展してしまったってことっすか・・・皮肉なもんすねー』

右京『そうっすねー』

杉下右京はなんともやりきれない様子で紅茶を入れていた

おわり

9月6日PM10時、世田谷公園にて

    腕と腹を怪我した少女が歩いてきた

通りすがりの男性『どうしたんだ?』

少女A『男に襲われそうになってナイフで刺したの・・・』



     翌日、世田谷南署にて

中園警視正『今回の事件の被害者は大竹正樹(39)、被疑者は安西歩(15)。少女の話によると、大竹とは出会い系サイトで知り合い現場の公園で待ち合わせ、食事に行く予定だったそうだ。しかし大竹に車に連れ込まれ乱暴されそうになったため仕方なく護身用のナイフで刺したようだ』

伊丹『なんで俺らまで呼ばれるんだ?』

芹沢『一応本庁も関わったことにしたかったんすよ』

中園『被疑者が未成年ということもありこれ以上の捜査は所轄署員のみで行い、本庁捜査員は解散する』

三浦『我々には出番がないのか』



     一方、特命係では

亀山『また嫌な事件っすねー』

右京『そうですねー』

角田課長『よっ!相変わらずヒマそうだねー今回の事件の捜査は所轄のみでやるんだってよ』

亀山『まあ相手が未成年じゃしょうがないっすからねー』

右京『・・・しかしどうも引っかかりますねー』

亀山『また右京さんの悪いクセですかー』

右京『ただの思い過ごしかもしれませんが、調べてみる価値はあると僕は思いますよ』

亀山『やりましょーとことん』

米沢『どうも、警部。被害者の大竹さんの致命傷は心臓への一突きです。ほかに腹や足にも刺された後はありますがどれも非常に浅いものです』

右京『被疑者の少女の証言とは一致しましたか?』

米沢『それが…事件のことを詳しく覚えていないとかで証言は取れていません』

右京『・・・』

亀山『やはり気になりますか?』

右京『ええ、第一に護身用にナイフを持っているような人が夜の公園に一人で行きますかねー、第二に正当防衛を主張するわりにナイフで複数刺していること、第三に致命傷の一突きだけは狙ったように刺されていること』

亀山『一つ目は危ないから持って行った、二つ目は気が動転していた、三つ目は恐怖のあまり深く刺してしまったってことじゃないっすか?』

右京『無いとは言い切れませんが、無理がありますよ。ナイフを出す余裕があるのなら普通なら車に入る前に逃げ出すか、もしくは車の外で犯行に及ぶはずです。なにより相手が怪我してひるんでいる隙に一刻も早く逃げようとするのが普通です。止めを刺す理由がないですよ』

亀山『うーん・・・そうなると正当防衛ではなく殺人事件ってことですかね?』

右京『さあ、もう少し調べてみましょう』

伊丹『おい、特ガメ、なんでおめーが鑑識にいるんだよ!』

亀山『部署と名前を省略するなっていってるだろー』

右京『捜査一課はこの事件からは手を引いたのですよねー』

亀山『そうだよ、おめーらこそ何しに来たんだよ!』

伊丹『うっせー』

三浦『気になるんですよ。被害者の大竹は一年前に一度痴漢で逮捕されているんです。本人は終始否定していたんですが結局起訴されたんですよ』

芹沢『そのとき被害者として名乗り出たのが、椎葉愛海。安西歩の中学の同級生だったんです。高校は別々なので直接関係があるとは限らないんですけどね』

右京『そうでしたか・・・』

亀山『しかし未成年の事件じゃ調べようがないっすよね』

右京『大竹さんの周辺から調べてみましょう』

次の日記に続く
麗次『死なせてくれ!そうしないと早矢が・・・』

亀山『麗次は自分の保険金で金を用意するつもりだったんすね』

右京『そのようですね~』

伊丹『くそっ・・・またふりだしか』

右京『いえ、大分見えてきましたよ』

 
 しばらくして、

亀山『右京さん~やはり思った通りでしたよ!』

右京『早速、参りましょう、亀山君』

 二人は中川邸に向かった

龍一『犯人がわかったのか?!金は?!圭二は?』

右京『ええ、今から説明いたします』

大原『何故、私まで呼んだんですか?派出所に戻らなければ・・・』

亀山『それは大丈夫っす、うちの伊丹がいますから』

右京『今回の事件は・・・最初からおかしな点がいくつかありました』

右京『まず、第一に誘拐の通報者も目撃者も未だに見つかっていないことです』

亀山『中川巡査の携帯が落ちていた付近にはあの時間人通りが結構あるんですよ、なのに一人もいなかった』

龍一『どういうことだ?』

右京『事件の前提が崩れてきます、第二に犯人からの電話です。挑発的な態度のわりに現金を入手した後の連絡がないのが妙です』

右京『第三に、携帯電話の紛失です。そんな簡単に交番から物を盗む人はいませんよ。内部の人間が盗んだと考えた方が自然です。』

大原『我々の誰かが犯人だと?』

右京『その可能性が高いですね、もし大原さんでないのなら秋本巡査ということになりますね~』

大原『・・・』

右京『第四に、受け渡しの日の麗子さんの服装です。部屋の写真を見るかぎり普段はスカートを履いていますし、玄関には洒落た靴はいっぱいありますが、スニーカーは一足もありませんね~』

亀山『しかし・・・伊丹の話によると、どういうわけか受け渡しの日はジーンズにスニーカーでしたね?』

麗子『ええ・・・別に意味なんて・・・』

右京『いえ、大きな意味があったはずですよ。あなたはあの日の行動がわかっていた、というより計画したのがあなたでしょうからね~だからこそ、動きやすいジーンズに着替え、現金を橋まで運ぶためにスニーカーを履いた。違いますか?』

麗子『・・・』

亀山『あなた、ここ最近麗次さんとよく会ってますよね?』

麗子『・・・はい』

右京『やはりそうですか。これですべてが繋がりましたよ』

右京『おそらく、大原さんが携帯を盗み、麗子さんが雇った男に渡した、そして麗子さんは巧みに警察を欺きその男に現金を渡した。違いますか?』

龍一『何を馬鹿なことを!じゃ圭二はどこ行ったんだ!』

右京『ですから最初に申し上げたように誘拐事件自体存在しなかったんだと思いますよ』

亀山『犯人役の男と一緒にいるんでしょ?麗子さん!』

麗子『いい作戦だと思っていたんですけどね・・・』

大原『申し訳ありません・・・警察官でありながらこんなことをしてしまって・・・』

右京『動機は早矢ちゃんの手術代のためですね?』

麗子『ええ・・・あの子のために出来ることはなんでもやるつもりでした、大原さんは悪くありません!私が無理矢理お願いしただけです!』

右京『僕もそう思っていますよ、しかし・・・一つわからないことがあります。何故龍一さんには相談しなかったのですか?』

麗子『何度もしましたよ…しかしあの人は全く聞こうとしてくれませんでした…この人はあの子のことなんか考えていないんです』

龍一『・・・』

右京『それはどうですかねー龍一さんはすでにアメリカで病院の手配をしていますよ』

麗子『そんな・・・だって私が何度頼んでも断っていたじゃない!』

龍一『・・・すまん・・・あの時は麗次に対して冷静になれなかったんだ。病院の準備をすることで麗次ともう一度向き合おうと思っていたんだ・・・』

麗子『なんで・・・もっとはやく・・・』

龍一『まさかお前も、麗次もそこまで思いつめていたとは・・・すまん・・・』

亀山『犯人役の男とは連絡取れますか?』

麗子『ええ、圭二には連絡付きます・・・』

  その後都内のホテルで圭二と犯人役のチンピラの御堂という男が発見され、警察へ連行された。

亀山『今回の事件はなんだったんですかねー』

右京『親子間の交流が出来ていれば起きていなかったでしょうねー』

課長『まったく中川ファミリーに振り回されただけだったな!』

  そのとき特命へ小野田官房長が現れた。

課長『か・官房長!ご苦労様です!し・失礼します!』

右京『やはり圧力の源はあなたでしたか』

小野田『うん、中川とは古い付き合いだからね、あいつが特命の二人に礼を言ってくれというのを伝えにわざわざきたのよ』

右京『そうですか、ところで中川巡査と大原巡査部長はどうなりました?』

小野田『二人とも懲戒解雇は免れたけど、依願退職ってことになったみたい、あと早矢ちゃんは手術受けられることになったようだよ』

亀山『それはよかったー、しかし処分はちょっと厳しいような気もしますねー』

右京『まあ、彼らならきっと大丈夫ですよ』

 小野田が去った後、伊丹が現れひとつの箱を机に置きすぐに去っていった。

亀山『なんだあいつ・・・』

右京『あけてみましょう、亀山君』

亀山『中身はメロンすねーあっなんかメモもあります』

【これで貸し借り無しだ、今日から一課の伊丹復活だからな】

右京『さっそく頂きますか。』

杉下右京は今日はメロンを片手に、微笑んでいた。

おわり・・・

今回は解る人には解るある作品とのちょっとしたコラボです。