警視庁にて
内村『バカモノ!被疑者を逃がした上に、杉浦までみすみす殺されるとはなんて様だ』
伊丹『申し訳ございません』
三浦『いきなり発砲されるとは想定外でして・・・』
中園『言い訳なんか聞きたくない!それでそのワゴンはどうしたんだ』
芹沢『すぐに緊急手配しましたが、以前行方はわかりません』
内村『もう我慢の限界だ。飯田と岡林をすぐに指名手配に・・・』
捜査員『刑事部長!』
内村『なんだ、今取り込み中だ!』
捜査員『それが・・・自分が今回の犯人だと名乗る者から電話が入ってます』
電話に出る内村『ついに人まで殺したな』
犯人『目的のためなら多少の犠牲はやむを得ませんよ』
内村『多少の犠牲だと?人の命を何だと思っているんだ!』
犯人『まあまあ、そう熱くならないで。これから僕らとゲームをしましょう。これから三つの強盗事件を起こします。せいぜい警戒してください。僕らが勝てば大金とともにこの国を脱出します。もちろんその手配は完璧です。まずは明日の午前9時にゲーム開始です』
内村『・・・』
中園『よし!各銀行に注意を呼びかけておけ』
特命にて
右京『いえ、銀行だけとは限りません。金の集まるところはいくらでもありますよ』
角田『俺の家とか?』
亀山『こんなときに冗談言ってる場合ですか』
角田『すまんすまん・・・まじめな話、競馬場やパチンコ・・・あとは・・・』
亀山『どうします?右京さん』
右京『ただ闇雲にパトロールしていても解決は難しいでしょうね~一つ気になります』
亀山『なんです?』
右京『今回の予告電話に一体何の意味があるのでしょう』
亀山『それは警察をおちょくる為でしょう』
右京『それだけでしょうかね~ちなみに君が犯人だとして明日強盗事件を起こすとしたらどこがいいと思いますか?』
亀山『それは・・・警備の手薄なところ・・・?』
角田『そうか!最初に強盗にあった銀行だな!』
右京『僕もそう思います。強盗に入られた翌日に強盗に入られるとは思わないでしょうからね~』
次の日 午前9時少し前
亀山『そろそろ時間ですね』
右京『ええ』
そのころ都内をパトロール中の捜査員
捜査員『城北銀行新宿支店裏にて手配中のワゴン車を発見しました』
内村『それで犯人はいるのか?』
捜査員『いえ、いません』
その時、銀行内で非常ベルとともに拳銃の発砲音が響く
捜査員『A班は表に回れ、B班は裏から入るぞ!』
内村『全捜査員、至急城北銀行新宿支店に向かえ、なんとしても確保するんだ!』
東都銀行新宿支店前にて
亀山『読みが外れましたね・・・俺たちも行きますか』
右京『・・・』
右京『いえ、待ってください。今横を通った車・・・飯田です』
亀山『どうなってるんです?』
右京『三つの事件を起こす・・・とは三つ同時に起こすということだったのでしょう』
亀山『すぐ本部に知らせます』
本部にて
中園『部長。いま亀山から連絡がありましてパトロールを分散させるべきだと言っています』
内村『特命係など放っておけ!』
中園『しかし・・・飯田と思われる男が東都銀行前にいるとの報告もあります』
内村『なぜそれを先に言わない!全捜査員、今までどおりのパトロールを継続しろ!』
東都銀行前にて
飯田ともう一人の男が銀行内に入るところを特命の二人が止めた
亀山『二日連続で強盗なんてあんまりだろ~』
飯田『・・・』
右京『騒ぎにはしたくありません。裏へ行きましょうか』
銀行裏の敷地にて
飯田『動くな!』
拳銃を構える飯田
亀山『物騒なもん持ってんじゃねーか!』
右京『亀山君!』
飯田『う・動くな!それ以上近づくと本当に撃つぞ!』
亀山『上等だ!撃ちたければ撃てよ・・・』
どんどん近づく亀山、そのとき飯田の銃が火を拭く。その弾が亀山の腕をかすめた
右京『・・・』
亀山『よく見ろ!お前らのゲームの世界では人の命なんてなんでもないんだろうけどな、生身の人間が撃たれれば血も出るし、痛みだってあるんだ!』
飯田『く・・くるな!』
飯田の手元が震える
右京『まだ続ける気ですか?』
亀山『いい加減に目を覚ませ!』
飯田『・・・すいませんでした・・・』
もう一人の男(伊藤)も手元が震えていた
亀山『君はどうする』
伊藤『・・・うわー』
次の瞬間、銃声が響いた・・・
伊藤『くっ・・・』
伊藤の手から銃が落ちた
亀山『?』
角田『お前ら丸腰でそれは無謀すぎるだろ~』
亀山『課長~今の課長が撃ったんですか?』
右京『おかげで助かりました』
角田『撃ったのは大木だよ。ところで腕大丈夫か?』
亀山『かすっただけですから』
その頃、城北銀行では犯人グループが逃走、そして三つ目の強盗事件発生
内村『今度は宝石店が襲われただと?』
中園『はい・・・しかし何も奪われてはいません』
内村『どういうことだ』
中園『おそらく目くらましかと・・・』
内村『いいように翻弄されただけじゃないか!』
東都銀行前
右京『腕は大丈夫ですか?このあとは僕一人でも大丈夫ですよ』
亀山『いえ、やらせてください』
右京『そう言うと思いましたよ。では今度はこちらの番です』
亀山『はい』
その後、無線が入る
捜査員(古田)『手配中のワゴンを発見しました。青山通りを西に逃走中です』
亀山『すぐ近くですね』
右京『僕が運転します。急ぎましょう』
亀山『はい』
ワゴンを発見し、右京の運転で強引にワゴン車を止めた
またもワゴンのドアが開き銃を乱射した
二人は開いたドアとは別のもう一つのドアから姿を見せた
右京『同じ手は通用しませんよ』
亀山『簡単に撃ってんじゃねーよバカやろー』
岡林『ゲームオーバーか・・・』
亀山『金をどこに隠したんだ?』
岡林『・・・』
右京『このまま金だけ奪われて、あなただけが罪に問われる。それでもいいのですか?』
岡林『冗談じゃねー全部野村の計画だ!金は川に投げ捨てた。ボートに乗った仲間が拾っているはずだ』
亀山『ったくどこまで手の込んだことを・・・』
状況を報告する特命係
内村『それで、主犯の野村の居場所はどこだ』
亀山『それが岡林も何も聞かされていないようです』
右京『おそらく野村は最初から彼らを捨て駒と考えていたのでしょう』
亀山『また振り出しですね・・・』
右京『野村は電話で海外逃亡を口にしていましたね』
亀山『ええ、じゃあ空港ですか』
右京『いえ、空路は現実的ではありません。船、あるいは・・・』
右京の携帯が鳴る『米沢さん、わかりましたか?』
米沢『もちろんです。飯田の携帯電話から頻繁にアクセスのあったサイトがありました』
右京『なるほど。亀山君、行きましょうか』
亀山『行くってどこへです?』
右京『もちろん今回のラストのボスの所ですよ』
そのころ、川崎市の船着場にてボートに乗った男(高津)が降りた
野村『これだけですか?』
高津『はい、他は捕まったようです』
野村『仕方ないですね。少し人選に問題があったようですね。今度はもう少し優秀な人を選ばないと』
高津『・・・』
亀山『ご苦労さん』
右京『あなたの最大のミスは杉浦さんを殺害してしまったことですよ』
野村『な・・・何故ここが』
右京『杉浦さんの携帯電話のアクセス記録にSNSのページがありました。そこにこの場所が書かれていました』
野村『ばかな・・・』
亀山『あんたが杉浦たちを捨て駒と考えていたように、杉浦もあんたを信用なんかしてなかったんだ、だからわざわざさSNSに全ての計画を書いていた』
右京『もともとは杉浦さんが開発中のゲームから今度のことを実行したようですが、事実は小説より奇なりという言葉をご存じなかったのですか?』
野村『くっ・・・』
一瞬の隙を突き、野村と高津は車に乗り込み立ち去ろうとした
次の瞬間、全方向からパトカーが集結
野村の車を包囲し、確保に成功
右京『思えば、今度の件ではすべてあなたたちの術中でした。青酸で脅され釈放、発信機ははずされ、三つの強盗。全てこちらの裏を突く見事な作戦です。しかし、今度ばかりは無理があったようですね~』
野村『仕方ない。罰ゲームを受けましょうか』
殴ろうとする亀山『てめー人が一人死んでんだぞ!』
止める右京『亀山君!罰ゲームは非常に酷なものになりますよ。何しろ本当の死と向き合うことになるでしょうからね~』
野村『・・・』
特命にて
角田『しかし・・・とんでもない連中だったな』
亀山『今回の事件までお互いのことは全く知らない他人だったようですね』
右京『SNSで知り合い、犯罪計画を実行に移す・・・到底許されることじゃありませんね』
亀山『なんでこんな世の中になってしまったんですかね』
右京『・・・』
杉下右京は静かに紅茶を飲んだ
終わり。
あぶない刑事のあるお話より。