アーリー・タイムズをプラスチックのコップに半分ほど注いで、俺とK君はスナックバーに向かう。
アメリカの俳優のモーガン・フリーマンを若くした感じの黒人の販売員に、氷をコップに入れてもらえないかとお願いすると、素っ気ない態度ではあったが快く入れてくれた。俺達がスナックバーのシートに座ってウイスキーを飲んでいたら、彼は殻つきのピーナッツが入ったバスケットを俺達のテーブルに載せてくれた。
自分の座席に戻ってアメリカ南部の景色を眺めながらアーリー・タイムズをなめる。アムトラックの速度はそれほど速くないので、そこから眺める景色は絶好の酒の肴(さかな)だ。森や川や人の姿とかすべてが映画のシーンのように見えてくる。
俺は午前中から酒を飲む事はほとんどないのだがこのシチュエーションならばいくらでも飲める。
酔うほどにいろいろな思いが頭の中を駆け巡る。若い頃アメリカに憧れてた時の事、自分が日本でやってきたこと、そして日本を出発してからの2ヶ月間。
いつの間にか酒が体じゅうにまわって寝入ってしまった。
列車は日が暮れて暗くなった頃にアトランタのアムトラックステーションに到着した。