サイレンを鳴らしたパトカーは左折して、俺達がいる消波ブロック(通称テトラポッド)の方向に向かって来る。俺達はパトカーの方向に向かって歩いた。
全く人気(ひとけ)の無い場所で、当然パトカーは俺達の目の前で止まった。中から二人の警官が出て来た。
警官は俺とK君にパトカーの車体に向かって両手を付くように命じた。(スペイン語が分かったわけではなく雰囲気やゼスチャーでわかった)
おいおい、こんな場面ハリウッド映画の中でしか見たこと無いよ。
まさに映画で見るように、後ろ向きの体を両手で上から下に触ってボディーチェック。(拳銃とかのチェックかな)まあ、ここは当然パス(合格)。
次に思いがけない事を言ってきた。ポケットの中の物を全部出せと。俺とK君はポケットの中から財布、タバコ、ハンカチなどを出す。
ふふ~ん、どうやらマリファナとかドラッグのチェックだな。
当然何も持ってない。ブツが何も出てこないので、二人の警官がイライラし始めるのが分かる。財布の中を入念に調べ始める。紙幣の数まで数え始める。
そしてついにK君の財布の中からコンドームを発見。警官はそれを指して、これは犯罪だみたいな事を言っている。
コンドーム所持が罪になる国なんて聞いたことね~ぞ。
そして罰金として500ペソ払えと言ってくる。俺は頭にきたので、英語で警察署に連れて行けと言った。でも英語も通じないし、こいつらはタカリなんだから警察に行く訳がない。K君と相談、値切る事にした。K君が100ペソを出して、これでどうだと目で示す。警官は、二人だから2枚(200ペソ)よこせとゼスチャーで示した。
俺達は納得いかなかったが、ここは人気(ひとけ)のない場所だし、相手は拳銃を持っているクソポリ公。これ以上揉めるのは得策ではないと判断。200ペソで手を打つことにした。
臨時収入を手に入れた二人のポリ公は意気揚々とパトカーに乗り込んで、さっき来た道を引き返す。
俺は小さくなっていくパトカーに向かって、覚えたてのスペイン語で大声で叫んだ。 Adios~あばよ
この時にK君がなぜ、財布の中にコンドームを忍ばせていたのかは、いまだ持って謎のままである。