北半球一周の旅 ・ シンガポール航空機内にて~ON MY BEAT | 北半球一周の旅 2002年 1年間 回想記

北半球一周の旅 2002年 1年間 回想記

1年間をかけて、北半球の主要な国、都市、世界遺産などの旅をした体験を赤裸々に綴る回想記。

 1988年4月5日。俺は東京ドームの中にいた。BOΦWY“LAST GIGS”最終日。俺の隣には男性の友人がいた。本来なら俺の隣にはある女性がいるはずだった。

 このコンサートの10日ほど前に、俺は年明けからつきあい始めた女性と新宿の喫茶店にいた。彼女から別れ話を切り出された。若かった俺は、愛の表現方法が分からなかった。彼女に対しての愛が足りなかった事にも気づかなかった。
俺は泣いて彼女にすがった。彼女は完膚無きまでに俺を振った。俺は完膚無きまでに叩きのめされた。

 韓国の仁川国際空港を離陸したシンガポール航空機はサンフランシスコに向かっていた。すでに離陸から3時間を越えている。俺はビールとウィスキーのロックを飲んで心地良く酔っていた。ここ数日慌ただしい日々が続いていたが、酒を飲みながらじっくりと、自分自身の過去のことなどを振り返っていた。

 BOΦWY“LAST GIGS”で俺は、かなり感傷的な気持ちになっていた。純粋に大好きなBOΦWYというグループの、最後のコンサートを見ているという感慨に加え、愛していた女性に振られて間もないという残酷な事実が俺の心を悪くさせた。
俺はアンコールで演奏されたON MY BEATという曲が、その時の心情にうまくマッチして、勝手に自分の応援歌にしてしまった。単純で不器用な俺はその後、不幸にもこの曲の歌詞に忠実な生き様を実践し、まとまな社会人の幸福な生活とは違う生き方を、余儀なくされることとなった。

 やる気がないだけサ バカげたふりもしたくない
 ペコペコ背をまげて 生きていくタイプじゃないのサ
 勉強仕事に疲れて 首をつるのは絶対いやだぜ
 自分の勝手さ LIFE IS ON MY BEAT

 奴等に言われても それほど関係ないのサ
 世間のはみ出しと 背中を指でさせばいい
 どこかの奴等のようにさ ウソで体裁かざる鮮やかさ
 それよりはましだぜ LIFE IS ON MY BEAT

 自分を守るのは 何かを残したあとだぜ
 形にこだわっちゃ 古びたものしか見えない
 やたらと計算するのは 棺桶に近くなってからでも
 十分できるぜ LIFE IS ON MY BEAT

 あれから、14年の月日が流れていた。シンガポール航空の機内で、酒の酔いに身を任せながら、これからも俺の応援歌に、とことん付き合ってやろうと誓った。