俺は悩んでいた。派遣社員ではあったが、
それなりの職務を任されていた。担当している企業も20社ぐらいあった。素直に世界旅行のことを打ち明けて慰留される事だけは避けたかった。
派遣会社の担当者に電話した。父親が病気で倒れて手術するので、年明けに実家に帰らなければいけないと伝えた。
その翌日、勤務先の応接室。俺と派遣会社の担当者、向かいには勤務先の部長と課長。俺が昨日伝えた内容を、派遣会社の担当者が俺の上司に切り出す。俺は神妙な面持ちをする。部長は最初険しい顔つきをしていた。しかし親の病気では仕方ないと観念したのだろうか。最後は笑顔で了承してくれた。心が痛んだ。