ヴァイオリン製作家 大久保 治のブログ

ヴァイオリン製作家 大久保 治のブログ

自作弦楽器製作について、楽器、工房での仕事中心に書いています。

 

 73作目のヴァイオリン ストラディバリウス 1715年クレモネーゼモデルが 白木(ホワイト)ヴァイオリンまで来ました。 あとはニスを塗る作業になります。

 

 

 裏板は非常に均一に杢が出た2枚板です。

 

 

 側板もそこそこ杢の出た綺麗な材を使う事が出来ました。

 

 

 この「クレモネーゼ」モデルはストラドの中では一番数を製作している楽器なので このF字も作り慣れた形です。

 

 

 スクロールを写真に撮ると 目で見た形と違ってくるので いつも あれ?と思います。もっと離して撮影するべきなのでしょう(汗)

 

 

 いつもの感じですね(汗)。

 

 

 裏板と側板の杢の傾きを変えています。さて今年中に完成は微妙になってきました(汗)。ゆっくりじっくり作っています。

 

 はい、 パーフリングが入りましたので いよいよ 隆起を作っていきます。 まずは縦の隆起のテンプレートを用意して 全体に合わせていきます。

 

 

 大体 テンプレートの形と合ってきました。

 

 

 このテンプレートに 5か所横の隆起の位置が書いてあるので 次に 横のテンプレートを使って隆起を合わせていきます。

それが出来たら 等高線引きを使って 左右対称の綺麗な形になるように 最初はミニ鉋で、 後はスクレーパーなどで全体の隆起を完成させます。

 

 

 表板の隆起が出来たので パーフリングの上を掘り下げて それに繋げます。

 

 

 表板の表面サイドがほぼ出来たので 今度は厚みを出していきますが、まずは 厚みを完成させる前に F字孔を開けるので

全体の厚みを4ミリに削ります。 現在5ミリ半くらいまで来ました(汗)。

 

 表板のシェイプ、エッジの厚み など パーフリングを入れる場所のクリーニングも終わったので 早速 パーフリングカッターで 卦がいていきます。

 

 

 パーフリングの溝も掘り終わりましたので、 パーフリング材を実際埋め込んでみます。 最初はC部の幅いっぱいにぴっちりの長さで はめ込んでみます。 この後合わせ目の角度にのみで先端をカットして この左から来る(アッパーバウツのパーフリング)のが入る隙間を作ります。

 

 

 で、 接着前に 合わせ目がぴったりに合うように もう片方もカットしてどんな具合かチェックします。 良ければC部の下側(ロワーバウツのつの)も同じように合わせ目を合わせます?(笑)

 

 

 はい、 全てのパーフリングが はまりましたので これから ニカワを入れて接着作業に入ります。 まず・・・

 

 

 C部のパーフリング材だけを そっと抜きます。 溝を水で濡らしたら ニカワをスポイトで入れて パーフリングを戻します。

 

 

 プラハンマーで叩いて 接着です。 間髪入れず この左右のパーフリングも抜いてニカワを入れて戻す 作業をします。

 唯一気をつけることは つのの合わせ目がぴったりになる様な位置で接着する事です。

 

 

 抜いて、戻す・・・。

 

 

 ぐるっと1周 入れ終わりました。

 

 

 まず最初にぐるっとエッジの厚みを罫書きます。 大工道具の毛引きを使って 側面にラインを引いていきます。 それだけでは良く見えないので 鉛筆でなぞって見えやすくします。

 

 

 こんな ヤニツボが断面に出てきたりして、ヒヤッとしますが、大丈夫です。(汗) 上の部分は全部削り取ってしまいます。

 

 

 ちょうど パーフリングが入るエリア付近を卦がいた線+アルファで平らにするので 余分を大きめな丸のみで削っていきます。

 

 

 まだ表板の隆起は目指さずに 取りあえず エッジだけ平らにしていきます。

 

 

 そろそろ エッジの厚さも平均4,2ミリくらいに成って来たので つの整形に入ろうかと思います。 この時点ではまだ バンドソーでカットしたままで つの周辺は余分だらけです。

 

 

 本物の写真と見比べながら つのの形を完成させます。 同時にC部のカーブも仕上げます。 これで ヴァイオリンの表板のシェイプとしては完成した事に成ります。 この後はいよいよ パーフリングを入れる為の位置をパーフリングカッターで記していきますが、 その前に 厚みと表面の仕上げをします。

 

 

 パーフリングカッターで記す所に傷が無いかチェックします。

 

 

 綺麗になったら いよいよ パーフリングカッターの出番です。

 

 

 

 まず表板を用意します。 裏面になる方の平ら出しをしたら 四角い材料をなるべく横幅が短くなるように小さくカットします。

ハタガネやクランプの力がかかりやすくなるように。 私は40センチとかの大きい洋カンナ(ニールセンやスタンレーなど)を持っていないので 写真の電動カンナで直角を出しています。 最初に直角を出してからこの形にすると 材の内部のテンションバランスが変わるせいか ぴったり合わなくなることがあるので 先にこの形にします。

 

 

 左右の材の高さを同じにして 隙間を見ます。良ければいよいよニカワの用意をして 準備OKです。 この季節は問題ないですが、冬にこの作業をする時は部屋を暖めて、接ぎ合わせる面をコンロで温めてから接着します。

 

 

 真ん中に特大のFクランプ、 裏面の上下と外面の中間点にそれぞれ2本づつ はたがねで締めます。1日置きます。

 

 

 翌日に ボディーを定位置に置いて 表板のシェイプを描きます。

 

 

 つのの形は 実寸のカラーコピーを乗せて写します。があくまで参考程度で、 実際は最後のつの整形の時には実器の写真を見ながら そっくりな形、曲線を作って仕上げます。

 

 

 とりあえず シェイプにカットしました。 つの整形はパーフリングを入れる直前にやりますので まずは隆起の粗削り(エッジの厚み書き)から始めます。