福岡伸一著『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書、2007)
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のっけからいい訳がましいが、小生は文系です。ただ、高校時代は「生物」を選択してました。
それなのにDNAの話しについていけるのか、みたいな躊躇はありましたが先輩の牧師に煽られて、気づいたら読んでました。
まず何よりも、この本、読みやすい!何かのエッセイであるかのように叙述的に風景を描きながら、いつのまにDNAの話しに入っている。本書のテーマは簡単に言えば「生物ってなんだ?」いのちって何だ?
海岸に石ころが落ちていたとする。その脇に貝殻が落ちていたとする。どちらも拾い上げれば堅い鉱物。もちろん貝殻の方は「元」生物であり、石ころとは違うことが「直感的」に分かる。そのヒントになっているのは「規則的なデザイン」。この辺りに福岡氏の文才が光ります。
この本のキーワードは「動的平衡」。福岡氏は2009年にも『動的平衡-生命はなぜそこに宿るのか』(木楽舎)という本を出しているが、生命の鍵がこの理論によって解き明かされる。遺伝子工学に首を突っ込んで久しい方々には「そんな話し、高校時代に聞いた」とでも言いたくなるかもしれないが、その他大勢の一般的な読者人口には大歓迎されて然るべき一書だと思います。