この前、本屋に立ち寄ったら「男の隠れ家」なる雑誌が置いてあり、タイトルが黒人音楽の世界で、その表紙のかっこよさに思わず買ってしまった。

にしてもピーター・バラカンさんとか鈴木啓志さんの黒人音楽・ポピュラー音楽の体系的な知識には感服だ。
自分の考え方の偏りに気づく。


もともとはセックス・ピストルズでロックに目覚め、音楽に目覚めた自分なんで、他の音楽にはかなり否定的だったんだなあ。

にしてもピストルズには完全にやられたね。ロックは子供騙しだ。
ピストルズに15歳の時に完全に騙されました。いまだに騙され続けてます。

いまではそこそこ色んな音楽を聴き始めました。


最近はブライアン・イーノのことば「70年代には3つの偉大なビートがあった。JBのファンク、フェラ・クティのアフロ・ビート、そしてノイ!のノイ・ビートだ!」からクラウト・ロックの雄、ノイ!(ドイツ語でNEU!新しいの意)に出会いました。

クラウト・ロックはいわばジャーマン・プログレッシブロックで、70年代の初期にドイツで実験的なロックを試みてた人たちです。

他に有名なのはテクノで有名なクラフトワーク(KRAFTWERK)です。テクノはプログレからだったと。
このノイ!のメンバー、クラウス・ディンガーとミヒャエル・ローターも元々はクラフトワークのサポートメンバーで、脱退してノイ!を結成。

ハンマービートといわれる、8ビート全てにバスドラを打ち込むビートの元祖が彼らだったそうで、クラウト・ロックのグループにはこのビートがやたらと出てくる。

このビートを聴いて、はっとした。
これは75年の彼らの解散前のアルバムの曲



この音楽、どっかで聴いたことがある・・・・このビート、この歌い方、この歪み・・・・・!セックス・ピストルズだ。

この暴力的な映像と比較してほしい。



かっこいい・・・鼻血ぶち流し客とつばをかけあうシド、怒り顔のロットン。
「わかってたまるか」
本物の不良だからこんなことができると思ってた。しかし、ノイ!を聴いたときはある種のピースが当てはまる感じがした。

Problemsの方がよくわかるか。



にしても、スティーブ・ジョーンズも音はずしまくりで、本当にうまかったのはポール・クックだけじゃねえのかって感じだ、けどそこが良い!


これもノイ!解散前の曲。



調べてみると、ロットンは相当のクラウト・ロック好きだったそうじゃないか!
プログレの代表格、Pink FloydのTシャツにI Hateと殴り書き、俺はピンクフロイドが嫌いだと、町を歩きながら、実はハード・ロックやプログレに詳しいロットン。
PILではさらにクラウト・ロックよりの音楽をやってるとか。PILは実は聴いたことない(汗)

ピストルズは完全にニューヨークドールズとかストゥージズの影響だと思ってた。けど確かに何かそれらと一線をかくものがあると思ってたが、まさかプログレとは思わなかった。

けどドールズもハンマービートを使ってるあたり、完全に直接的な影響かはわからないけど。



こいつらもかっこいいよな!!!今の日本のロックはこのあたりのロックが浮き彫りになってるな、女装したり。
実際ノイ!がファーストをだしたのが72年で、その時からハンマービートやってるから、おそらくはドールズもそこからの拝借か。

ノイ!はボウイなんかの支持で解散後評価が高まって今ではトランスなんかの元祖なんてことも言われてる。
けいおん!の先駆けという説もあるとかないとか嘘ばっかりいってるけど。

これはノイ!のクラウス・ディンガー
ネットより
$sam-cookeさんのブログ-クラウス・ディンガー

おいおい・・・このドイツ人、これじゃリチャード・ヘルじゃねーか!クラウト・ロックはだいぶパンクロックに影響をあたえてるんだな。


にしてもやはり、ジョニー・ロットン、侮りがたし。計算なんだか適当なのかわかんねえ。
おそらく本人もわからないし、誰にもわからないし、実際そんなことはどうでもいいのだ。

音楽の影響なんか極論、どうとでもとれるわけだ。セックス・ピストルズの魅力はそんなところにない。

社会に不満を抱く奴ら、プログレとかわけがわからんロックに嫌気がさした奴ら。
そんな奴らにプログレを織り交ぜて聴かせて熱狂させたわけだ。どこまでも皮肉な男だ。

自分の好きなもんをとにかく吸い込んで、中でかき混ぜ、吐き出す。
そのハイセンスに改めて驚きを隠せないよ。

セックス・ピストルズを音楽的な影響で語るのはナンセンスだ。騙され続けたもん勝ち。
今日はロックバンド、トーキング・ヘッズの話。

・・・・とはいえ、トーキング・ヘッズなんて最近まで全く聴いてこなかった自分。

元々、ロックから音楽の魅力にとりつかれていったけど、全く聴きそびれたバンドがたくさんある。

なんせ好きなアーティストはローリング・ストーンズにセックス・ピストルズにリトル・リチャード!
ポスト・パンクなんてなんのその、U2やパルプやザ・スミスに耳を傾けることがあっても、プログレでさえ、キング・クリムゾン、イエス、ピンク・フロイド、マグマぐらいしかまともに聴かず、自分の好きなのはブルースの香り漂う、ストレートなロックンロールでした。

トーキング・ヘッズも、高校生の時に初めて聴いて、「こんなんロックじゃねー」と思い、それに共感した友人Aとよくバカにしたものでした。

さらに、友人Aと自分が薦める音楽を見境なく「イイネ!」という友人Bに、冗談でトーキング・ヘッズを薦めるような発言をし、その友人Bが、どこまでロックを聴く耳を持ってるかを試す、なんてことをしたほど。

そもそも、自分はプログレファンだとかテクノファンが嫌いだっただけで、あまりその音楽を真剣に聴いたことがないのでした。
プログレ・テクノファンの態度は「この音楽の素晴らしさがわからないのか?{やれやれ}」といった感じに見え、まるでその音楽の良さをわかる自分は頭がいいと言ってるかのように見えたのでした(ただの偏見)。

自分からすれば、チャック・ベリーやエルビスの魅力のわからない奴らこそやれやれといった感じでした。

インテリ・バンドなんて、マイナスイメージでしかなかったのです。

しかし、やはり他の音楽からしかその音楽の全ての魅力はわからないという持論を元に最近は幅広い音楽に耳を傾けるようになりました。


唯一持っていたトーキングヘッズの音源である「リメイン・イン・ライト」はここ何年で何回も再評価しようと試みてきた自分でした。

最初に聴いた感想は「ロックじゃねー」

何年か経って聴いて思ったのは「これじゃエセJBファンクじゃねーか」

さらに何年か経ち思ったのは「・・・これじゃエセフェラ・クティじゃねーか!」

でした。この感想は今となっては正しい感想だと思います。彼らの音楽はアフリカンの影響が色濃い。

というのも、ブライアン・イーノという、この手のアングラロックでは欠かせないプロデューサーがこの「リメイン・イン・ライト」をプロデュースしているから。ブライアン・イーノの名言にはこんなものがあります。

「70年代には3つの素晴らしいビートが存在した。JBのファンク、フェラ・クティのアフロ・ビート、そしてノイ!のノイビートだ!」

事実、このアルバムが発売された直後は「あまりにフェラに似すぎている」という批判があったそうな。そしてそれを認めるイーノの発言もあったそうな。

なにより、トーキングヘッズの音楽はロック初のミニマル・ミュージックなんていわれ方をする。

ミニマル・ミュージックとファンク・ミュージックは全く別のものとして捉えられるけど、話は一緒。
結局はどちらも民族音楽の影響が強い。


何はともあれ、最近はじめてかっこいいと思えたこのバンドの曲が2曲あります。
初めにこれ。

Once in a Lifetime


これはなかなかにかっこいい!アルバムでも一番にキャッチー、このデビット・バーンの痙攣ダンス、衝撃的だ。
注目すべきは、イントロからシンセサイザーを奏でる、P-Funkのバーニー・ウォレルの存在である。

たしかに、ファンクにエレキときたら、P-Funkだ。そのP-Funkの代表格バーニーが参加していることは、ポピュラー音楽史におけるシルクロードのような意味がある、なんて出しゃばって言っちゃうぐらい興味深い。


次はこれだ。

Girlfriend is Better


この動画は、ストップ・メイキング・センスという、この曲の歌詞の一部から名づけられたツアーのライブの様子。

この曲で「センスなんかいらねえ」と歌いながら、デビット・バーンの奇妙な踊りにオールバックでぶかぶかのスーツ姿はまるでセンスの塊だ。

かっこいい。アフロ・ビートをニューウェーブな解釈で消化してる。
重要なのはここだ。

今ある音楽、いままでの音楽の全てが、様々な音楽の派生で、全てオリジナルのようにみえて、実は全てオリジナルではない。

音楽は足し算・掛け算的に生まれていって、数字には種になる数字がある。


自分の敬愛するローリング・ストーンズのキース・リチャーズの言葉にこんなんがある。
 
「俺は自分が何かを生み出してるとか、何かを書いてるとかっていうんじゃないと思ってるんだ。一種の贈り物を受け取るんだよ。そいつをちょっとばかし自分でいじって、それから外に送り出すわけさ。「俺が書いた」とか「俺が作った」みたいな発想は、ソングライティングってものを何か過剰にアーティスティックなものとして捕らえたがってる連中の幻想だと思うね。そういう思い込みってのはロクなことにならない。なにもかも自分が生み出してるだなんて鼻高々になってると、必ずしっぺ返しが来るぜ。」

これは音楽を演奏する全てのひとが意識するべきことだと思う。

なにも、トーキングヘッズやプログレアーティストが、そう思ってるというんじゃない。むしろそういうアーティストは自分たちのルーツに敬意を払ってると思う。肝心なのはリスナーだ。

リスナーは、本当にその音楽の良さがわかるというなら、どこにその敬意が向いてるかに気づくはずだ。

勘違いリスナーの勘違いアーティストが、ジャンルに関係なく、その辺のライブハウスにたくさんいる。
「いままでにないロックを奏でるぜ」なんて言いながら、まるでいままでの焼き増しアーティストが。

いままでにない音楽をやりたいならそもそもロックから離れなければならない。場合によってはバンドという形態をやめなければならない。

「これはただのモノマネだ、けど、他のモノマネとはちょっと違うぜ」ってのがアーティストに必要な考え方に思える。
勘の良いリスナーでなきゃ、良いアーティストにはなり得ないと思うんだ。

全ての既存のロックを否定したピストルズでさえ、良いリスナーだったんだから。

えらく酷い語りをしてしまったけど、気を悪くした方は悪しからず!自称アーティストを非難することはあっても、特定のアーティストを中傷するつもりはありません。トーキング・ヘッズもこれからはまっていくだろうな~

続きはセックス・ピストルズの話で!
今日は最近はまってるナンバーの動画を紹介したいと思います。

Al Green/Let's Stay Together



アル・グリーンは、70年代のサザン・ソウルの代表格で、当時はセックス・シンボルとして絶大な人気を誇り、なんでもガールフレンドに熱湯をかけられ大火傷し、その後にその彼女が自殺してしまったとかで、原点であるゴスペルに戻ってたこともあったけど、今も息の長い活動をしてるみたいです。


にしてもこのアポロシアターでのライブを見てよ!!!!!!


自分はこれをみると泣きそうになる。
みんなは何を感じるだろう。

これは恐らく、NYはハーレムで有名な、ソウルの歴史を作ってきたアポロシアターの80周年の記念イベントだと思うんだけど、後ろにはテディ・ペンダーグラスにベン・E・キングと偉大なソウルシンガー達が並んでる。

このパフォーマンスこそまさにソウルの真髄!大地を揺らして神を敬うようなゴスペルに、ブルースのような卑猥な歌詞をつけて歌う


スタジオ版は実はこんなにシャウトしてなくて、アル・グリーンといえば耳元で囁くようなスタイルが有名なんだけど、もともとはゴスペルシンガーだった彼にそんな歌唱法で歌わせたのはハイ・レコードのウィリー・ミッチェルって有名なプロデューサーだった


もともとアル・グリーンの一番のアイドルはサム・クックでなければレイ・チャールズでもない、ジャッキー・ウィルソンだというから、なんとなくこの優しさがにじみ出るボイスにも、派手な衣装にも納得がいく。
マイケル・ジャクソンと同じ系列といえるね。


ハイ・レコードは70年代のサザンソウルの代表的なレーベルで、ずっしりくるリズム隊の独特なサウンドが有名。
ローリング・ストーンズのキース・リチャーズもそのサウンドに憧れて、ソロアルバムでオマージュしてる。


話を動画に戻す。何度みても圧巻である。当然のオールスタンディング。
グルーブするという言葉は、きっとブルースよりもゴスペルに似合ってると思う。

このアルの場の盛り上げ方、段々とクライマックスが近づいてることを観客みんなが感じ取ってると思う。


にしても、アルのパフォーマンスは本当におもしろい!個人的にhaaaaaとか奇声上げてステージに戻るシーンと、サングラスを外してまん丸の目玉が見えるシーンと、またまたステージで奇声を発しながら足をチクチクさせる動きがツボ。そして最後に崩れるシーンでいつも昇天

最後に「Thank you Thank you!」って叫んでる時の声が清志郎に似てる。ソウルシンガーの面影は色んな経緯から探ることができる。
会場の沸き方も、アポロシアターだからこそって感じだ。


この次に歌うそのテディ・ペンダーグラスも、流石にこのパフォーマンスに「アルにはかなわないよ」なんて言いながら車椅子から歌い始める。

そのテディ・ペンダーグラスも、さっきでたプロデューサーのウィリー・ミッチェルも、今年の1月に亡くなってしまいました。そのうち紹介したいと思います。

ソロモンといい今年もまた多くの偉人が亡くなって一年が終わりそうだなあ

素晴らしいスウィート・ソウル・ミュージックをありがとう!!