いつも楽しみにしている伊予原さんの作品。
今回のテーマは「疑似科学」と言ってしまってもいいでしょう。
「万能深海酵母」と呼ばれるものが含まれた「水」を巡ってのお話。

「疑似科学」と指摘を受けながらも、「万能深海酵母」を中心に、人にも地球にも優しい水を研究、製造、販売している会社が登場する一方、「疑似科学」を徹底糾弾せずにはいられないグループも出てきて、構図としては面白く、分かりやすい設定です。

そこに主人公たちが少しその構図から外れた視点で物語が進んでいく、という読みやすくてためになりそうな作品。

「疑似科学」なるものは世間的にはどんな感じなのでしょうか。私は科学者ではありませんし、理系文系でいうと文系ですので、科学的かどうかを何かの判断基準に使っている意識はありません。
無意識で判断しているものに関しては自分でもよく分かっていませんが、何々の考え方や、何々製品といったことを、科学的根拠がないという理由で判断したことはないです。

どちらかというと、生理的に受け付けない内容でなければ、一旦はそういう事もあるのかという感じで受け入れます。受け入れるというか、否定はしません。
否定する理由を持っていませんからね。

今回ここで出てくる、水に「ありがとう」という内容などは、別にそうであっても良いと思いますし、逆にそうじゃなくても良いと思います。

 

ただし、これを自分の考え方がしっかりと定まっていない小学生などに伝える時には、その伝え方は最大限注意する必要があると思います。

 

それと「万能深海酵母」を含んだ物質を「川をきれいにする」という理由から川に投げ込む行為。

「万能深海酵母」を個人的に信じて摂取するのは良いと思いますが、作中でさらっと書かれているもしこのような行為を学校が生徒たちにやらせているなら、大問題にするべきですね。

場所にもよりますが、農地用水として使われる可能性や飲み水として使われる可能性もあるわけで、さすがにこの行為は作品の中だけの話としてもらいたいものだと思いました。

といったことを書いていて思い出したのが、とある家庭で作られたおにぎりに「○○プルーン」が具として入っていたこと。
聞いたことはありますし、体によさそうなイメージはありましたが、私自身食べたことないですし、しかもおにぎりの具ということでびっくりしましたが、たしかそのご家庭では普通だと言っていた気がします。

例として、おにぎりの具としてどうなのか?という問題と、健康に良いと言われているものとしてどうなのか?がごちゃついてしまってますが、ここで言いたいのは後者として、作品内でもとある高校生の母親が、料理に入れて家族に提供していたいった発言がありましたが、こうなってくると現状どうすればいいのかと。

そんなようなことをとても考えさせられた作品。
登場人物といい、テーマとしい、物語の展開といい、ロケ地といい、すべてとても良かったです。



以上です。