佐藤究さんの作品。
表題作を含みいくつかの作品が収められておりましたので、作品毎に感想を書いておきたいと思います。


爆発物処理班の遭遇したスピン:
→時は東京オリンピックに向けてテロ対策を行っていた2019年。
まだ、この時にあの「コロナ」が襲ってくるとは全く想定していなかった頃の話。

もちろん物語は「コロナ」は全く関係のない話なんですが、非常に緊張感ある内容、まさに爆発物を取り扱っているな感を全体的に浴びながら読んだ作品でした。

そしてずっと頭の片隅にある「スピン」という存在。
これはいったい何のことで、いつのタイミングで物語に登場してくるのだろうかと。

この内容は是非とも長編でも読みたいと願う作品。
何かどこかの作品で、皆さまとまた会えたらと思います。


ジェリーウォーカー:
→全然違うのですが、テスカトリポカで「コブラサテ」を屋台でさばいていそうな雰囲気を感じさせる主人公の物語。

これも「スピン」同様に高度な科学情報と現実なのかそれとも未来の話なのかが、微妙に交錯している感じの手に汗握る展開に、読んでいるだけなのにビビりまくりました。

それにしてもこのような方々って、必ず自分で車を運転している気がしますね。


シヴィル・ライツ:
→この作品はいったい何!
と叫びたくなる、異次元の歌舞伎町やくざセレナーデ。

それにしてもこの舞台設定と、この展開力。
「ホセ」という謎の存在感と、その存在する理由。

圧巻ともいえるとある仕掛けへのこだわりと、その結果バランス感。
そして迎える結末。

これはすごい作品に出会ってしまったな、と書かせていただきましょう。


猿人マグラ:
→佐藤さんの作品「Ank」と夢野久作氏の「ドグラ・マグラ」を掛け合わせたらこんな作品が出来ました。

なんて事を書いては見たものの、その2つの作品を組み合わせて、こんな作品はできないだろう。

なんて相反する感情をいただいております。

そして迎える結末のすごさ。

幼き頃、あばあちゃんの家で昼寝から目覚めたら、ご先祖の方々の写真が飾られている部屋に一人だった。
あの時の気持ちをふと思い出しました。


スマイルヘッズ:
→題名からは全く想像もつかない内容で展開されるこちらの物語。
こちらで扱われている題材につきましても、よくこんなことに着目して、さらにいうとこんな風に展開させられるものだなと。

次の作品の「ボイルド・オクトパス」でも感じたことですが、圧倒的な悪意や、圧倒的な暴力に接したときの絶望感は、読んでいるだけなのにとんでもないものがあるなと。

ただそんなような作品に登場する主人公は、最後の最後でもちょっとした違いを生み出してしまうのですねと。


ボイルド・オクトパス:
→とある特徴のある職業につかれていた方々の引退後の姿を記事にしていた方が主人公の物語。

そんな作品でついたタイトルが「ボイルド・オクトパス」。
これ、このタイトルですが、こちらの作品の主人公が名付けたタイトルとなっております。

なんでこんなことを書いているかというと、もし仮にこの作品の主人公が自分であったとして、このタイトルをつけることが出来るであろうか(いや、できないであろう)と。


九三式:
→始まりがとんでもなくきな臭い始まり方で、かつ主人公が戦後すぐの復員兵。

これはもう楽しく読めるような作品ではないなとページをめくると、そこには江戸川乱歩という光、そこから文学そして平和的な希望といった感じで、もしかしてこれは。。。
なんて読んだ作品。

読み終えた後に残った感情は、この主人公は私なのか?
もしくは私の先祖の話なのか?

ぐらい骨身にしみた作品。


くぎ:
→これもそう。
そのタイトルで、この始まり方、そして主人公と周りの方々との関係。
それでもって最終的に描かれた結末。

情報が多すぎて頭が追いつない展開でしたが、かろうじて気持ちを絞り出すと、「五寸釘」ってふざけるな。

 

 

以上です。

ありがとうございました。