麻布競馬場という名の作家さんの作品。
読もうと思ったきっかけを忘れてしまいましたが、そんなこと関係なく最初から最後まで楽しく読むことができました。

初めて読む作家さんの作品で、作者名と表紙の絵柄、そしてページ数(200ページ弱)といったことから、正直あまり期待していなかったのですが、少し読んでみたところ、これが全く良い意味で期待を裏切られました。いきなり初めからとても面白いのです。
そしてページ数なんて関係ないほどの濃厚な内容で、普段私が読んでいるような小説と比べると、300~400ページぐらいのボリュームを感じ、読んでいてとてもお得な気分になった作品でした。

そしてこちらの作品の内容ですが、とても分かりやすい形で4つに分かれていました。
その分かれ方や構成も抜群に素晴らしいと感じましたので、その点について当たり障りのない範囲で感想を残しておきたいと思います。


第1話:
舞台は某大学。
意識が高い人たちが集まるサークル活動の話。
このサークルについて、私にとっては何もかもが新鮮で知らなかった事ばかりでした。
頭の良い大学生たちは、こんなことをある意味普通にやっているのだろうなとすごくびっくりしたのと、なんだか「いいじゃん、学生さん、やるな」とも感じました。
私なんて本当に人生の夏休みとして過ごしてしまっただけに、なんだか「なんもいえねぇ」という気持ちにもなりました。


第2話:
舞台は大手町。
皇居ランをする若者たちの話。
というのは冗談ですが、あながち冗談とも言えない話です。

読んでいてなんとなく「アリの定理」といいますか、どの世界にもあると言われている「2:6:2」となる法則を思い浮かべてしまいました。

主人公の最後の方の行動は、私にはよく理解できませんでした。
読み終えてみると、もしかしたら最初から理解できてなかった気もしました。


第3話:
舞台は池尻大橋。
そしてここで話される内容は「シロクマ」。
今や高級アイスとしての地位を確立した方ではなく、動物の方の「シロクマ」です。

とかなり茶化してしまいましたが、とても重く、そして深い内容だったように思います。
ただ正直なところ、舞台設定も登場人物たちの心情も、私にはとても難解な内容でした。


第4話:
舞台は高円寺。
ここでは銭湯にジョイン。

ここでは、今現在週に1つは減り続けていると書かれていた銭湯が登場します。
ビジネスとしては、とても大変な状況のようです。

そしてこの話でこちらの物語は終了します。
私からすると全く知らなかった事、想像すらしたことがなかったことを、多く知る機会をいただきましたし、「ジョイン」や「プロコン」、「オウンドメディア」なども知ることができました。

ただ主人公をはじめ、登場する人物たちの考え方に共感できたかというと、共感しきれなかったというのも正直な感想です。
共感するも何も、その考え方自体が理解できないことも多かったです。

といったことも知ることができた作品。
耳が痛くなる言葉もありましたが、私は読むことができて良かったです。



以上です。